【小説】近くの彼方ー再会と、終わりの始まり
都会の空にも、夏雲。
時間が空いた時にしてること何?
スマホで何してる?
何を検索してる?
それが、アンの好きなことだよ。
2年続けて、積み上げてご覧。
久方ぶりに再会した想い人にそう言われたので書き出してみた。
「彼」だった。
時間があればしていること、それは、「彼を追いかけている」。
もはやストーカーじゃないか?とさえ思う。
彼のSNSをチェックし、私の名前がありはしないかと探す。
親しかった時も、離れてからも、悲しいかなそこに私の名前があったことはない。
そして今、彼の世界に踏み込めたと思ったが、それは私の妄想だったようで、私の名前は出てこない。
明らかに私の関係することであっても、「沢山の人〜」で括られ私の存在は表には出てこない。
あぁ、いつまでも私は、陰の存在なんだな。
出逢った頃は、まだ少女だった私。
当然処女だったけれど、出逢ってすぐに『この人と身体を重ねる』と不思議と分かった。
「子供を一緒に育てたり、結婚したり、全く向いていないんだ。だから待たないで幸せを探して」
そんな様なメッセージを受け取ってから10年。再開した彼には、子供が3人。それも別々の女性と。
彼と別れてからダメ男ばかりに当たってしまうと思っていたけれど、なんとなんとその最たるところが彼だったとは。
しかも再会して“再開“してからの3ヶ月、私が感じていた違和感を問いただすと「実は…」と答えてくれた。でもまだ知らせてくれていないことが山程あるのだろう。
聞かなければ、この先ずっと、私の中の少女は夢を見ていられたのだろうか?
とんだ『だまくらかし商法』だ。
彼との子供が欲しかった。
彼との日々が欲しかった。
それを今、平然と掴んで彼と共有している人たちがいる。
もう嫉妬とか独占欲はなくなったなぁ と、彼はつぶやく。
強欲な私は、嫉妬もすれば羨望も止め処なくドロドロと溢れてくる。
自分には日常がない、というのが彼の言い分で、色んなところに行くし留まっていないから、日常と言われてもないんだよ。と。
ばか。
一緒に長く過ごしたかっただけじゃあないか。
何日か続けて、あなたと過ごしたかった、たったそれだけ。だよ。
そんな簡単なことさえ叶わず終わったんだ。
そんな簡単なことさえ理解されずに。
さよなら、少女の私。
さぁて、ここから。
終わりの、始まり。
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