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登山道を傷めにくい歩き方

たくさんの人が歩くと、道は荒れていきます。都心からのアクセスがいいところでは大勢のひとが来るので、負荷が大きくなりやすいです。

大がかりな修復が必要な登山道。こうならないように、どんな歩き方をしたらいいのかを考えたい

登山道を傷めない歩き方を多くの人に意識してもらえると、登山道への負荷も小さくできるのではないかと考えます。

登山道の歩き方を考える

そもそも、登山道を歩くときに、どのように意識していますか?

檜原村で林業をやっている林家さんは、土を動かさないように気をつけて歩くといいます。急斜面の山では土壌が流れ落ちやすく、木の育成に影響するからです。

登山道でも同様に、崩さない、土を動かさない歩き方をするといいです。

道を荒らすのは

どんな歩き方をすると道を荒らすのかを考えてみましょう。
道は土中の水の動きによって、土が削られます。水が速く走るような地形にしてしまう歩き方が、道を壊します。

水が速く走るのは、①斜面、②ツルツル、③集まる(集める)地形です。その形にさせるような歩き方をすると、登山道が傷みます。

× 斜面に足をおく

斜面は、足元が安定せずにズルっと滑りやすいです。そのときに動かされた土は、谷側へ流れやすくなります。
斜めの面は水を加速させてしまうので、さらに削られやすくなります。​

× ツルツルのところに足をおく

そもそも滑りやすいです。土を固めてしまうので、水の抵抗が少なくなって勢いがつきやすくなります。

× 柔らかいところに足をおく

柔らかいところは水がしみ込みやすく、ザラザラの部分が抵抗となって水の勢いを弱めてくれます。そこを踏み固めてしまうと、水がしみこまなくなったり、硬いツルツルの面になるので、水に勢いをつけやすくなります。​

× 回復するチカラ以上にダメージがある

​草が生えているところをたくさんの人が歩くと、回復できるチカラ以上に負荷が大きくなります。植物が再生しなくなると、土中の木の根や微生物が作った空間も潰れてしまいます。

道を荒らさない歩き方

それでは道を荒らさないためには、どんな歩き方をしていったらいいでしょうか。

道が保たれるのは、土中の水がゆっくり動いている状態。
その地形とは、
①土中の水が硬いものにぶつかる(ザラザラしている)
②水平×垂直の地形
③土中の水が分散する
状態です。

できるだけ水平の場所を選ぶ

水平×垂直の段差は、水が乗り越えるたびに勢いが弱まりやすく、浸透しやすくもなります。水平の面に足をおくと、水平の地形を保ちやすくなります。足元が安定するので、ずるっと土を崩しにくくもなります。

負荷の少ないものの上に足をおく

土よりも安定した岩。岩よりも雪。負荷の少ない場所を選んで踏むようにしたいです。ただし、グラグラする岩に足をおくと逆に道を崩してしまうので、注意が必要です。

木の根を踏まないようにする

できるだけ木の根に足をのせずに、平らな土の部分を踏むようにしたい

木の根が段差をつくっている場所も多いです。できるだけ木の根を踏まずに平らな部分に足をおくようにしたいです。木の根が浮きはじめているところは根っこが弱っているので、極力踏まないように注意します。

まとめ

とにかく、土を動かさず、踏み固めないことが大事です。

山歩きの上手なひとほど、平らで安定したところに足をおいています。そのほうが安全で疲れにくくもあるからです。
ズルズル足を滑らせる歩き方は、危ないばかりでなく、道も荒らしてしまいます。慣れるまでは意識して丁寧に歩くといいでしょう。

二手に分かれて上で合流するような地形。どちらが負荷をかけないのか、平らな面が多いのかで、判断したい

山道は二手に分かれているところもあります。どちら側を選んで歩くのか、その時々で判断する必要があります。その際に、水平なところ、土が動かないところ、負荷の少ないのを基準にするといいです。

正しいとか正しくないというのはなくて、その状況によって判断するといいです。できるだけ、水が走らない地形を保つ歩き方を考えてみてください。

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毎日山を歩くプロならではの、足運び。自然に負荷が少なく、疲れにくい歩き方の工夫はこちら。

[参考]
道づくりをしてみると、崩れない道の形状がわかるので、道を崩しにくい歩き方も理解できます。

土中の水の流れがわかると、負荷の少ない歩き方、道を荒らさない歩き方がイメージしやすいです。メグル水講座は、毎日開催しています。



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