山奥の修行寺へ。福井県
永平寺に別れを告げた後、山奥にある小さな曹洞宗のお寺を訪ねました。
ここは1278年、寂円禅師が創建した宝慶寺。道元の直弟子であった寂円は、1261年に永平寺を去り、寺社政治に嫌気がさして大野の山中でただひらすら瞑想をしていたと言われています。寂円は中国人ということもあり、こういった世界に疎外感を感じ、瞑想のために野に向かったのではないでしょうか。
現在、宝慶寺には僧侶が1人、永平寺から来た2人の雲水(修行僧)が住んでいます。非常に気さくなお坊さんは、突然の訪問にもかかわらず、快くお寺を案内してくださいました。(午後の礼拝が始まるのを待っていた2人の雲水は、廊下で全く動くことなく立ったままでした。)
座禅道場はとても印象的で、他の修行道場と同様、僧侶は一枚の畳の上で、寝食するのが理想とされています。残念ながら現在は人手不足のため、現在は別の場所で食事をしているそうです。
「今朝、雪解けが進み、春の訪れを感じさせるフキノトウを見つけた」と、嬉しそうにお坊さんが教えてくださったのが印象的でした。長く、深い雪と共にある山寺での生活の中で、こういった小さな幸せと生命力の強さに気づけるようになったのだとおっしゃっていました。
永平寺とはまた違った雰囲気で、訪問者も少なく、ただ山奥で修行に向き合っているという雰囲気のこのお寺で、本物の修行体験が出来るようにすれば、その収益を寺院の建物の維持管理に役立てることができるのではないかと思います。
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