新商品開発2~かんころ(干し芋)~
地面の中にある芋しか売る物が無い
コロナウィルス感染防止のため、2020年3月に緊急事態宣言が発令されました。
その中、8月、9月に記録的な台風9号、10号が長崎県五島を襲いました。
辛い、厳しい、悲し過ぎます。
屋根の瓦は飛び、道路は崩れ、米は倒れ、トマトは吹き飛ぶ、葉物の野菜は全滅など被害が出ました。
長崎県五島市富江町にある仕入れ先の五島きくに農園さんより、「もう売る物が無い」と言われました。
五島つばき商店も大阪で販売する物がないと言われると何もできなくなります。
姿形を変えて、芋を売りましょう
私の回答は「地面の中には芋があります!芋しかないなら、芋を売りましょう。ただし、そのままだと競合のスーパーなどに価格競争で勝てないので、姿形を変えて、芋を売りましょう」でした。
芋のまま:さつま芋、安納芋
もち米と混ぜた:かんころ餅
前述のとおり、芋のままでは厳しい状況です。
「かんころ餅」はコロナ禍と言え、多少売れていました。
もう一つ、芋と「かんころ餅」この間にある、「かんころ餅」を作るために必要な商品ではない「仕掛品」の干した芋「かんころ」があります。
こちらは試作で作ってもらいました干した「かんころ」です。
「かんころ」で出したら、売れました
「干し芋」で勝負となると、近所のスーパーで販売されている茨城県産と正面から戦う事になります。
差別化としては農薬不使用、低価格です。
低価格は仕入れ値で販売まで想定していました。コロナ禍で青果の値下がり、台風被害で何とかお金にしたいからです。
そのため、包装も必要、最小限です。
「干し芋」に圧倒的に負ける部分があります。それは水分がないので、そのまま食べられない事です。
そもそも「かんころ餅」を作るために「かんころ」を長期保存させます。水分があるとカビがでるためです。
改善できなくても、やらないとゼロです。
結果は半年でざっと16kgほど「かんころ」が売れました。
予想通り、芋のままではほぼ売れませんでした。
コロナ禍でインバウンド需要もなく、飲食店休業で青果に値段がつかなく、全国の農家さんが青果を畑に捨てているニュースが流れている状況です。
今では、五島市内で販売している「かんころ」を引き上げて、五島つばき商店に送ってもらう様になりました。
しかし、大阪のお客様には固い、固いと言われております。
もし、これで柔らかい「かんころ」ができれば、倍以上は売れます。
サイズを変えて販売しました
当初、「かんころ」250g、500gの2つのサイズでしたが、販売から1ヶ月後に100gサイズも作ってもらいました。
画像の左から、100g、250g、500gです。
結果は250gが一番売れました。
これも手探りです。
本来、新商品開発はマーケティング調査などを行うと思いますが、コロナ禍、台風で追い詰められた出てきました。
これは経営の教科書に出てこないです。
五島つばき商店らしいと言えば、らしいです。
お客様の利用方法
韓国、広島のお客様はあずきと煮る。これが郷土料理と教えて頂けました。
広島では「かんころめし」と言われています。
福岡のお客様はお味噌汁に入れる。
もちろん、「かんころ餅」を家で作りたい。
など、予想していない「干し芋」に勝る部分でした。
売れる、売れないはお客様が評価し、教えてくれます。
そのため、「固定概念」、「先入観」、「思い込み」が可能性を閉ざさない様に気をつけないといけません。