【はじめての広報・PR】 “広報担当” が活躍できる機会って?
こんにちは。ごさとです。
今回は僕がクライアントの広報・コミュニケーション部門の立ち上げ時や、ある程度軌道に乗ってきた後で相談されることの多いケースから考えた、広報を担当される方につきものの “思い込み” と、立ち返る際の “軸” についてお届けします。
● 「プレスリリースとメディア露出をお願いします」
スタッフが数百名〜数千名いらっしゃる、それなりに大きな規模の組織でも、NPOのように数名〜数十名の組織でも「はじめまして」からの相談はこういったメディアリレーションズのケースが非常に多いです。
・まずはプレスリリースを定期的に出していきたいです
・毎月○件、メディアへアプローチいただいて露出を獲得したいです、特にテレビがほしいです
・取材が決まったら私が同行して話しますから
自社の概要をワーっとお話しされて「御社は何ができますか?」と質問されたこともあります。そんなお話をいただいた後に、
「今後予定されている事業の主だった動きって何がありますか?」
「創業背景、理念やカルチャー、ユニークな制度、特徴的な人財、代表的なプロダクトやサービスについて詳しく聞きかせていただけますか?」
という(ちょっと意地悪な)問いかけをすると、すぐに答えが出てこない場合が思ったより多いように感じます。
仮に(とっても優しい)記者から同じ質問をされて「えっと・・・」となっていたら「この人に付き合うのは時間の無駄かな。。」と烙印を押されてしまいます。
(そうならないために、一緒に事前準備を進めていきます!)
● 「プランニングをお願いします」
また少しずつ広報・コミュニケーション活動が軌道に乗ってくると、組織のなかで次のようなやりとりが増えることも多いようです。
他部門「コレ、PRしたいんで協力してほしいです、まずメディアですかね」
広報「えっと、もう少し詳しく情報いただけますか?目的とか、どんなことやってみたいとか」
他部門「詳しくはココ(専門用語オンパレードの関係者資料)に書いてありますので・・・とにかく、メディアで注目されたいです」
広報(もやもやして思考停止・・・)
その後、広報担当から「オリエンさせてください」と連絡が来ると、専門用語満載の資料をもとに説明が始まり「どうしたら露出できるかプランを提案してくれますか?」となるようです。
仮にPRしたいものが商品やサービスの場合、僕からは
「想定する顧客は誰で、その人はどんな悩みゴトを抱えていますか?」
「この商品やサービスは、市場のなかでどんな位置づけを目指して、既存のものと比べてどこが優れていますか?」
「開発するうえで特に力を入れたことや、苦労したことは何ですか?」
「そもそも、PRの目的やゴールをどこに置きますか?」
「ビジネス上のどんな課題を解決したいですか?」
このような問いかけをさせていただくようにしています。
● 広報担当がとらわれる “思い込み”
こうした背景を考えてみると、次のような考えが頭にあるのではないかと思い至りました。
・広報やPRの仕事が「プレスリリースを書くこと、配信すること」「メディアに取材してもらって、テレビや新聞で扱われること」に限定されている(担当者も、他部門も)
・エージェンシーに依頼すれば、自分たちでカバーしきれないメディアに機械的に情報が知れ渡り、取材の申し込みが増える
たしかに、メディアリレーションズは広報・PRの仕事において基礎であり重要な位置づけです。
ただ、それだけをしていると「もうネタが尽きた・・・」と停滞してしまう残念な事態に陥ってしまいます。
そんなケースを見聞きするたびに「もったいない!」と思うのです。
僕は先ほどの “問いかけ” の後に、
「まずは一緒に経営や事業の責任者にインタビューさせていただき、ビジネス上の課題、広報・コミュニケーション活動で目指すゴールイメージを聞きませんか?」
とお伝えすることが多いです。
なぜなら、組織運営は一般的に次のような順番でカスケードダウンされると思うのですが、
①組織の理念(ミッションやビジョン)があり
②理念に基づく経営目標や戦略が設定され
③目標や戦略が細分化されて事業活動になり
④事業活動としてプロダクトやサービスが開発される
⑤これら一連のプロセスを体型的に推進するために、組織や人財に投資する
広報・コミュニケーション部門の役割として、①〜③を後押しするために何らかの “仕掛け” を準備し、“情報” を武器にステークホルダー(利害関係者)と対話することで良好な関係性を築いていくことが求められると考えています。
例えば企業であれば、出資者や事業パートナーの理解を得て協力関係を強固にしたり、社員が前向きに仕事に取り組めるよう後押しをしたりすること。
それがNPOであれば、事業の意義に賛同いただいて、寄付やボランティアなど何らかの形で参加いただくこと。
そう捉えると、プレスリリースやメディア対応は、あくまでも課題解決やゴールに向かうための “手法” の1つであり、記者もステークホルダーの一部になるのではないでしょうか。
● 大切にしたい “軸”
何度も書きますが、メディアリレーションズはとっても大切だと思っていますし、TVや新聞が人の意識や行動に与える影響は大きいです。
そのうえで、自分たちの視座を意図的に上げることによって、“できること” の可能性を増やしていけるのでは?ともお伝えしたいのです。
・組織のなかにいて、特に①〜③を意識しながら情報を収集する
・必要に応じて、組織のなかに向けて問いかけることにより、対話や認識のすり合わせを行う
・情報を武器に ”組織の代表” という立場を認識してステークホルダーに対峙する
手法の前に「広報・コミュニケーション担当だからできる役割って何だろう?」と考え続けることを大切にしたくて、時折、一緒に働く人にも問いかけています。
今回も最後までお読みくださりありがとうございました。
皆さんの参考になれば幸いです。
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