【はじめての広報・PR】 実践で使えるツールやフレームワークの紹介 | “危機管理広報” の基礎 #2
こんにちは。ごさとです。
前回は新型コロナウイルスの影響で危機管理広報の相談が増えていることもあり、「考え方」「4つのステップ」をテーマに、広報担当が今のうちから準備できることを整理しました。
今回は続編として、実際にリスク・クライシス対応が必要になった場合に使うツールやフレームワークをご紹介します。
※前回の記事はこちらからどうぞ。
【はじめての広報・PR】考え方と4つのステップ | “危機管理広報” の基礎 #1
● ポジションペーパーは必ず準備
あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、この「ポジションペーパー」があると、組織内の意思疎通や広報対応がとてもスムーズになるので、ぜひ作成しておきたい文書です。
ポジションペーパーとは、発生した事案の時系列概要、関係者調査によって判明した経緯や原因など、ひと目で「現時点の最新状況」が把握できるように簡潔にまとめられたものです。
ことリスク・クライシス事案が発生すると、組織内で関係する部門ごとに状況把握のための調査が始まり、少しずつバラバラと情報があがってきます。
また外部関係者がいる場合は、情報が入手できるタイミングや粒度がバラつくので、前後関係がややこしくなってしまうことも起こります。
そうした不確定要素の高い環境において把握できた実態を一元化し、また限られた情報で今後の対応に関する方針(仮説)を立てて、その方針(仮説)に基づいて次のアクションに移っていく・・・
ポジションペーパーは、そんな時に関係者の “拠り所” となるツールです。
といっても、ややこしいものではなく、構成はいたってシンプルです。
次の4点が押さえられていれば役割を果たしてくれます。
・時系列の概要
・経緯や原因
・対応や改善策
・組織の考えやスタンス
これを作成するプロセス自体が、4つのステップの「①リサーチ」や「②リスク判断・対応方針策定」と結びついているので、関係者間で共通認識を形成するために活用できるはずです。
作成した後には「ホームページに掲載するステートメント」「プレスリリースや記者向けの配布資料」「想定Q&A(を作成するもと)」などに応用が可能ですので、その後の広報対応もスムーズになるというメリットがあります。
● “鳥の目” で考えて “筋を通す” 対応検討シート
リスク・クライシス局面では「模範回答」がないことの方が多いです。
様々な可能性を検討する際に「対応検討シート」を用いることで、異なる立場の論点を洗い出すことができます。
例えば、事象に関する情報をできるだけオープンに開示しようとすると、組織だけでなく個人にまで言及することとなり、その人に対しても心ない言葉が発せられる可能性がある、、
しかし情報を開示しないと「情報隠し」などと責められ、後から釈明すると「隠蔽体質」と非難されてしまう。。
そのような悩ましいシチュエーションでは「組織としてどのようなスタンス=立場を取るか」に立ち返るべきだと僕は考えます。
「大切にすること、守るべきものは何か」
「何のために、誰のために情報を公開するのか / しないのか」
そしてスタンスを崩さず、組織として筋の通った対応を検討するには「その対応によって得られるメリットと、起こりうるデメリットの両方を考える」ことが大切です。
苦しい状況に置かれているからこそ「こうだったらいいな」という希望的観測に基づいて物事を考えやすいのですが、そこはグッと我慢して「こうなったら最悪だな」というネガティブシナリオも想定する、視座の高さや視野の広さが守りの要となります。
● 記憶に残さない仕事
危機管理広報の成果は「忘れられること」とよく言われます。
印象に残ってしまうと、類似する事例が出てきた時に「あんなこともあった」と参照されて何度も表舞台に出てくるような事態にもなり得ます。
用意は周到に、成果は見せず、いつの間にか平常運転に戻っているのが成功事例。
それゆえケーススタディも少なく、実際に経験した組織でないと備えの重要さは理解しにくいようです。
(検索すると失敗例はたくさんヒットするのですが・・・)
“攻め” だけでなく “守り” にも強いこと。
これが今の広報担当に求められる基礎力の1つなのかもしれません。
今回も最後までお読みくださりありがとうございました。
皆さんの参考になれば幸いです。
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