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しらす干し山椒づくりと「だっちん」の思い出。

雷が、ゴロゴロと鳴りだした。一雨くるかな。

ムシムシして、憂うつだけど、見切り品のしらす干しを2パック買い置きして、冷凍しておいたものがあった。そろそろ、作らねばと思い立つ。

あらかじめ、冷凍庫の中を点検し、魚の煮つけの残った煮汁をかき集めておいた。

乾燥した刻み昆布を、必要な量だけ袋から出して、水にもどし、洗う。

今年の処理済みの冷凍山椒の実を冷凍庫から出す。

フライパンに油少々ひいて、冷凍のしらす干し、山椒の実適宜、水切りした刻み昆布を加える。そのしらす干しを竹べらでほぐすように、まぜながら、醤油、みりん風調味料、砂糖を加える。例の煮汁も加えて、少し煮つめてできあがり。

今回は、あっさり薄味でいこうと。


しらす干しをみると、ふと思い出すことがある。

チビのときは、「ほれ、だっちん!」と新聞紙や、チラシの端キレで、小さなおひねりを、握らされた。

その中身は、ある時は、白砂糖だったり。

ある時は、しらす干しだったり。

ある時は、鰹節(サバ節)だったり。(削りこと言っていた。)

ある時は、クジラの赤いベーコンの切り落としの端キレ。(だったような)

まだ、保育園にあがる前のおやつだった。そのおひねりを大切に、開いて、人差し指をつっこんでなめたり、指でつまんだりして食べていた。そんな思い出があふれてくる。

手前みそながら、フライパンの出来上がった、しらす干し山椒は、味見をすると、薄味でふっくらと出来上がり、口の中で、さわやかな辛みがふわっとひろがった。山椒の実のライトグリーンがポツポツと見える。

すると、雨が降り出した、スコールのように。

わたしにとって、台所とは、思い出の井戸端のようだ。


姪が東京の大学へ戻るときだったのか、広島へ旅立つときだったのか、姉とともに、寄ってくれた。そのころ、まだ、腕がナマってなかったから、作り慣れた、サバの味噌煮を軽食にと、食べさせた。青魚だけど、大丈夫かなあと、思いつつ、姪は、綺麗に食べてくれた。そのときは、私が、剃髪をする前だったから、それが最後かなあと。

私がデバナガリ文字で、書いたものを、珍しがって、デジカメで写していった。学部はちがうようだが、友人で、そちら方面を勉強している子に見せるといって。

そう、「サバの味噌煮」、わたし、オバが姪に与えた、「だっちん」になるわけだ。もらうばかりでなく、年齢的にもう、与える歳だったからだ。












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