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ラストマイルを見た
ベルトコンベアは止まらない。人が落ちてこようが、人が命を落とそうが、誰かの「欲望」のために。
「2.7m/s→0 70kg」
作中では人間の異常なまでの利便性の追求を象徴するワードとなっているが、果たしてこれは物流の業界だけであろうか?
私は医療の現場で毎日毎日、忙しく、日々疲れ、クタクタになるまで働いている。
医療の業界は本当に逼迫していると思う。
給料は上がらず、人は増えず、どこの病院も赤字経営。
それでも医療の質は保たなければならないし、ミスは許されない。
そんなギリギリの状況で働いているにも関わらず、患者やその家族の「わがまま」としか言いようのないことに対応をしなければならない。
早期に打開策を立てなければ、近い将来、この医療システムは破綻してしまうのではないかとすら思う。いや、すでに崩壊しているのか。
映画を見て、人間のわがままに人の命が消費される異常さに恐怖を抱いたのはもちろん、はたして今、自分が山崎佑と別の人間であると言えるだろうかと思った。
この異常な社会で、回らないものを回して、無理なことを無理じゃなくして、やれないことをやっている人は大勢いる。私はその1人。
私もいつか、山崎佑のように命を張ることはなくても、壊れてしまう瞬間が来るのではないか?
医療現場には私以上にハードな職種もある。彼らが山崎佑のようにならないと言いきれるだろうか?恐ろしくなる。
この先の人生、この業界で働く限り、心や体が限界になったり、なってる人を見るたびに、「2.7m/s→0 70kg」を思い出すと思う。
「2.7m/s→0 70kg」なんて、書かせてしまう世の中が悪いに決まっている。
人を壊してまでやるべき仕事があるわけない。
次の山崎佑が、私の身の回りから出ないことを祈り、私もそうならないために何をすべきか、考えなければ。
そう思わせてくれる映画だった。