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毒親育ち/健全な人を見分けるのむずかしい

残り10

わたしたちは生まれ育った家庭を基準に生きている。
そこで育まれた価値観を方位磁針にして、そこからの人生を紡いでいく。

まさかその方位磁針自体が狂っているなんて思いもしないで。


でも毒親育ちの場合、その方位磁針はほぼ狂っている。北を指すべき針が南を指していたなんてことはよくあることだし、なんなら方位磁針だと思っていたそれは実は単なるオモチャで方角なんてまったく測れていなかったなんてこともある。

みんなの方位磁針は軽くてコンパクトで体に馴染んでいるのに、自分のは重くて持っているだけで体力を消耗してしんどいなんてこともある。

自分はそれしか知らないから、それがおかしいことに気づけない。

気づくためにはたくさんの他者と関わる必要がある。


そこで交わされるやりとりや齟齬、軋轢や葛藤を通して、そこに立ち上がる違和感に自分で気づいて修正していくしかない。

それは地道で気が遠くなるほど時間がかかる作業になる。


毒親育ちはそれを一生をかけてやっていくと言っても過言じゃない。


それくらい育った家庭で獲得した価値観の歪みを修正していくのは困難でやりがいのある仕事だ。


そのためにわたしたちは友人を持ったりパートナーを持ったり結婚したり離婚したりする。

そこでお互いの価値観を擦り合わせて、そこに生じる軋轢を体験して、じぶんの生い立ちを振り返る。

そこに立ち上がる記憶と感情を追体験して、癒していく。

そのために鏡となってくれる他人が必要になる。



わたしたちはできれば失敗したくない。
最良の友人、最良のパートナーに恵まれたいと願うのは当然だ。

でも毒親育ちの場合、ほぼ絶対に失敗する。

わたしたちの歪んだ方位磁針では正しい方角は導き出せない。悲しいかな、狂ったコンパスが指し示す方向に進むしかない。

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うれしいです!!!!