「生きながら十代に葬られ」
先日「生きながら十代に葬られ」を読み終えた。
著者である小林エリコさんの本を読むのは2回目。
初めて読んだのは「この地獄を生きるのだ」
「この地獄を生きるのだ」では鬱による自殺未遂を経て、生活保護受給のち、社会復帰を果たしていくまでの過程が描かれているけれど、今回読んだ本は、そのもっと前、10代の頃のお話だ。
Amazonの紹介文には下記の記載がある。
凄惨ないじめや理不尽なハラスメントに遭った中学時代。
夢を絶たれ、学校に行く意味が見出せなかった高校時代。
短大に受かったものの、うまく行かなくなった社会人の初め。
生活保護から脱出したものの、その最中に起きた出来事などが描かれている。
自分の10代に起きた出来事と重なるところが多かった。
中学時代でいじめに遭ったり、高校で絵の進路に挫折したこと。
「死にたい」気持ちが膨らんでいったことなど。
私の場合、セクハラはなかったものの、特に男子からの容姿に関する揶揄いや、スクールカースト特有の差別に遭った。
今はそういうことは無くなったものの、多感な思春期にそういう経験をしてしまうと、その頃の自分がゾンビのように今の自分に襲いかかってくる。
そんな気持ちが起こるし、本の中にもそのような記載が出てくる。
高校で絵の進路に挫折したことも一緒。
ただし、私の場合は、学校の授業の中で美術の専門的な授業を受けることができ、またその中で自分の実力を鑑みて「絵を生業にしない」ことを決めることができたので、その点では恵まれていたのだろう。
チャンスすら奪われてしまう理不尽さには腹が立つばかりだ。
自殺願望は割と今も定期的に出る。
ただし昔からに比べると頻度が減ったのは、著者と一緒だったりする。
社会人からミニコミ誌を出すようになった過程である出会いがもたらされた。ネタバレになるので一旦書くのはパスするけど、「仲違いをしてしまっても「恩人」は「恩人」でありつづける。」ということはあり得るのだ、と感じた。
仄暗い10代を清算しようと、クライマックスに向けて突き進む小林さんの逞しさよ。本の「はじめに」にはその気持ちが込められている。
仄暗い10代を過ごしていた筆者を、そして今の自分を労いたい人。
まさに今悩んでいる10代の子達にも読んでほしい本。
なおこの本を知ったのは、出先で立ち寄った本屋にて
著者のコーナーがあったから。私が立ち寄った書店はたまたま
著者が定期的(奇数月)に発行しているフリーペーパーも置かれていたので、もらってきた。こちらも面白いので、興味があればぜひ。
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