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日本で一番読まれたビジネス書!? 名著『学問のすゝめ』を紹介。

どうも。宇宙ゴリラです。
本日は一万円札の男として有名な福沢諭吉の代表作『学問のすゝめ』を紹介します。読んでみた感想としては「そら、この人1万円札になるわ…」といった感じ。約150年前に書かれた書籍ですが、内容はびっくりするくらい現代的で「お前タイムトラベラーかよ」って突っ込みを入れたくなるくらい。本当に社会人にも学生にも読んでもらいたい名著です。それでは紹介していきます。

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学問のすゝめの売り上げ

『学問のすゝめ』は、福沢諭吉の代表作で全17編からなる啓蒙書です。啓蒙書とは、「何らかの価値観に基づいた内容を解説・提示した書物」の事で現代的にいうと、ビジネス書とか自己啓発本が近いニュアンスだと思います。そんな啓蒙書である『学問のすゝめ』のすごい点はその売り上げ!日本の人口が3000万人程度であった明治初期に、なんと300万部の売り上げを記録しました。つまり全国民の10人に1人が読んだ計算になります。

学問のすゝめの内容

『学問のすゝめ』の内容はいたってシンプルで「みんな学問を学べよ」ということを全17編に渡って主張しています。ここでいう「学問」とは、仕事や国家運営の役に立つ「実学」のみを指しています。

実学とは

福沢諭吉は実学の例として、文字の読み書き・帳簿の書き方・算盤・天秤の取り扱いなどを挙げています。つまり「実学」とは当時の町人が日常生活で使う技術全てを指します。そして、この基本技術を学んだ後は、地理学・物理学・歴史・経済学・修身学などを修め、「一人一人が自立して生きていこう」と主張しています。

実学について
もっぱら勤むべきは人間普通日用に近き実学なり。譬たとえば、いろは四十七文字を習い、手紙の文言、帳合いの仕方、算盤の稽古、天秤の取扱い等を心得、なおまた進んで学ぶべき箇条ははなはだ多し。地理学とは日本国中はもちろん世界万国の風土道案内なり。究理学とは天地万物の性質を見て、その働きを知る学問なり。歴史とは年代記のくわしきものにて万国古今の有様を詮索する書物なり。経済学とは一身一家の世帯より天下の世帯を説きたるものなり。修身学とは身の行ないを修め、人に交わり、この世を渡るべき天然の道理を述べたるものなり

現代に通じる部分

『学問のすゝめ』を読んでいて最も驚いた部分は、これ本当に150年前に書かれた本なの?と思うくらい現代的な内容だったことです。ここからは、私の独断と偏見で3つの現代的な部分を紹介します。

①人間は平等じゃない

まず有名な冒頭部分「天は人の上に人を作らず、天は人の下に人を作らず」ですが、これは平等を歌ったものではありません。なぜなら「天は人の上に人を作らず、天は人の下に人を作らず」の後にはこう続くからです。

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。されば天より人を生ずるには、万人は万人みな同じ位にして、生まれながら貴賤きせん上下の差別なく、万物の霊たる身と心との働きをもって天地の間にあるよろずの物を資とり、もって衣食住の用を達し、自由自在、互いに人の妨げをなさずしておのおの安楽にこの世を渡らしめ給うの趣意なり。されども今、広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様雲と泥どろとの相違あるに似たるはなんぞや。

↑の内容を分かりやすく噛み砕くと
天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らずとはいうけれど実際にはそんなことなくて、貧富の差があるよね。この差は何よって生まれるんだろう?」というような内容です。

ではこの差は何によって生まれるかというと「学問を学ぶか否かだよ」と福沢諭吉は主張しています。

これは本当に現在社会にも言えることですよね。現代社会でも貧富の差は大きな問題となっています。私も、福沢諭吉と同じく貧富の差を分けているのは間違いなく知識の差だと考えています。特に現代は昔とは違い、ネットが普及したため様々な事を独学で勉強することが簡単になりました。学生の内は、テストや受験もあり多くの人が勉強をしています。しかし、社会人になってからも自主的に勉強をする人はあまり多くありません。社会人になってからも勉強を続けるかどうかは、大きく収入に関わってきますよね。

②男女平等

現代社会は色々なところ(特にSNS上)で男女平等を唱える人を見ます。世界的にも男女平等がどんどんと進められており、大きなテーマになっています。しかし『学問のすゝめ』が出版された明治初期の日本では、女性の参政権は一部でしか認められておらず、男女平等とは言い難い状況でした。そんな時期に福沢諭吉は、日本の男女差別を痛烈に批判し、男女平等を唱えていました。具体的には『学問のすゝめ』第8章を参照。まだまだ一夫多妻制がまかり通っていた、日本において「それ獣と変わんないよ」と主張しています。女性の参政権が認められたのが戦後の1945年なことを考えるとこの主張が、かなり時代を先取りしていたことが分かりますよね。

③情報の取捨選択

明治初期は、西洋の文化を取り込み一気に西洋化が進んだ時代でした。ほとんどの国民が西洋文化を取り入れて日本を強い国にしようと考える中、福沢諭吉は「何でもかんでも取り入れたら良いわけじゃないよね」と主張しています。具体的には「確かに西洋の文化は進んでいるけど、それは色んなことを疑った結果生まれた文化だよね(ガリレオが天動説を疑ったように)。だから僕たちも、どの文化を受け入れてどの文化を拒否するかよく考えないといけないよね」といった感じ。
これも現在社会に当てはまることですよね。例えば、現代社会においてSNSやインターネット上には大量の情報が溢れています。これらの情報の何を取り入れて、何を取り入れないかは非常に難しい問題です。スマートフォンの発展により情報に手軽にアクセスできるようになった今、特に意識して考えるべきことではないでしょうか。『学問のすゝめ』を読めば読むほど福沢諭吉は、インターネットの出現を予測していたんじゃないかなと思うくらい現代にも当てはまることばかり書いています。

まとめ

・人は平等っていうけど、そんなことはないからみんなきちんと勉強しよう。
・男女平等じゃないとだめだよ。一夫多妻なんて獣と一緒だよ。
・情報の取捨選択はきちんとしようね。

最後に

ここまで読んでいただいた皆さんは分かると思いますが、福沢諭吉は本当に現代的な思想を持っていたことが分かります。文章こそ古い言葉書かれていますが、内容に関しては最近出版されたといわれても全く違和感がありません。『学問のすゝめ』で一貫して主張されている「勉強をすることの重要さ」。これは、いつの時代においても普遍的な教えだと思います。では最後に『学問のすゝめ』を読んでいて印象に残った名言を紹介しておきます。どう受け取るかはあなた次第。

【人は生まれながらにして貴賤貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり】

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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