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ダッチワイフの爆破につき、愛を込めて。
メルヘンチックな黒煙が街中を漂う火曜日。
橘いずみの『Hello, Hello』を聴きながら
乙女ゲームで指鳴らしをしていた。
中二階は異臭騒ぎで、中華鍋を持った裸の老婦が右往左往していた。
僕はその首にバウムクーヘンをすっぽりとはめて、アングラに幽閉した。
ダンスバトルで勝ち進めば地上に出られると言い残して。
202号室は既婚男性の無差別マシンガンに耳を塞ぎたいOL。
ヤッターマンのドロンジョ様よろしくのボインで僕を魅了する。
いつもご機嫌斜めなのは、ジェラシーとコンプレックスに浸っているから。
脳内でくぐもった声が響く。
“ピッピロピーロリー”
ゴポゴポと音を立てる水に混じって、宇宙ステーションからの交信。
会話の速さにまるでついていけない。
爪先立ちで自由からの逃走、あるいは脱却。
305号室の園児の落書きは、見ようによっちゃ古代の壁画。
高値でオークション落札。
子供の遊びで軽々と超える従来の価値観。
“どんな人混みの中でも、君を探し出せる。自信があるんだ”
受け子専用電話に不慣れな告白。
僕は連打した親指が痛い。
“すべてが元に戻るまで待て。そして1から始めろ”
遅いんだ。それじゃ遅いんだ。
僕は試験管に溜まった紫色の液体を飲み干し、屋上から「跳んだ」。
これが、盛大なパーティーの幕開け。
みゆきちゃん、待っててね!
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