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愛聴盤(19)German Lute Music

うつ病を患い、自宅療養をしている頃、音楽は心の慰めでした。

もともとクラシック音楽好きですが、この時期の私は、ロマン派以降の楽曲は、音量やテンポの振れ幅が大きくて受け付けなくなり、ハイドン、モーツァルトといった古典派や、ルネサンス期のポリフォニー合唱作品を聴いていました。

そんな中で、たまたまYouTubeで聴いたシルヴィウス・レオポルド・ヴァイス(1686-1750)のリュート作品にすっかり魅了され、Amazonで入手したのが、"German Lute Music“というタイトルの12枚組CDボックスです。バロック期のドイツのリュート曲が堪能できるセットです。

ホセ・ミゲル・モレノ、コンラート・ユングヘーネル、ロベルト・パート、アルベルト・クリュニョーラといった名手による素晴らしい演奏な聴けます。もともと、彼らがアルバムとしてリリースしたものを、PAN CLASSlCSというレーベルがライセンス取得してパッケージしたもののようです。録音時期は、ユングヘーネルのものは70年代ですが、それ以外は90年代以降で高音質で、13コースのリュートの音色を存分に堪能できます。

12枚のうち4枚半がヴァイスの作品。ヨハン・ゼバスティアン・バッハの一歳年下の作曲家で、かなり多くのリュート曲を世に残した人です。どの曲も素晴らしく、心に沁みます。

彼らとほぼ同時代を生きたダヴィド・ケルナー、アダム・ファルケンハーゲンの曲も実に味わい深いです。さらに30歳以上年下のベルンハルト・ヨアヒム・ハーゲンの曲は、幅広い音域を使って、自由に羽ばたくような華やかさを感じさせます。リュート音楽の最後を飾った作曲家でした。

せっかくクラシック音楽に触れるなら、ピアノやヴァイオリンだけしか聴かないのは勿体ない。リュートの響きは誰も傷つけません。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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