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今週のグッドデザインを紹介します(9/9 〜9/13)

今日は、 9月2週(9/9〜9/13)のとれたてグッドデザイン5点をまとめてご紹介します!


9/9 ヘルメット[ホタメット]

廃棄されたホタテの貝殻をアップサイクルし、バイオプラスチックを原材料にすることでCO2排出量を約50%削減。地球環境に優しいヘルメット。

ホタメット

受賞者によるデザイン紹介
HOTAMETは、世界初のホタテ貝殻から生まれたヘルメット。廃棄されたホタテ貝殻を粉砕し、リサイクル素材で作られています。利用者を限定せず、様々な年代、性別、用途で使用可能なデザインを目指しました。また、悪天候で作業するホタテ漁師が被ることも想定し、雨水が浸入しないように通気口などのスリットをなくしています。

審査委員からのコメント
日本一のホタテ水揚げ量を誇る村では、年間約4万トンもの貝殻廃棄と、廃棄された貝殻による土壌汚染が問題となっていた。ホタメットはこの課題を素材から解決する転換のアイデアであり、サスティナブルの方向性を新たに切り開いている。リサイクルや、量産されるモノのサプライチェーンが見えづらいという社会課題にも応えた製品でもあり、貝殻から炭酸カルシウム、そしてヘルメットへと姿を変えるホタメットは、生産やその環境がスッと腑に落ちる素直な生まれ方をしていて共感が持てる。フォルムや素材感、カラーラインナップに至るまでが「自然」に感じられ、モノがしっかりと語っている製品だと感服した。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/18607

9/10 ヘアドライヤー[SHARP プラズマクラスタードレープフロードライヤー IB-WX901]

独自の4点吹き出し構造で髪を立体的に押し分けて乾かすことのできる、ドレープフロードライヤー。

SHARP プラズマクラスタードレープフロードライヤー IB-WX901

受賞者によるデザイン
髪の毛を速くラクにキレイに乾かしてくれるドライヤー。新たに開発した独自の4点吹き出し構造が熱に頼らない速乾性能と取り回しのしやすいコンパクトな本体を実現。家族みんなで使って欲しい、家族みんながキレイになれるドライヤーです。

審査委員からのコメント

そう言えばドライヤーで髪を乾かすときに手櫛で髪を持ち上げて乾かしていることを思い出した。髪を押し分けて立体的に回り込む風で乾かすと時短でしかも髪へのダメージも少なく済むことが分かる。この、手を使うような押し分けに相当する技術を4点の吹き出しを持つ構造に置き換えている。このアイデアは、サロンテクニックのドレープフローに由来するとのことで、2点吹き出しの弱点を改良して縦横の方向性を問わない使い方を実現化しているところが全く新しい。また、髪との距離をセンシングして熱によるダメージを抑制する機能やプラズマクラスター機能などの髪への美容性も考えられている。子供用の熱や風量を抑えたモード、頭皮モードなどもLEDライトで直感的に認識できる配慮もされている。成熟家電と言われてきたドライヤージャンルに、日本初の流体力学から速乾のあり方を考えた美しく革新的な製品が誕生したとして評価された。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/15703

9/11 集合住宅[鈴森VILLAGE]

まるで公園のように往来の人々が心地よく行き交う、緑豊かな環境共生型の集合住宅。

鈴森VILLAGE

受賞者によるデザイン紹介
埼玉県和光市に根ざし、代々長きに渡って町を見守りその発展に貢献してきた地主(オーナー)が、これからの社会に本当に求められる暮らしや住空間を新たに提供し、かつそれが単独の計画に留まることなく、周辺一帯エリアの価値を向上させるために、低層かつ分棟形式のゆったりした、町に開かれた環境共生型の集合住宅を計画した。

審査委員からのコメント
和光駅から徒歩5分、中低層の建築が多く建ち並ぶ地域に、周辺の建築ボリュームと合わせた切妻屋根の木造(一部RC造)3階建て、6棟に分棟配置された間に路地を通し、住戸26戸と4つの店舗が配された。敷地外周部に塀などを一切設けず地域に向けて大きく開かれた、光や風が通り抜ける環境共生型の集合住宅の優れた計画である。以前の敷地が有していた空間の質を引き継ぎ、駅の近くであっても往来の人々が通り抜けられる緑豊かな路地は、あたかも公園のようなパブリックな場を街に提供し、周辺一帯エリアの価値向上に貢献している。素晴らしい場づくりである。住戸は1階と2、3階を利用したメゾネットタイプがあり、玄関やバルコニーを広く取り、多様な暮らし方が可能な設えである。動力を使わず雨水の重力を利用した潅水計画や住戸の断熱性を向上させて一次消費エネルギーを抑えるなど、高レベルでの環境性能を実現している点も瞠目すべきだ。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/20486

9/12 森をつくる活動[里山 ZERO BASE]

人と自然とが共存共栄するための里山。地域の子どもや大人、サポーターが自由に集い、自然を享受するための拠点として解放。放置されたスギやヒノキにみんなで手を入れ、だれもが関われる里山づくりを行っている。

里山 ZERO BASE

受賞者によるデザイン紹介
林学博士西野文貴の「山地災害を減らしたい!」「生物多様性の宝庫である里山を守り、次世代に繋げたい!」「人と自然の距離をもっと縮めたい!」との思いから,これまでの森づくり技術を活かして全国の放置されているスギ・ヒノキ林を対象に,地域の子どもや大人と一緒に里山を新しい方法で復活させ,誰もが関われる森づくりを進めています。

審査委員からのコメント
山の持つ多様な価値と可能性にあたらめて社会は気づき始めている。しかし、関わり方によって異なる価値を持つ故に、特定の専門知識では山の価値の一片ずつにしかアプローチできずにもいたようにも思う。 そのような中で、この活動は、山の持つ多様な価値に多面的に向き合い、かつ森林の保全保護にも貢献できるプログラムがしっかりと含まれている白眉な活動となっている。 実際に、複数の山林を自然環境としても、資産としても、学習の場としても再生しているその成果は、もっと知られ賞賛されても良いのではないとも思う。活動の推進は勿論のこと、少しでもこの活動の社会的認知が進み、賛同者が増え、山林の持つ魅力や価値が広く再生されていくことを望み、受賞とした。 これから地域と共に日本の山々を復活させ得る答えのひとつが、この活動にはあると期待している。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/14642

9/13 国語辞典[きみ辞書(きみの名前がひける国語辞典)]

世界のどこにもない、自分の名前とその説明が載っている辞書。

きみ辞書(きみの名前がひける国語辞典)

受賞者によるデザイン紹介
辞書をひくと「わたしの名前がある!」。園児~小学校低学年を対象にした『小学館 はじめての国語辞典』1万8000語収録を底本とし、本文に、お客さまの書いた項目名と紹介文(語釈)を入れた特別版が『きみの名前がひける国語辞典』。表紙は10色から選択。辞書編集者が大日本印刷株式会社と10年かけて作り上げた、特別な1冊です。

審査委員からのコメント
この辞書は発明である。辞書なんか売れないという通説を、シンプルかつ軽やかなアイデアで覆した最高のデザインと言える。もちろんオンデマンド印刷という進化が鍵ではあるが、それよりも子供たちの気持ちに寄り添ったアイデアの勝利。自分の名前を見た時の子どもたちの顔を想像するとワクワクしかない!前例のない企画に多くの人が賛同し成立したのは、まさに「自分の名前を見つけた子供の笑顔がきっと弾けるだろう」とみんなが確信できたこと。本当の意味でコアとなったアイデアの強さがあったからだと思う。この辞書に喜ばない子供はいないし、この辞書を贈りたくない親はきっといない。やはり、人の幸せを思う力こそがアイデアになる。書籍や音楽も売れることを諦めてはいけないと教えてくれる存在。テクノロジーがなければ進化できないというのを軽くぶっ飛ばし、みんながそれぞれ新しいデザインを生み出せると確信させてくれた逸品である。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/15056

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