北海道旅行から帰ってきた翌日。 またもや早起きをして、新宿駅にやってきた。 バスタ新宿から高速バスに乗る。 見知らぬ風景をいくつも置き去りにして、バスは進んでいく。 片道四時間、山道を抜けると草津温泉に着いた。 温泉に浸かってみたい気もしたが、ここから更にバスを乗り継いで山を登らないとならない。 一日一本しかないバスに無事に乗り込み、ほっと一息つく。 ……主は、このバスに乗り遅れたのか。草津温泉で大きな登山のリュックを背負ったまま、途方に暮れる姿が容易に想
初めての北海道旅行二日目。 眠い目をこすりながら早朝にやってきたのは、 『市場食堂ふじ膳』で朝から海鮮丼を食べました。 朝の海鮮丼は一日限定20食、こんなに具が乗っててお値段700円‼︎ 早起きして開店前から並んだ甲斐があります。 海の幸、なんと甘く美味しいのでしょうか。主に自慢したい……。 豪華な朝ごはんを済ませて、車で一時間弱走ったところで北海道旅行のメインイベントが始まります。 北海道の中で一番標高が高いところにある然別湖にきました。 透き通った
主が山小屋バイトを始めてから早二ヶ月。 毎日が“お暇”のようになり、気楽な生活をしていたけれど、窓から雲を眺めるのにも飽きたので。 ちょっと、遠くに行ってみたくなりました。 遠くに出かける人、帰ってきた人、飛行機を見に来た人、目が回りそうなほど多くの人が行き交っています。 もっとゆっくりこの場所を見てみたかったけど、飛行機は時間に厳しいと主に聞いたことがあるので急ぎましょう。 一時間ほどの空の旅。 主の山小屋は標高2300Mの場所にあります。 目を凝らし
山に行った主に対抗して、私は海へ行くことにした。 見たことのない世界が広がっている。 はしゃぐ心を抑えられない。 ひたすらに海の中を覗いてしまいそうになるが、時間になったので移動する。 主が「水族館に行くならコレを見るべきだクマ〜」と言っていたので。 ホイッスルの音に合わせて軽快に水面から飛び上がるイルカ、派手な水飛沫に圧倒される。 この手では小さいかもしれないが、めいっぱい拍手を送った。 そろそろ足が痛くなってきた。 この水族館の最後の場所に向かう。
主は山に行ってしまった。 留守の間、家を見守るのが役目だが、それだけではつまらない。 主が山に行くなら、私は海に行ってみようと思った。 水族館に来てみた。ここなら雨でも楽しめるのだという。 さっそく中に入ってみる。 建物の中に多くの魚や動物たちがいる。 薄暗く落ち着いた空間はなんだか安心する。 大水槽まで来ると、天井まで伸びる大きな海に圧倒されてしまう。 主は、ここで写真を撮るのが好きだと言っていた。 この大水槽には国内最多の5万尾のイワシの群れが住
主と一緒にヒスイカズラを見たあと、主には帰宅してもらった。 これは私の”お暇”なので、主がいてはいけないのだ。 近所の公園は広く、大温室以外にも森や花畑がある。 少し歩けばすぐに色とりどりの花を見つけた。 調べると、この花はリナリアといい、和名は”姫金魚草”というらしい。 よく見れば、花の下部分がぽっこりと膨らんでいる。 これが金魚というものの形に似ているんだろうか。 私はまだ金魚を見たことがない。知らないことばかりだ。 ネモフィラは主から写真を見せても
今日も主はぐで~っとして眠っている。 こっそりとスマホを弄っていると、ある写真が目についた。 奇妙な形をした美しい薄青色の花。 ぜひとも見たい。 主の寝ている隙に、お暇をいただき見に行こう。善は急げだ。 「近所の公園の花が咲いたので、お暇をいただきます。」 ああ、着いた。 いくら近所とはいえ、クマの着ぐるみで外を歩くのは大変だった。 冷たい風が汗ばんだ髪を梳いていくのが気持ちいい。 大温室の中は見たこともない植物でにぎわっている。 ガラス張りの天
今日の主は早朝から起きて、机いっぱいに地図を広げている。 いつものぐで~っとした様子はなく、熱心に地図と向き合う。 その目はキラキラとしていた。 ずっと夢だった山小屋バイトに受かり、働きに行くのだと言っていた。 ついでに近くの山を登れるだけ登るクマー! と息巻く姿は、やる気に満ちていた。 (心が折れて山を下りてきても許してね、ともボソボソ言ってたが……) 無職になってから、家に籠って配信しながら編み物やゲームばかりしていたから元気になった姿を見るのは嬉しい。