アランの幸福論5 憂鬱(ゆううつ)
ついこの間、腎臓結石を病んでいてかなりふさぎ込んでいる友人とあった。そこで私はこんな結論を出した。「この病気が人を悲しみに陥れるのを知っているのだから君は自分が悲しんでいることに驚いてはいけない。」彼は笑ったが私の言っていることはそれでもやはり重大なこと、しかも不幸に陥ってる人がまず思わないことを言っている。心の悲しみは病気でない限りいつかは平安が訪れる。思ってもみなかったような形で。そう言っても人はたいていそうは思わない。不幸が辛いのはどうしても自分の不幸を考えてしまうから。悲しみなんて病気に過ぎないのだから病気を我慢するように我慢したらいい。そうすれば憂鬱はもうなにも言わない。でも体は休めよ。