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【働く論考】仕事と労働 労働の原始性

前項迄に於いて

労働:『労働』とは生きるための活動であり、特に現代社会においては生きるために必要な金銭を稼ぐことを目的とした義務性を伴った活動

仕事:金銭的な収入を得る目的とは異なり、社会への参加や交流を目的とした自己実現的な意味合いの強い活動であり、活動自体によって達成感を得ることができるもの

という定義をしてきた。
つまり、この定義に従うと労働は生きるための活動であるから、生きているもの=生物は全て労働をしていると言える。

生きるために必要な労働の表現方法や頻度は異なるが少なくとも全ての生物は生きるための労働をしており、人間においても原始から現代まで「生きる」という最も根源的な活動においては労働は必要性を持って存在している。

問:仕事と労働を分けて考えた時、労働は人間以外も実施していると言えるのではないだろうか

「仕事」と「労働」は、しばしば混同される用語ですが、哲学的な視点から考えると異なる側面を持っています。
労働 (Labor):
労働は、生命を維持するために必要なものを作り出す活動です。これは、食物を栽培したり、家を建てたりする行為を指します。
人間以外の生物も、自然界で労働を行っています。例えば、蜜蜂が花から花へと花粉を運ぶことで、受粉を促進していることがあります。

仕事 (Work):
仕事は、人間の非自然性に関連しています。これは、社会的な役割や目的を持つ活動を指します。
人間以外の生物は、社会的な仕事を行うことはありません。社会的な仕事は、文化や社会的な構造によって形成されるものです。


総じて、労働は生命を維持するための基本的な活動であり、人間以外の生物も行っています。一方で、仕事は人間社会において特有の概念であり、人間の文化や社会的な役割に関連しています。

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人間以外の労働の例



・植物による労働:光合成が労働のイメージには最も近いだろう。もちろん呼吸や蒸散などがあるがこれは生命活動である側面が強く、よりよく栄養素を得るという意味では光合成が植物による労働だ。

・草食動物による労働:食べ物となる草を捜索することや時には最適に保存しておくことが彼らによる労働であろう。自らが生きるために、食べ物となる植物を探す行為はまさに労働だ。

・肉食動物による労働:彼らの捕食行動は私たちのイメージする労働に近いかもしれない。食べ物となる動物を探し、追いかけて、捕まえる。成功した場合には報酬としての食べ物が与えられる。まさによく働いている。

こういった例を挙げていくことで、『労働』という行為がいかに原始的で根源的なものであるかがわかりやすくなるはずだ。

当然私たちも水を飲み・食べ物を食べることで生きていくことができるわけだし、衣服を着て、心身を清潔に保つことによって社会の中で疎外される可能性を下げることで生存可能性を上げていくことができる。

人間が社会性を持った動物である以上、社会に適合することも生存のための重要な戦略であり、労働によって保有・維持しなければならない要素にはこれらの社会生活を営む上で必要な物事も含まれることとなる。

『労働』という言葉の持つなんとなくネガティブなイメージで否定したくなるだろうが、ほとんど全ての人は生きるための労働である活動を少なからずしているのである。

まとめ


・労働は生物において根源的に必要な活動であり、人間以外の動植物も労働を行っている

・人間における労働で勝ち取るべきものには食べ物以外に社会に適合するための様々な物事(家・衣服・健康など)が含まれる

・ほとんど全ての人は『労働』しており、それは全く健全である

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