【トゥバ共和国への旅】カエルの歌が聞こえてくるよ
●●●いったい、どこよ
トゥバ共和国と聞いて即座に場所が思い浮かぶ人は、相当の地理好きでしょう。ロシアを構成する共和国の一つです。中央アジアに位置し、人口は30万人余り。国土面積は日本の半分ほど。モンゴルのちょい上にありますから、風景もそんなもんです、といえばイメージしやすいでしょうか。大平原のね。
人知れず、というのは世界のどこにでもあるもので、といっても人知れず感は、ワタクシにとっては空前絶後でしたが、首都クズルにはこんなオブジェがあります。「アジア中心の碑」。おお、なんと、ここであったか、とまずは驚いたわけです。比較の基準は違いますが、アジアの中心は日本だ、と信じて疑わなかったからね。その日本も得意の経済が失速し、いまや極東の一島国になり果てようとしていますが、そりゃ、よけいなこと。
●●●夢見て7年
ともかく、なんでトゥバへ行ったのよ、ということです。実はね、2000年8月、トゥバの音楽グループが、わが寺でコンサートを開いてくれたんです。ホーメイという喉歌にひかれてねえ。恋い焦がれるようにトゥバ、トゥバと思いを募らせておったのです。
それがかなったのが7年後。だいたいこの国、招待がないといけなかったからね。ほな、あした、といった気軽な感じは通じませんねん。
で、と力を入れときます。そのころ「カエル本舗」と称する音楽ユニットを組んでましてね、相棒の柴田重信さんと、悠然、トゥバの地を踏んだのではありますが、ユニットのトレードマークにしていたカエルの帽子がどうやら不評で、行く先々の公的機関で取り調べを受けたわけです。ロシアに入ったらすぐですわ。冒頭は空港のシーンですね。
●●●お座りくださいませ
日本からウラジオストク、そんでシベリアのイルクーツクからクズルまでは飛行機です。1週間に1便しかありません。需要はありそうなんですよ。だからでしょうか、機内には座席以上に乗客がいました。どないするんやろ、と思ってたら、あれまあ、そのまま離陸ですわ。「立ち乗りOK」なんです。妊婦や高齢者がいれば、どうぞ、と譲らないと、白い目で見られたりしてね。ただでさえプロペラ機で頼りないのに、明らかに人数オーバーの人々を乗せて、どないなんのやろ、と不安になりました。所変われば品変わるとはいいますが、世界にはいろんな常識があるもんです。ちなみにつり革はございません。
といった仰天話を中心に、これから数回、アジアのへそ、トゥバのお話です。
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