【スーパーの片隅】 感動!108円の缶詰に詰まっていたものとは?
主婦の味方であるスーパーには、老若男女問わず毎日いろんな人がやって来ます。
みなさんはスーパーへはよく行かれますか?
私は2~3日に1回くらいのペースでお世話になっております。
いつも同じスーパーを利用しているので、何処に何が陳列されているかなんて朝飯前。店員さんの面子などは、もはや実家の両親よりも面影が鮮明になってしまった今日この頃です。
さて、そんな行きつけのスーパーでお買い物をしていた時の出来事。私はどうしても忘れられない人に遭遇してしまったのです…。
この日は、実家から届いた大きな白菜を消費するという重大なミッションがありました。
献立は「白菜と厚揚げの煮びたし」です。
私の場合、ここにカツオのオイル漬けフレークタイプのシーチキンを加えるのですが、自宅に シーチキンが切れていたので、とりあえず缶詰コーナーへと向かいました。
缶詰コーナーには先客がいて、腰がひどく曲がったお爺さんが独りで立っておられました。
そのお爺さんは手にした缶詰をずっと凝視してその場から離れようとしません。
私が目的とするシーチキンの缶詰は、ちょうどお爺さんが立っている場所の足元に並んでいるはずなのです。
でも、目がやたらと悪い私は、どれがカツオのオイル漬けフレークなのか、お爺さんの足元まで顔面を近づけないと選別できません。
「ほな、眼鏡かコンタクトでも付けなはれ」とごもっともな声が聞こえてきそうですが、私はダメなんですよね、目に異物が触れている状態がどうしてもストレスになってしまって…。
だから、車の運転中か、仕事中以外は補正器具を外してなるべくストレスフリーな状態で暮らすようにしています。
なんとも厄介な人間ですね、はい😅
そんな厄介な人間なりにも自覚はしてまして、なるべく人様に迷惑かけないようにと日々意識しながら生きております。
なので、この日もお爺さんがその場から立ち去るのを待ちましたが、お爺さんはずっと缶詰コーナーの前から動こうとしません。
私は暫くキュウリのピクルスや、なめ茸なんかの瓶ものシリーズを目的なしに眺めておりましたが、さすがにもう飽きてきました。
お爺さんは相変わらずフリーズした状態です。
もしかしたら、このお爺さんも目が悪くて缶詰に書いている文字が読めないのか?
私はそんな気がしてきました。
こんなASD要素強めな私にも、一応親切心は持ち合わせておりますので、勇気を出してお爺さんに声かけをかけてみたのです。
「あの、何かお困りですか?」
お爺さんは、私の方に一瞬ちらりと目をやるとこんなことを言いました。(歯がないのか聞き取りにくかったけれど、多分あってると思う)
「おう、ねえちゃん知っとるか?この鯖の缶詰は108円やど。値段の割には味もようてな、案外量もあって旨いんや」
「へー、そうなんですか。それはお得ですね」
「おう、これで飯3杯は喰えるわな。これと、味噌汁があったら朝昼晩と充分やでな」
え、何ですと?
1日の食費、108円?
米と味噌汁のコストが別にかかっていたとしても108円は安過ぎる…。
私も一人暮らしの経験はあるので、食費を切り詰めてもせいぜい1日500円が限度だった。
「お爺さん、独りで暮らされてるのですか?」
「いんや、婆さんとふたりや。足が悪いでな、魚食わさんとあかん思うてな」
「そうなんですね…」
「ねえちゃん、こんなかで一番旨いのどれや」
私は、値段相応ではないのか?とも思ったが、ここは私の大好きな鯖の味噌煮(あいこちゃん)をお勧めしてみた。
108円の缶詰でご飯が3杯いけるなら、これなら6杯だろう。でも、値段は倍だ。
すると、お爺さんは鯖の味噌煮(あいこちゃん)をひとつ手に取った。
「あんでまあ、金色に光っとるわ。たいそう旨いんやろなあ。ねえちゃん、ほんなら婆さんのはこれにしよかいな」
「あは。それ本当に美味しいんで、お婆さんもきっと喜ばれますよ」
「ああ、喜んでくれよったらほんでええわい。わしのは108円ので充分やでな」
お爺さんはそう言って皺くちゃな顔で笑った。
「ねえちゃん、おおきにな」
お爺さんは108円の鯖の缶詰と、214円の鯖の味噌煮(あいこちゃん)をひとつずつ持ってレジへと向かったのでした。
私は、お爺さんのよぼよぼしながら歩いて行く後ろ姿を見ながら思った。このご夫婦はきっと年金暮らしで、日頃から何もかもを切り詰めて質素に暮らされているのだろうと…。
そして、そんな暮らしの中でも、お婆さんにだけは美味しいものを食べさせてあげたいという気持ちを持ち続けているお爺さん。
108円の缶詰には、そんなお爺さんの想いがぎゅと詰まっているのだと感じました。
【スーパーの片隅】シリーズ第1回目🐱
最後まで読んで下さり有り難うございます!
では、またね(^-^)/
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