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卸売業③メーカー対応

さて、今回は「メーカー対応」を深掘りします。
メーカー対応は大きく「商談」と「仕入」があります。

1.商談

 
メーカーから商品を仕入れ、小売業に販売をする大元のプロセスです。
 小売業の販売ルール、予算や進捗状況、そしてバイヤーのニーズを善く善く汲み取り、商品をどれだけ小売業に卸すかを踏まえて、メーカーとの商談を行います。一方でメーカーもそれぞれ数字や目的をもっており、卸営業はまさに両方の”企み”をマッチングさせてより良い販売を目指すのです。そう、この”企み”をキチンと捉えきれるかが卸の存在意義と言っても過言ではありませんね。

2.仕入

 商談で販売が決まった後に発生する様々なプロセスを指します。
 見積提出、マスタ登録、数量の手配、バイヤーからの規格容量等の問い合わせ、欠品やクレーム対応まで。これらをメーカーと絶妙なコミュニケーションをとりながら、店頭で販売されるまでこまめに対応をしていきます。そしてこれらほとんどを電話が中心、エビデンス用にメールと、20年以上変わらず人と人が日々行っているのです。

私の経験では、10社の小売業を担当としてもち、500社のメーカーから仕入れをしていました。そして、メーカー500社のうち約10社が私のもつ売上予算の70%を占めていました。ですので10社の営業とは常に連絡を取り合い、彼らの予算や企業戦略は全て理解していました。退職した今でもコミュニケーションをとっている仲間がいます。

それ以外のメーカーとも商談をしますが、なかなか490社を平等に扱うことはできませんでした。つど声がけをもらったり、バイヤーからのニーズで連絡をしたりとポイントでの対応になっていました。これは僕自身も課題だと感じており、本当は日本中のメーカーと商談ができればと悔しく思います。この課題や後悔は、現在のJ-MORAに打ち手として引き継がれています。

また、卸営業がネガティブに思われている点もあるそうです。それは、小売業から奴隷のように扱われている一部の卸営業が、同じようにメーカー営業に高圧的にあたることです。交渉で戦うことがあっても、平等な立場であることは当然であり、そこは常に自分自身の行動を問いただしていました。真に怖いのはメーカーです。何故ならばメーカーは自社のプロダクトをもっており、本気になれば出荷停止にできるからです。だから卸売業は、相互バランスを取ることを忘れてはいけない大切な業態なのです。

3回に分けて少しずつ深掘りをしていきましたが、卸営業は流通のバランスを保ち、商流と物流、そして金流を担っている大切な業態(業種)だと認識しています。私自身も卸営業の体験は楽しく、大きなナレッジを手に入れることができました。しかし、これもテクノロジーによって大きく変化する分岐点にきています。次回以降で卸営業とテクノロジーについて触れてまいります。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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