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妻であり、母であるわたしって?
おはようございます。
本を365日読むライターのりえです。
幸せなはずなのになぜか満たされない
妻である自分、母である自分が何者なのかよく分からなくなる
いつも”何か違う”という感覚がある
そんなあなたに届けたい今日の本は
です!
こちらの本は、大好きな辻村深月さんの帯の言葉がパッと目に入り、装丁も内容も何やら気になる…と前情報なしで購入した本でしたが、今のわたしにピタッとハマる作品でした。
こういう”この物語はわたしの物語だ”って思う作品に出会える瞬間があるから、読書って素晴らしいし、やめられないんです。
主人公の竜胆(りんどう)梨々子は、出世頭のイケメン夫を何とかゲットし、2人と男の子にも恵まれ、東京の一等地に住む、いわゆる勝ち組の女性です。
でも、ある日夫が鬱病を発症し、夫の田舎へ移り住むことになります。
そこから梨々子の毎日が一変していくんですね。
長男は繊細で無口、次男は発達がゆっくりで、学校から呼び出されることもしばしば。夫とはどんどん心の距離が開く。何より、あんなに輝いていた夫はもう見る影もない。
梨々子はこんなはずじゃなかったって思うんですけど、一方でちょっとホッとしたりもしているんです。
もう誰かと競わなくていい、っていう思いと、
梨々子にとっては、結婚と出産が一つのゴールで、そのあと自分がどうしたいのかどうなりたいのか分からなかったからなのかな、とわたしは思いました。
これ、すごく分かる気がしたんです。
わたしも若い時は、自分にしかできないことがしたい!なんて思っていて、でも実際に社会に出たら、誰にでもできる仕事しか目の前にはなくて(当たり前だけど)、誰からも特に求められない自分がいました。
そんな時に、母に「母親になることは誰も代えがきかない幸せなことだよ」って言われたんです。
その言葉がずっと残っていて、わたしは結婚と出産をゴールに設定したところがあったと思います。
でも、実際に結婚したらそこには生活があって、子どもたちはもちろん可愛いけど、自分の思ったようには育たないし(笑)、思い通りに全然いかないんです。
だから梨々子のいろんな感情が手に取るように分かって物語にのめり込みました。
夫とは違う男性に惹かれたり、いろんなことがあるんだけど、わたしが梨々子を好きなのは、妻である自分や母である自分を絶対見失わないところなんです。
梨々子は自分が何者でもない、っていうことを自覚しているんですよね。
タイトルが【田舎の紳士服店のモデルの妻】っていうところも秀逸で。
鬱病になった夫は帰省した地元の紳士服店のモデルをやるんですけど。
梨々子はやっぱり”妻”であって、表には出てこないんですよね。
●●くんのお母さんである自分、●●さんの妻である自分、そういう立場の中で揺れ動き、一人もがき苦しんでいるんですよね。
分かるよ~って応援したくなったし、共感もしました。
だからきっと”わたしの物語だ”って感じたのだと思います。
読むと結構共感しすぎて辛くなる部分もあるんですが、梨々子が最後にたどり着いた境地に納得でした。
読後は爽やかで前向きな感じです。
この記事を読んで気になった方はぜひ!
では、また。
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