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無明長夜に仏はいらない

星もなく、月もなく
無明むみょうの空に当てもなく
闇に浸した瞳孔は
淡く光る夜を知る

風もなく、声もなく
長い夜に果てはなく
静まり返った道の上
鼓動が生きる音を聞く

無明なんてないのさ
目が慣れていないだけ
少しだけたたずめば
闇夜であっても道は見える

無音のはずがないのさ
静寂しじまが鼓膜を塞いでも
あらゆる音を拒んでも
生きてる限り鼓動は絶えない

言い訳にはならない
闇の中にいるからなんて
微かにでも道が見えるのなら
おっかなびっくりでも行くしかない

良い訳がないだろう
諦めの悪い心臓が言っている
誰の声が聞こえなくても
命が背中を押している

この無明長夜むみょうじょうやに仏はいない
まだ出会えていないのか
初めからいないのか
そんなことはどうでもいい

いなくても行くしかない
僅かな勇気に手を引かれて
命の音を背に受けて
進まなければ夜は明けない

だから、いても顔は出さないで
あなたは理由にならない
あなたを言い訳にしたくない
私の無明長夜に仏はいらない


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