秋に読みたい1冊
都会の喧騒の中、家の窓を開ける勇気がないのは私だけなのだろうか。
空気が悪いというのもあるが、自分だけの繭(テリトリー)の中に新しい風が吹くことを、あえて避けてしまうことがある。
そういう時は、蓑虫のような気持ちで日々を過ごす。
決して鬱々とした気持ちを隠しているわけでもなく、自分というシェルターの中で力を蓄えているのだと思う。
今朝、久しぶりに窓を開けた。
「あ、秋がきた。」
直感的に私はそう感じた。
自分自身は一秒、また一秒と変化していくにもかかわらず、四季の訪れのサインは子どもの時から、いや生まれた時から変わらないのが不思議である。
それは、さらさらと流れる川辺で座っている時に、突如として音がなくなって、一瞬ののちに静寂が訪れるような感じでもあり、友達と別れた帰り道に、一人この世の中に取り残されたような雰囲気でもある。
特に秋はそんな感じがする。
今日は、そんな秋に読みたいシリーズを紹介していこうと思います。最後までお付き合いいただければ嬉しいです。
金木犀の思い出『High and dry(はつ恋)』
1冊目は、よしもとばななさんの『High and dry』です。
中学2年生の時に読んだ、甘酸っぱい思い出のつまった1冊です。
仲の良い友達の一人にも貸した覚えがあります。
大人になっても、密かに読み返すこともしばしば。
今、主人公の一人であるキュウくんよりも年上になって、キュウくんよりは大人っぽくなれたかなと思います。
当時は、子どもながらに夕子のことは大人っぽいなあと思いましたし、本の中に広がるアートなそして、秋らしい金木犀の香りに包まれた世界を、なぜか感じていました。
持っていたのは、初版でハードカバーでしたが今は文庫やkindle版で読むことができるようです。
10代の皆さんに読んでほしいですね。
この続きは、また追記していきたいと思っています。