「バッカスの巫女たち」J・コルタサル著 木村榮一訳 『遊戯の終り』所収 国書刊行会
33枚/400字
【あらすじ】
劇場で催されたコンサートへ僕は行く。
芸術には無縁なこの街に、一人のマエストロが熱狂を持ち込む。
曲が終わるたびに、マエストロ・指揮者は盛んな喝采を受ける。聴衆は皆感動を抑え消れずに興奮している。
泣いている婦人、痙攣を起こした娘などで、劇場内はますます狂気の体であふれかえった。僕はそんなバカ騒ぎに加わるつもりはないのだが、そんな僕の冷静さゆえ、僕に罪の意識さえ生じさせてくるのだった。
【感想】
読み始めたときには、まさかこのような展開になるなどとは思ってもいなかった。多少、面白味に欠ける話だとすら感じていたが、読み進むにつれて、人々の狂乱・狂気が話のなかに満ちてくるので、異様さ異常性に引きずられていくようにして読み進んでいった。
ラストに近づくにつれ、次から次へと奇っ怪な事態を人々が起こす。
あっけにとられるほどの巧みな話の流れにただただ驚いた。すごいなぁ。
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