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【読書感想文#24】 パリ行ったことないの  著者:山内マリコ

面白かった!

理由は3つある
①それぞれのパリ
②第一部と第二部の構成
③パリに住む"わたし"がパリにいる事で感じた日本でかかっていた呪い


面白かった理由①
それぞれのパリ

この本はパリに憧れる人、パリを目指す美術少女、パリに行くと決めた事で生活にハリが出た老婦人、パリに行ってみたかった少女の頃の気持ちを思い出した肩身の狭い生活をしている専業主婦...etc
とさまざまな人が描かれている短編集を集めた本だ。

それぞれが自分の人生の中でのパリの位置付けがありパリという地を目指す事で生まれる感情の変化や日常の変化が描かれている。一言にパリと言っても様々な捉え方があるなと感じ面白かった。


面白かった理由②
第一部と第二部の構成

第一部はそれぞれ個人の話があり短編集の形をとっており第二部ではパリで旅行会社に勤めている30代の女性"わたし"が主人公で"わたし"の主観で話が進む。"わたし"が主催する南フランスへのバカンスの旅行に日本からさまざまな人が参加する。第二部を読むうちにその参加者がそれぞれ第一部に出てきた登場人物だという事がわかる。第一部ではみんなパリに行くところまでは描かれていない。そのおかげでパリではないがみんなフランスの地に降りたったのだな。というなぜか嬉しい気持ちになった。第二部は文庫本用に加筆された話という事もあり第一部のその後の様な話で面白かった。


面白かった理由③
パリに住む"わたし"がパリにいる事で感じた日本でかかっていた呪い

第二部の主人公の"わたし"が様々な場面で日本にいた頃の自分と今パリに住んでいる自分を対比するシーンがある。時には結婚の事だったり時には仕事への価値観だったりバカンスの事だったり自分自身の事だったりと様々だ。日本にいた時に悩んでいた事がどうでもいい事になっている事にふと気がつき日本にいる時には狭い考え方になっていたんだなぁ。と気づく場面がある。それも日本が悪いという捉え方ではなくどちらも一長一短があるという描き方も心地良かったし日本では当たり前になっている事は日本にいたら空気の様な物で気づきにくい事も感じさせてくれる。

自分もスペインに留学していた事があるが少なからず自分と似た様な経験をしたからその時の事を思い出した。

面白かった。

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