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主計将校:1914の戦略と戦術その1(オーストリアハンガリー、ロシア編)


傑作ボードゲーム主計将校シリーズ。
第一次大戦をテーマとしたのが主計将校1914です。

以下は簡単な紹介記事です。

面白いです。また中毒性があります。1プレイ2時間前後で何度も回して色々試すことができるのも魅力です。
ゲームの戦略戦術と特徴的なカードについて記していきたいと思います。
ルールや用語の解説はありません。プレイ回数1〜3回くらい又はこのゲームやってみたい人を想定した記事です。

今回は東側の二勢力の戦略戦術です。





オーストリア=ハンガリー&オスマン帝国

豊富な目標トークン設置カードにより同盟の得点源となります。
陸戦カードが少なく攻勢能力が低いです。設立カードは充分ありまた地形効果も相まって防衛能力はあります。
ただし眼の前のロシアとのサシの殴り合いは勝てません。

オープニング


ゲーム全体の初手となるAHO(オーストリアハンガリーオスマン帝国)のオープニングです。
以下3つが有力と考えます。

フランツフェルディナントの仇討ち
チロル設立(又はそれに類するイベント)
アドリア海設立

中でも強力なのはフランツ仇討ちです。1ターンで目標スペースのセルビアを攻撃しさらに設立する強カードです。ゲームシステム上1ターン目AHOの攻撃は必ず成功します。ロシアから1点奪いAHOが1点取れるので差し引き+2点です。2ターン以降だと常にロシアが補給マーク付きのセルビア増強カードを準備している可能性を警戒しないといけません。
初期配置からロシアはセルビア奪回にウクライナ、ルーマニアと2スペースで設立しさらに難地形のセルビアに陸戦して設立する必要があります。単純計算で4手番かかります。(ウクライナに設置しないロシアはまずいないので実質3手番)
その手間をドイツと戦いながらこなすのは困難です。さらにセルビア増強系のカードも使い道に困ります。
イギリスがバルカンに進出するまでバルカンの王者はAHOとなるでしょう。

フランツ仇討ちが初手になければチロルが最有力でしょう。イタリアアルプスまで手を伸ばせば2点が手に入ります。イタリアの反撃能力は低いです。奪回されにくい長期的な2点です。

アドリア海設立はよりイタリアにプレッシャーかける初手です。
フランスイタリアにローマ設立を強要します。大きな負担です。ローマに設立がない場合はありがたく頂きましょう。ローマ設立された場合は2ターン目にイタリアアルプス設立でイタリアの北進を阻止できます。
デメリットとしてまずアドリア海だけでは点になりません。アドリア海はイタリアアルプスの設立がセットです。2ターン目の行動がほぼ固定化してしまいます。そしてチロルイタリアアルプスと設立していったパターンより点数集計で1点低くなります。
攻めっ気強いがやや柔軟性欠く初手でしょうか。

フランツ君!君に決めた!

オーストリアハンガリーその後の方針



AHOは同盟の得点係です。ドイツは戦争に忙しく点を稼いでくれるとは限りません。ドイツが東西に奔走しその間にAHOが実利を取るという感覚です。
目標トークン設置して招集系カードとトルコの拡張が得点源となります。
一度獲られた土地を取り返す能力はほぼありません。陸戦カードがとても少ないです。故に陸戦行う系のイベントカードはとても貴重です。
ロシア英国の攻撃を喰らいにくい場所を渡り歩き小狡く稼ぐことが求められます。
1チロル
2イタリアアルプス
3イスタンブール
最初の得点ラウンド
これが良くある進行です。

ワイのターン!目標トークンを召喚して召集!


最大の脅威はロシアによる直接攻撃です。
防ぐにはドイツを扇動して徹底的にロシアを叩いてもらいましょう。また可能ならばガリシアに橋頭堡を築いておくとウィーン直接攻撃は喰らいません。
早めにロシアのレール軌間を出せると脅威はほぼ無くなります。祈りましょう。

終盤にイギリスが地中海から攻め込んでくるとその頃は抵抗力がないかもしれません。それは諦めましょう。AHOが虐められた分ドイツが楽をしているはずです。

ドイツのロシア本格攻勢の際は確実にサポートしたいところです。AHOの経済戦争カードはほぼ対ロシアです。
難しいのはスペイン風邪の評価です。経済戦争で使うと協商7枚同盟2枚で5枚差つける強力カードです。準備して損耗フェイズ使用だと協商3枚同盟0枚で3枚差。しかし損耗フェイズに打てるメリットがあります。プレイしたいカードが貯まっているなら損耗行きもありでしょう。

ドイツのモスクワ攻めに呼応したいAHの経済戦争 評価が難しいスペイン風邪

ロシア

豊富な陸軍設立による人海戦術と陸戦能力が特徴です。
AHOを潰す役割が期待される勢力です。しかしながらドイツとの派手な殴り合いも避けられないでしょう。
デッキが最も薄く終盤はカード枯渇の注意が必要です。

オープニング

ウクライナ設立(ロシアの動員)

この一手と思います。ロシアの動員を持っていればより良いです。
2手目とロシアの動員で1ターンで2個置きできる時は選択が分かれます。

正攻法はガリシアです。
ガリシアはドイツAH両者にプレッシャーをかけます。特にAHはウィーン陥落の恐怖が訪れます。ただし両者からの反撃を喰らいます。それはロシアの宿命です。もしAHが貴重な戦闘系カードを消費してくれたらその分イタリアとバルカンが楽になるでしょう。

ルーマニア設立でセルビアとの回廊を開く手もあります。AHO初手フランツでないことが条件となります。ドイツへの圧力が落ちますがフランスのルーマニア系カードを空振りさせず助ける意味があります。ルーマニアセルビアの回廊を保持すると将来的にブルガリアギリシャのAHが補給切れになります。これは中終盤の英国の反撃を助けます。

黒海設立はトルコ攻めをちらつかせAHOに間接プレッシャーを与える戦法です。アゼルバイジャン設立できるメリットがあります。ただし相手からは陸戦と設立ないのかなと見られるでしょう。

初手ロシアの動員は嬉しい 右2枚はセルビア健在のうちに準備しておきたい

ロシアその後の方針


ロシアはドイツと殴り合うのが宿命と思いきや意外に選択があります。
ただ全てはドイツ次第です。
ドイツの本気の東部攻勢が来たらモスクワ防衛が最優先となります。このゲームはモスクワまで平坦で泥濘もロシアの冬もありません。設立設立、準備準備の人海戦術で守りましょう。
ロシア特徴にして最大の強みは陸軍の設立カードの豊富さです。

ではドイツが東部で積極攻勢を行わない時はロシアにどういう手があるでしょうか。
素直に行くならポーランドプロイセンに進出してドイツを挟撃です。これはドイツの準備カードが少ない時が効果的でしょう。

次にAH直接攻撃です。ウィーン陥落は同盟にとって大きな痛手です。占領までは行かずとも得点フェイズの直前にウィーンのAH陸軍撃破は大戦果です。ロシアとしても難地形のウィーンを攻撃するのは激しい出血となります。英仏プレイヤーによる独主力の誘引が望まれる戦法です。

ルーマニアセルビア回廊保持とトルコ攻撃戦略との組み合わせもあります。AHOが目標トークン起きまくりの時は奪えば得点になります。逆に生かしたままだと同盟の得点源となります。潰したいところです。その際はロシアのレール軌間が非常に邪魔です。劣悪な鉄道も少し嫌です。レードル大佐の標的の一つでしょう。

AHOのウザ2枚 特にレール軌間はレードル大佐で狩りたい

またセルビア増強系カードは必ず準備をしておいてください。AHの陸戦の継続は大変に貴重です。使わせたらそれで戦果です。
パンと平和と土地をはゲーム最終盤に使うのがセオリーですが途中の得点計算ラウンド直前にこれを打ってサドンデスもあり得ます。得点ラウンド直前のロシア手番で8点9点リードしていれば狙いましょう。手番上ドイツが設立できないスペースのコマを取り除くのが良いでしょう。

左ロシア革命 右によりロシアの陸軍設立は実質11枚

おわりに

AHOは同盟の得点源です。ロシアはAHOがヌクヌクと得点するのを防ぐ役割があります。しかし全てはドイツ次第というのも両勢力の宿命です。
そして西部戦線へのドイツの圧力が弱いと英国が地中海にやってきます。
これもまたドイツ次第というのがこのゲームです。
ではドイツ以外は面白くないかというとそうでもないのもこのゲームの良さです。
次はフランス・イタリア、英国米国の戦略戦術について書いていきたいと思います。

その2 仏伊英米編できました。

その3 ドイツ編できました


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