私信
全部間違ってると知りながら、ただいつかの記憶を塗り潰すために歩いている。
塗り潰せなくても、風化して無くなってしまえば、それで良かった。例え傷に傷を重ねるだけであっても、元の傷を忘れられるのなら。現実はそうはならなかった。
3月の終わり。だいぶ、頭が春に侵されてきた感覚がある。
まあ元はと言えば、酔った頭でSNSなんて検索してしまったのが悪いわけだが。どうしてそんなことをしたのだろう、とイマイチ自分のことがよく分からない。先日見た夢のせいで、存在感が大きくなってしまったのだろうか。まあそれにしても。
久しぶりに顔を見てしまった。正直に言って忘れていた。こんな顔だったっけ。
これまで、ただ漠然とした印象になったものを恐怖してきたけれど、実体が与えられることで却ってそんな感覚が和らぐようでもあり、別の感覚がまた生まれてくるようでもある。それはいつかの触覚であったり、苛立ちや恨みに近いものであったり。
最近、アパートの外壁工事が進んでいて、過敏症気味の自分には、塗料臭で少し頭が痛い。