大晦日はうま煮
どうも胡麻です。
子供の頃から大晦日は煮物ばっかり食べてまして。
人が集まる家だったもんで、食べるものはやたらと用意されていて、おせち料理や蟹、高級ハム、中華オードブルがヅラっと並ぶ中で、俺は親戚じゃないが親戚より親戚なオバさんが作ったうま煮をお重の一段独り占めしていた。
うま煮は北海道の呼び名らしい。
鶏肉と根菜の煮物だ。
社会人になってもそのオバさんのうま煮が大好きで大好きで仕方なかった。
去年、オバさんが召されてしまった。
召される3年前から施設に入ってしまう。そしてコロナ。
俺の親が作るうま煮は親の味だ。オバさんの味ではない。
オバさんは俺の親の乳母に近い存在で、料理から何から教えてくれたのは祖母ではなくオバさんだったのだが、味を継げていない。
昔、元嫁さんにオバさんのカレイの煮付けとうま煮を習わせた。カレイの煮付けはいいとこまで近づいたが、うま煮は全然だった。
料理上手なベイビーちゃんのママンに材料と味を伝えて作ってたもらった事もあった。流石。かなり近い。俺の表現力の限界という事だ。正確に伝える事ができれば…
誰も再現できない味。
おそらく一番食べたのは俺だ。
俺が作るしかない
一昨年の年末から恒例行事の如くうま煮を作っている。
先程、今年のうま煮を煮終えた。あとは冷して味が染み込めば完成である。
アチアチの里芋と鶏肉をつまみ食い。
「……?」
竹の子をつまみ食い。
「……?」
人参、ごぼうをつまみ食い。
「……」
また里芋をつまみ食い。
「……へ?」
美味い。
え?美味い。
オバさんのうま煮の足元にも及ばないが、美味いぞ。
去年との違いは、鶏肉の扱いだけだ。
鶏モモ肉の皮を剥がし、弱火フライパンに投入。肉に付いた脂肪を丁寧に剥がしてはフライパンへ投入。
フライパンは油の海。
皮と油カスを取り除き、鶏肉投入。
油は鶏油のみ。これか?これが功を奏したのか?
やたらに美味いぞ?
味が染み込んでどうなるか。
楽しみで仕方ない。