変電所。青いベンチ。それと夏を待つ僕。
毎朝、モーニングルーティンと称して、近くの変電所まで散歩に行く。
変電所前の路地に、青いベンチがある。山々に囲まれたこのあたりでは、小さな先客がいることが多い。今日もカメムシがいたので、潰さないように隣に座り、これを書いている。
聞こえてくるのは、はるか上空から届くトンビの声、山のどこかに隠れたウグイスの声、それと変電所が低く唸る音。
5月のやさしい太陽が、周囲の山の葉を透き通らせ、頭上では分厚い雲がゆっくりと移動する。今日は鉄塔の向こうで、飛行機雲が落下していくのも見えた。
喧騒も雑踏も存在しない、僕だけの場所。
僕は雨が降らない限り、毎朝この場所に座って、一日の気持ちを作る。と言っても、仰々しい儀式などない。ただ景色を眺めたり、小説を読んだりするだけだ。でもこれをするだけで、1日を豊かな気分で過ごせる。仕事開始をどんよりとした気分で迎えるのか、気持ちよく迎えるのかで、その日の質が決まってしまうから。
最初は平日だけと思っていたが、つい居心地がよくなって、こうして週末も来てしまっている。
もうすぐ雨季が来るのか。
せっかくできたこの習慣も、しばらくお預けになると思うと、少し寂しい。
けれど、それを越えれば、楽しみにしていた夏がやってくる。
さてと。娘たちが家で待っている。
今日は、どこへ連れて行こうか。
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