台湾カステラでTOC(制約理論)
ゴールドラットのオバタです。
お菓子づくりが、情操教育に役立つと聞き、休日にいろんなお菓子に挑戦しています。そんなこんなで、最近は、子どもと一緒に台湾カステラづくりにはまっています。
難しそうに思っていましたが、意外とうまくできるもので、すでに4度ほど挑戦。初めてつくった時は、16㎝のパウンドケーキ型で、卵2個を使ったミニサイズ。次は、直径15㎝の丸形で、卵2個で挑戦。またまたうまくいったので、卵4個を使った大きなサイズにも挑戦。参考にしたレシピに、何となく近い形の1斤の食パン用型を使ったところ、大失敗。中は生焼けでした。
失敗の原因は、型のサイズなのは明らか。どのくらいの違いがあったのか、比較してみました。使った食パンの型は、一辺が12㎝の立方体。一方、レシピでは、15㎝×15㎝の平たい型。底面積を比較すると144㎤、と225㎤でした。400ccの水を入れた際の高さを比べると2.7㎝と1.7㎝。高さが1.6倍違うと、完全に焼けるはずがありません。そこで、レシピで使われていた容器に近いものはないかとキッチンを探したところ、16㎝×22㎝のグリル用耐熱容器を発見。底面積352㎤で、400ccの水の高さは1.1㎝となる容器を使い、大成功。ふわふわ、ぷるぷるの台湾カステラが完成しました。「何となく似ている」と理由で選んだ1斤の食パン型は、底面積が小さい分、生地の高さが出てしまいました。焼成する菓子においては、完全に火を通すため、深さ(高さ)がカギとなります。
台湾カステラを作る際に参考にするレシピは、元パティシエのYouTubeチャンネル『ともカフェ』。キレイに仕上がるレシピを紹介する料理系チャンネルが多い中、「台湾カステラは苦手」と公言し、表面が割れてしまう、成功したのに落としてしまうなど、失敗もショート動画にアップします。何と合計18回も台湾カステラに挑戦。そのたびに、失敗原因を分析し、一つずつ改善を繰り返す。たとえば、卵白を泡立て過ぎないように注意したり、焼成する際の温度を低温にしたり、下火が直接当たらないように型の下に濡れ布巾を敷くなど。最終的に、再現性のある台湾カステラのレシピと焼き方が完成します。
たかがお菓子づくりと侮ることなかれ。お菓子や料理レシピは、原料の特性を考慮しながら、調理や焼き方を工夫し、誰でも再現できるよう確立された自然科学であると言えます。
再現性のある自然科学の理論を社会科学に持ち込んだのが、ゴールドラット博士のTOC(制約理論)です。さまざまな経営手法がある中、ゴールドラット博士はTOC(制約理論)を「手法」ではなく「理論」だと位置づけています。TOCは、まだ起きていない結果を前もって予測することが論理的に可能で、確実に成果を上げる。他の追随を許さず、いまだに意外性を持って受け入れられる理論です。
ついAmazonでポチっとしがちな「僕が●●で大成功した理由」というような魅力的なタイトルのハウトゥー本。結果を振り返った著者の経験則で、手元資金やキャリア、分野の違う領域には適用するのは難しい。「あの人だからできたんだ」という感想で終わってしまうこともしばしば。
一方、論理に基づいて、結果を予測しながら、それぞれの現場に応じて最適解を出していくTOCは、さまざまな分野への汎用性が高い。製造現場はもちろん、大学や研究機関、銀行やアパレルなどの小売り、流通で利用されています。各現場に応じて最適解を探すのは、ゴールドラットジャパンのTOCエキスパート。会議室で評論とデータ分析を繰り返すのではなく、日々現場に足を運び、クライアント企業の経営全体を最適化すべく奔走します。
さて、台湾カステラは成功。いまだに失敗続きなのがアイスクリームです。卵黄、生クリーム、砂糖を混ぜて、冷やし固めるシンプルな工程なのですが、どうにも成功には至らず。日々、失敗作を消費する家族に不評です。次は、失敗を学びに変える手法である「ミステリー分析」を使って、なぜ失敗するのか、検証してみたいと思います。