読書ノート2024 (その12)
タイトル:大阪アースダイバー
著者:中沢新一
皆さんは「アースダイバー」という言葉をご存知でしょうか。
「アースダイバー」という名称の由来は、世界が一面の水に覆われていた原初の時代に、水底に潜って「新しい世界」の大地の元になるわずかな泥土を持ってきたという、アメリカ先住民の潜水鳥神話に基づいています。(Wikipediaより)
著者はこのアースダイバーという手法を用いて、東京や大阪、そして日本各地について時代を遡り、現在に至るその地域に根付いた課題や現状を明らかにしようとしています。
この本を読むにつれ、大阪で育った私が全く知らなかったことや、ぼんやりとしか知らなかったことがはっきりとした事実がたくさんありました。
もともと大阪は、現在のような都市景観があったわけではなく、生駒山脈と海を挟んで現在の上町台地があり、その間には世界に通じる海が横たわっていたようです。
そしてその海を渡って世界の様々なところから大阪にやってきた人たちが、今の私たちの祖先だと言われています。
つまり、大阪の人々の考え方や行動が形成されているのは、海外からやってきた人々と元々住んでいた人々の融合によるものであり、大阪の礎となる人々の考え方がその中心にあると言えるでしょう。
よく「日本人」という言葉が使われますが、実際のところは「日本人」という人種はもともと存在せず、様々な地域からやってきた人々が混ざり合って形成されたのが、今日本で生活している人々の大半だと考えられます。
そして、様々な人種の人々が交差することによって生じた課題や差別問題などは、現在の社会が抱える問題の根底にも存在していると思われます。
大阪という土地は他とは異なり、とても興味深いところですが、この本を読んでさらにその確信を深めることができました。
大阪の町並みやそれを取り巻く地域を改めてじっくりと歩いてみたいと思います。
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