
相性
うだるような暑さの中、友人と喫茶店へ逃げ込む。別々の味のパフェを注文する。
追加注文する気もないくせにメニューを眺め、会話を並べる。
話題は「最高のコンビ」は何か。
あなたは「最高のコンビ」と聞いたら何を思い浮かべるだろうか。
きっと今あなたが想像したコンビは、どれも本当に素敵で、最高のコンビなのだろう。
そんな中、もし、その最高のコンビと肩を並べていると痛い勘違いをしている、最高のコンビ" ぶっている "二人組が居たら、複雑な気持ちにならないだろうか?
僕は日頃から、チョコとバナナのコンビに違和感を感じている。
このコンビ、僕の中では" ぶっている "のだ。
皆は本当に、合う、美味しい、と思っているのか。美味しいとされているから美味しいと思ってはいまいか?
まず、味と食感があっていなすぎる。
そのため僕には、バナナがチョコの足を引っ張っているバランスの悪いコンビとしか思えない。
チョコのピンで十分やっていけるではないか。
注文したチョコレートパフェが運ばれてくると、当たり前のようにバナナも付いてきた。
メニューを見直すもバナナとは表記されていないし、友人の頼んでいた抹茶パフェの方を見てもバナナは乗っていない。
つまりバナナは、パフェのバーターではなく、チョコのバーターとして参加しているのだ。
チョコとパフェだけのユニットライブを楽しみにしていたのに、バナナがシークレットゲストでしゃしゃりでてくる。
チケット代を払い戻して欲しい。
友人の抹茶パフェがバナナ抹茶パフェになっていくのを横目に、文句が加速する。
チョコとバナナのコンビの仕事の顕著な例として挙げられる、夏祭りのチョコバナナ。
あれはなんだんだよ。チョコ居なくなった時のことを考えてみて欲しい。
剥き身のバナナが串に刺さっているだけ。
そんなもの、ドンキーコングのミニゲームの絵でしかない。
今日び、猿すら見向きもしないだろう。
そんな状況に、チョコをひと塗りするだけで人気と値段が大きく上がる。
チョコが詐欺に加担しているように見えてしまう。
コンビの稼ぎ頭のチョコが、バナナの生活を守るためにわざわざ仕事を持ってきて空回っているのだ。バナナせいでチョコの評判まで落ちる。
ちゃんと考えているのか?チョコはそこらへんの考えが甘すぎる。
もちろん、チョコとバナナは最高のコンビだと評する方もいるかもしれない。
しかし考えてみてほしい。
最高のコンビなら、対等なコンビでもある必要がある。
本当に対等なコンビならば、チョコでいうバレンタインのような日が、バナナにもないと辻褄が合わないじゃないか。
想い人にバナナを渡す日。
なんだか、意味がありそう過ぎるのであまり考えないでおく。
友人の答えを聞くと、友人の最高のコンビは「映画」と「ポップコーン」だった。
ポップコーンにアカデミー賞はない。
対等な二人ではないが、全然最高のコンビだった。
また、祭りのチョコバナナの件も、「普通に美味いし、祭りでチョコ単品で売られてても奇妙だろ」と、簡単に論破された。
そんなこと言われたら、もう何も言えない。
なので、チョコばかり贔屓せず、バナナを少しずつ認めていこうと思う。
チョコのファンではなく、二人のファンになろう。ライブの出待ちでも二人に握手を求める。
この時僕は一皮剥けた。