思い込みや先入観無く部下と関われていますか?
三菱UFJ様と日経BP様による新しいビジネス情報サイトの「人材育成コラム:【若手を生かすマル秘テクニック】」と題してコラムを担当させていただいておりますが、文字数制限の関係上、本編では伝えきれなかったもあるので、それを補足するような形でnoteに追記していこうと思います。今回は、第6回「叱って感謝される上司は何が違うのか」に関してです。
まずは一度こちらの本編をご覧ください。以下に補足していきます。
本編では、叱られたいと思う若いビジネスパーソンはどんなことを考えているのか?上司はそこにどうコミュニケーションをとっていくと良いか?などについて書いたのですが、この補足のnoteでは別の視点での気になる点について書いてみたいと思います。
「叱られたいと思う若い部下なんて、本当にいるのか?」とその存在に懐疑的な反応をする人は少なからずいるのですが、掘り下げて話を聞いていくと傾向として、若い世代に対する良くないステレオタイプイメージに自分の部下を当てはまてしまっているケースが少なくありません。いつでもコミュニケーションできる場所に部下がいるにもかかわらず、関心をもって自分の眼で観て、直接対話でその声を聴くことが十分にできておらず、世の中でいろいろと言われている「今の若い世代は●●だ」というネガティブイメージに「無意識」で部下をあてはめしまっている。自分が直接見聞きしたことよりも周囲からの伝聞によってつくられたイメージに引っ張られていたり、さしてひざを突き合わせて話し合ったこともないのに「若い世代は何考えているかわからない」と結論付けてしまって年齢差のある部下と踏み込んだコミュニケーションを敬遠していたりするケースもありますよね。
「今の若い世代は打たれ弱い、厳しい言葉に弱い」なんてステレオタイプイメージがありますが、こういうものに引っ張られるとコラムでも書いているように「叱られたいと思う若いビジネスパーソン」の存在を疑ってしまうのではないでしょうか。「若い世代だから~だろう」のように「●●だから~だろう」な前提のあるコミュニケーションは、上司として良い方法とは言えません。一般論がそうであっても、自分の眼の前にいる部下がどうかは別の問題ですし、そもそも人間関係において相手を思い込みや先入観をもってみてしまうことは良くないと誰もが思っているはずです。にもかかわらず、振り返ってみると意外と無意識のうちにやってしまっている。
他の例も挙げてみましょう。
部下の行動で何か問題があり、改善策を相談してる際の会話です。
私 「何故そんな事をしてしまうのでしょうか?」
上司「~だからだと思います」
私 「それは本人の口から直接聞いたのですか?」
上司「いやそういう訳ではないですが、多分そうだと思います」
このやりとり、まずいと思いますよね?
おそらくほとんどの上司が客観的に見たらそう思えるんです。
ところが
「ここ最近、部下がやってしまった問題事案、要改善事案で、本人から明確な原因を聴けているケースは100%ですか?」
と問うと
「基本的にはそうしているけど、100%ではないかな・・・」
部下とのコミュニケーションに課題がある上司の多くはこのような回答です。一方、部下がやってしまった問題事案、改善事案の原因について何も答えられない上司もまずいなくて、何かしらの原因めいたことは答えます。
部下から問題の原因を100%聞けている訳ではない。
でも、部下の問題の原因は何かしらは上司として答える。
つまり上司としてやってはいけないことと認識しているにもかかわらず、無意識に思い込みや先入観で原因を決めてしまっている部分がある。また、実態確認してみると「基本的にはそうしている」と前置いてたはずなのに、半分以上が憶測で原因を決めてしまっていた。なんて事例も全く珍しくありません。
部下は、思い込みや先入観で自分を見ている上司を見透かしているものです。逆の立場ならそうですよね?何度も同じ失敗を繰り返して「またやっただろう」と思われても仕方ない部下も実際いますし、「またか」と思いたくなるのもわからなくはありません。同じ失敗を繰り返す部分は部下も改善しなくてはならないのですが、でも、それでも「どうせまた今回も一緒だろう」という前提ありきのコミュニケーションは決して良いものではありません。
で、そもそも今回の本編コラム「叱って感謝される上司は何が違うのか」から、なぜこのような「上司は思い込みや先入観もって部下を関わるのは良くないですよね」という補足を書いているのかというと、コラム冒頭で伝えている「叱られたいと思っている若いビジネスパーソンがいる」ということに懐疑的な印象を持った方は、もしかしたら気づかぬうちに思い込みや先入観などに引っ張られて部下を見てしまっているかもしれません・・・よ(必ずそうだとは言いませんよ!)という投げ掛けをしたかったからです。実際、そういう上司の方に遭遇することが少なからずあって、そういった方はだいたい無意識にそうなっているので、この機会に一回振り返ってみる機会にしてもらえると良いなと思った次第です。
今回、何度もキーワードとして「無意識」と書いています。
悪気があったり意識して思い込みや先入観をもって人と関わる人なんてあまりいないと私は思っています。だからこそ、厄介なのです。本人に自覚がないわけなので。対策は、難しく考えすぎず、日頃から意識したり、たまの振り返り、そして周囲に自分が思い込みや先入観で人と接してしまっていないか聞いてみるのが一番かなと思います。
最後に。私がここでお伝えしている内容について、当たり前すぎるとか物足りなく感じる方もいると思います。どうして、こういう切り口やテイストで書いているのかについては、以下に書き記してますので、ご興味あるかたはまたご覧ください。
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