前向きな後退という判断
この文章をこんな風に訳されてる方がおられました(そのままですが)。
「間違った方向へ舵を切った時の一歩後退は、正しい方向への一歩である。」
目先の結果や評価よりも、その先の大事な目的のために判断をする。ということとも受け取れます。進めていたことを止める。ましてや進捗していたことを戻すというのは、最初のスタートまでとは言わずとも一定進捗を戻すことですら簡単でないケースが仕事でも多々あって、大企業の経営判断であってもそれは例外ではないですよね。実際、我々が企業のニュースを見ていても「ああ、引くに引けなかったんだろうなぁ」と思うことがあると思います。
経営者なら言わずもがなですが、部下を持つ上司の立場であっても、引き際や立ち止まって考えるべきタイミングを見極める「判断力」と、その結果を持って次のアクションを決める「決断力」は相当大事なスキルです。マネジメントの立場にありながら、自分の失敗を認めたくないがゆえに判断を後送りする残念な人もいますがこれは論外として、判断と決断が遅れて大きなダメージを受けてしまう事態が起きてしまうのは、その判断基準の中で「感情」の比重が大きいケースが結構あるんじゃないかと思います。特に経営者より管理職レベルにこの傾向が見て取れやすいかと。
・ここまでみんな頑張って来たからあともう少し様子見たい
・やめたときに周囲や上司に何か言われたくない
など、他にもいろいろなパターンがあるでしょうが、こうなると理屈ではないだけになかなか踏ん切りがつけづらいことは実体験も含め気持ちはわかります。でも、こういう理由で結論を後送りしたことって、結局好転しないことが多いような気もしませんかね?
そうならないための方法の1つは「事実」をベースに判断することです。そして、その事実についてどういう状態になった場合には「立ち止まる」「見直す」「止める」のかという基準を事前に決めておく。明確なものであるに越したことはありませんが、概ねのものでも良いので客観的に判断できる何らかの基準を設けて、必ずその状態が来た時には一旦考える。もしそれで、後退する判断を下すことになっても、その基準を設定した理由とともに方針変更の説明をすれば関係者にも一定の理解は得られるでしょう。これだけでも、結構変わります。自分の下にマネジメント職がいる方は、その部下が責任者として何かを始めるときに、見直す判断を下す基準や時期はどこに置いているかを聞くと良いですね(これ何かのことを始める最初の段階で、マネジメント職の部下に確認しないことが多いと思います)。
「時には歩みを戻すことも大事だ」ということは、マネジメントの立場にある人間は自らの言動で見せることが大事なことの1つだと思います。上司が日常的にこの判断と決断をしていない状態で、部下にはこれを求めるというのは結構コクな話ですからね。行動が必要なその時に「口で言うのは簡単ですけど、あなたも日頃そんな決断とかしてないじゃないですか・・・・」と思っていると部下は一歩踏み出せない(この場合、踏み戻すかな?)ですよね。