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PERFECT DAYSで思い出したこと
PERFECT DAYS (2023)
カンヌ国際映画祭 最優秀男優賞
観た、とても良かった。久しぶりに出会えた感じ。役所さん、、あっぱれ。
映画の感想を書こうとnoteを開いたけれど、思い出した話があるので今日はそのお話しにしようかな。
祖父の葬式に出席して、初めて骨上げを経験したとき。
*骨上げ: 火葬後に遺族で遺骨を拾い、骨壷に収めること
人にはすごく沢山の骨があるからほとんどの遺骨は係の方が説明を加えながら綺麗に壺に収めてくださった。
"亡くなった方の骨を壺に収める"
それは人生で初めて目にしたお仕事だった。
生きた歳の数や終わりの形によって骨の残り方も異なり、そこに立ち会う遺族や親族の心模様も本当にそれぞれなんだと気付かされる。とても苦しくて重くて、偉大で、美しい職業だと思った。心から。
式が終わった後、祖母のうちの食卓でその話した。むかし、葬式に纏わる仕事は世間から煙たがられていたということを叔父が教えてくれた。江戸時代では、死や死体に触れることやそれに関わる職業は「穢多(えた)」と呼ばれ、社会的に忌避される存在だったこと。葬儀や墓地の管理、火葬などを担当する職人や役人は人々から疏外されたこと。その誤った感覚は今でも少し残っていたりする風潮であること。
あれほど大切な瞬間に、プロとして遺族とその場を共にする彼らの覚悟に対して、わたしにはただひたすらに敬意しか浮かばなかったのでかなりショックだった。
パーフェクトデイズではトイレ清掃を仕事に就けている主人公を通行人や彼の親族が下に見るような描写があり、わたしは不意にそのこと思い出した。
どうして大人はごはん屋さんを出るときに"ご馳走様でした〜"と言えるのに、ごみ収集の人に"ありがとうございます"を言わないのだろう
そんなハテナを持って生きていた少女の頃のわたしへ。
その気持ち、そのままでいいよ。その違和感、間違ってないよ。