世界の米料理〜We love rice.
三度の飯よりパンが好きな私ですが、
米も大好きなんです。
日本と米
米は日本の主食である。
私たち日本人は、米中心の食文化を築き、米を美味しく頂くための技術開発に力を注ぐ、「米が大好きな民族」であるということに、私は誇りを持っている。
何より、日本の米は美味い。
「まずは、米をひと口。」
思わず箸をのばす。
ふっくらと炊き上げられた米の一粒一粒が、つやつやと光っている。
世界の米料理
が、しかし。
世界にも米を使った美味しい料理が存在する。
まず、アジアの地域は米が主食。
米が主食ではない地域でも、
イタリアにはリゾット
スペインにはパエリア
ヨーロッパ全域ではピラフ
どこの国でも、それぞれの食文化の中で、米は輝きを放っている。
世界の米料理を通じて、
その土地の文化に触れてみよう。
台湾 おにぎりスタンド
手軽さ★★★
価格★★★
食べ応え★★★★
米米しさ★★★★★
台湾でよく見かける小さな屋台。
そこに「飯糰(ファントァン)」と書かれた屋台があり、何だか親しみのある木製の桶の中から、美味しそうな米がちらりと見える。
米は何ともち米使用。
食べ応えがある上に、噛み応えもある。
肉鬆(ロウソン)と呼ばれる、干し肉をほぐしたものと、揚げパンが入っているのがベーシックタイプ。
白米と紫米を選べるところもある。
おこわのようだけど、米自体には特に味付けされておらず、肉鬆の甘じょっぱい味と、海苔の塩分で十分な味わい。
噛み応えがあるのに、モチモチした食感と、揚げパンのサクサクした食感が組み合わさって「あとひと口だけ。」が止まらない。
台湾では、小麦粉料理のバラエティが豊富だが、米料理も素晴らしい。
タイ お粥 ジョーク(โจ๊ก)
価格★★★★
出汁の味わい★★★
早朝か深夜に欲する★★★★
安心感★★★
タイには2種類のお粥があります。
ジョーク(โจ๊ก)は米の形がなくなるまでドロドロに煮込んだ中華粥。カオトム(ข้าวต้ม)は米を出汁で煮込んだお粥で、雑炊とよく似ている。
今回紹介したいのはジョーク(โจ๊ก)。
出汁のうま味がふわっと口の中で広がる、
ほっとする味。
離乳食のように見えるけど、飲み過ぎた次の日の朝食に最適。
半熟卵、刻み生姜、ネギ、肉団子などが一般的なトッピング内容。
テーブルには唐辛子、ナムプラー、砂糖や酢が置かれて、自分好みの味にもできる。
基本的には朝食に食べられているので、朝だけの営業もよくあること。狙いは朝の早い時間。
カオトムは雑炊のようなものなので、日本でも家庭でよく作られ食べられるものだが、ジョークのように米の形がなくなるまで煮込まれた、糊のような形状のお粥が私は氣に入っている。
きっと日本人の誰もが「美味い。」と感じる味わい。
台湾は日本から近いこともあり、食文化だけでなく、味の好みも似ているところがあるのかもしれない。
ベトナム おこわ
価格★★★★
種類★★★
ローカル度★★★★
食べ応えあるおやつ★★★
私たちは、もち米を炊いたり蒸したりしたおこわが大の好物。
ベトナムのおこわは何とカラフル。
乾燥しないように保温容器に入れられた鮮やかなもち米を、一般的なおにぎりよりも少し大きめに袋に入れてくれる。
看板もなく、道売り。
もち米自体には、少しの甘味を感じるくらいで、塩氣と食感のピーナッツトッピングのみの、シンプルなもの。
レストランで調理されたものよりも、家庭的でどこか懐かしい味。
日本でも各地域や季節によって変わる具材は、ベトナムも同じ。
ピーナッツのおこわは、蒸されてほくほくのピーナッツともち米の相性抜群。
塩のみのシンプルな味付けで頂くもち米のおこわは、日本の食文化とかなり近いものが感じられる。
ベトナムは、フォーや生春巻きなど、米を使った料理がたくさん存在する。
ベトナム料理が日本人に好まれるのは、米を食べる食文化が似ているということが大きく関係しているように感じる。
しかし、米としてだけでなく、麺類や生地にまで米粉を利用た料理が盛んに生み出してきたベトナム人たちは、日本人よりも米を愛しているのかもしれない。
ロシア ロシアンミートボール
食べ応え★★★★
米の存在感★☆☆
名脇役★★★★
米に合う米料理★★★★★
エストニアには、多くのロシア人が住んでいる。
以前働いていた寿司レストランのキッチンのスタッフは、ほぼロシア人が占めていたほど。
そのロシア人のシェフたちが作る賄いのミートボールには、必ず炊いた米が入っている。
ロシアのミートボールは、米を加えることにより、より柔らかくジューシーな食感がある。
作り方はとても簡単で、一般的なミートボールの作り方に炊いた米を混ぜるだけ。
フライパンやオーブンを使って焼き、その後にサワークリームやトマトベースのクリームの中へ。
後はパスタやマッシュポテトと一緒に食べる。
米がメインの料理ではないが、米の良さを十分に生かされた料理である。
中にチーズを入れても良し。
米を加えることで量が増える。
肉肉し過ぎず、なのにジューシー。
冷やご飯の有効活用。
「そんな米の使い方があったんだ。」
家庭で簡単に作れるのがまた良いところ。
私は米と一緒に、ロシアンミートボールを食べるのがお氣に入り。
米×米料理
米よりも、パンやジャガイモをメインディッシュに添えて食べることが多い地域では、米は料理をより美味しくする食材の1つとして使われ、食べらている。
エストニア 寿司の天ぷら
価格★☆☆
種類★★★★
食べ応え★★★★
寿司と思うな★★★★★
初めて「寿司の天ぷら」の存在を知ったときは、かなりの衝撃だった。
巻き寿司を天ぷらの液体に漬け、パン粉を付けてフライヤーの油の中へ投入。
エストニアの主食はジャガイモとライ麦パンなので、米がメインの料理はない。
しかし、彼らは寿司が大好き。
「好きな料理は?」
「Sushi !!」
「日本食」というカテゴリーで聞かずとも、寿司という日本食が愛され、たくさんの寿司レストランが存在する。
私も1年ほど寿司レストランで働いていたが、毎日かなりのオーダーがある。
中でも、サーモンが新鮮で美味しく人氣だが、寿司の天ぷらが特にオーダー数が多い。
サーモンとクリームチーズ、ネギが入った巻き寿司を天ぷらにした寿司。
醤油をつけて食べるのが一般的な寿司だが、こちらでは様々なソースがある。
サーモンや鰻の天ぷらにはテリヤキソース。
チキンの天ぷら寿司にはチリマヨネーズ。
エビの天ぷら寿司にはカレーソース。
始めは受け入れることができなかったこの寿司だが、これを「寿司」と思うからいけない。
これは「寿司」ではなく、「全く新しい米料理」なんだと考えることで、寿司の天ぷらに対する見方が変わる。
高温の油でカラッと揚げられた表面のカリッとした食感。酢飯は日本のものよりもかなり甘め。
「甘さ」と「塩気」が絶妙なバランスで組み合わされた味には中毒性があるのか、次のひと口が止まらない。
ロイズのチョコチップスや、ハッピーターンの商品がちらっと頭を過ぎる。
「甘さ」と「塩氣」のコンビネーションは破壊的な食欲を生んでしまうのだ。
それに油トリプルコンボは要注意。
魚やお肉の甘い油分と、揚げることで生まれる食感と甘味が更に食欲をかき立てる。
日本のように、魚介類が多く獲れないエストニアでは、他の様々な食材を使用した独自の寿司文化が築きあげられている。
生魚を食べる文化がない地域では、このような形となって寿司ではない「寿司」が誕生し、それが人々の好きな料理の地位を確立しているということが面白い。
世界の米料理を知って、新しい発見。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?