(連載5)ニューヨークでのゴリ押しで、とんでもない展開に!:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:1980年代後半
ロヲザの詩とルンナの服のコラボをやった。。。
「ロヲザ・ルナティック」の東京での評判が、意外によかったので、
その勢いで、
ほな
ニューヨークに行ってみようや〜。
ということになり、無計画で、日本人女子ふたりは、アメリカへ。。。
その頃、私は、出会った人にすぐ自分の作品を見せられるように、マルセル・デュシャンのポータブル・アートからインスパイアされ、こんな作品箱を作っておりました。
開いたとこ。
これを持参しての、ニューヨークで、あります。
ともかく、やたら、出かけた!!
ギャラリーのオープニングやら、知らない人のパーティーやら。ニューヨークの人はとてもオープンで、好奇心旺盛なので、ちょっと変わった日本人の女(の子?)というので、とくにロヲザのオーラ感は尋常じゃなかったし、みんなニコニコして、会う人会う人、すっごーい!!と、人が寄ってきた〜。笑
そして「いっしょにテスト・シュートやってくれない?」という機会もあったので、だったら、そういうのを雑誌とかにのせてくれたらいいよね〜。と。
で、ダウンタウンの面白いイベントなどを載せてる「ペーパー・マガジン」というのがあったので、そこの編集長さまを、知り合いに紹介してもらい訪ねてみたのですが、記事として取材するには、何か将来イベントをするとか、レコードが出るなどの、展開するネタがないと無理だと言われました。考えたら当たり前ですよね。情報マガジンなのですから。その記事を読んで、すぐ役に立つ情報が載ってないと、意味ない。。。
そうかーーー。そうだよなーーー。と。ミッドタウンあたりを、ぼんやり歩いておりました。
そうしたら、FITというファッションの学校で「ファッション アンド シュルレアリスム」という展覧会をやっていたので、ちょっと寄って行こうか。と、会場に行ってみた。
そして、そこで見たものは。。。。
そこに並んでいたのは、
私がロヲザの為に作っていた服とまったく同じような作品が、
ずらずら〜〜〜〜ズラ〜〜〜〜と並んでいたのですよ!!
そして、私は思った。
「なぜ、私の服がここに展示されてないのかぁ〜〜???」
なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なもう不条理感200%!!!
私の体内の血液はフツフツと火山のマグマのように煮えたぎって、それはもう「説明不可能な怒りの感情」となりました。
そして。。。
気がついたら、そのFITの展覧会のオフィスに、電話していた。。。。
「キュレーター(展覧会などの作品を企画したり、作品を選んだりする人)と話したい。」と言いました。
メイ。アイ。トーク。ツー。キュレター?
そしたら、なぜか、繋いてくれたんですよ〜。(これだけで、もう奇跡!)
ハロー。と、男性の声。
私は、まったく流暢でない英語で、「今、東京から来ているんだけど、ここの展覧会を見て、なぜ私の作品がここにないのか?疑問を感じた。 是非、私の作品を見てもらいたい!!!!」と言いました。
そしたら、もちろん
忙しいので無理です。
と。
しかし、私は体内マグマがドロドロになってコントロール不可能に煮えたぎっていたので、引き下がりませんでした。
「お願いです。お願いです。10分でも、いえ、5分でもいいから!!!」と「プリーズ」を連発しました。
Please! Please! Please! Please! Please!
その私の狂ったような勢いと、やけくそ感と脅し感が入り混じった口調に
キュレターの男性は恐れをなしたのか、
「だったら10分だけ。しかも今日だったら。」
と、おっしゃった!
それで、電話を切って、例の作品箱をもって、すぐ、もーーー直行です!!
そのキューレターは頭の良さそうなメガネをかけたアジア系の男性でした。そして、静かに、私の作品を丁寧に見てくれました。
「君の作品はいいと思うけど、もうこの展覧会は始まっているからねー。」
あ、そうそう!そうでした!そうだったんでした〜〜。あは〜。自分は何を今更あがいているんだろ?
燃え盛る火に冷水をかけられて、私は、やっとその時、我に戻りました。
そして、この方に会えて、作品を見てもらって、お世辞でも「いい」って言ってくれた!これを私の「青春の思い出の1ページ」にして、生きていこうと誓いました。(当時30歳すぎてましたけども。汗)
そして、私は、静かに、
。。。。サンキュー。。。。と言って、
作品箱を閉じた。コトン。
そして、その次の瞬間。
ものすごい奇跡が起こったのであります!!!
彼は、言った。
この展覧会が終わったら、次はロンドンでやる事になってるから、途中参加できるように、紹介してあげるよ。って。
なな、なぬぅ??
こ、この私が、ロンドンの展覧会に参加ですとぉ???
会場もビクトリア・アルバートぉ??あの観光ブックにも載っている王立の?
そして、彼はその場ですぐ、ロンドンのキュレーターにテレックスを打った。(ファックスみたいなものです。当時メイルやテキストはなかったので。)このスピード感!!さすがニューヨーカーですね!!
私はもう夢見心地でした。
これは、今思い出しても、自分の人生のピークでしたね。
ちなみに、この方は、現在メトロポリアン美術館のキュレーターとなられて、アレキサンダー・マックウィーンやコム・デ・ギャルソンなどの話題のの展覧会を次々に企画されております。
もちろん、私は、この時以来、コンタクトをとってるわけでもなく、ご本人も当然、覚えてらっしゃらないと思いますが、私にしたら、この事は、もう一生忘れる事ができません!!!
これ以来、約30年間、今の今まで、この出来事を超える奇跡の瞬間には、
。。。。。未だ、出会ってないです。。。。。(待ってるんですけども)
次回につづく。