
清水 克行「室町は今日もハードボイルド」
中世といえば、武士、百姓、荘園というようなイメージしかありませんでしたが、この本を読んで、様々な職業、身分の人が交じり合って、激しく生活してる様子が想像できました。
・中世日本の三大特質
① 公権力に頼らず、自力で解決する。
② 神仏に対する呪術的な信仰心の篤さ
③ 政治・経済・社内の諸分野における、多元的多層的な実態。
・中世を生きた人々の魅力は、私たちの常識や道徳から最も遠いところにいる存在。彼らの社会を学ぶ面白さは、私たちが安住している価値観を揺るがす破壊力。
・悪人すらも救済されるという浄土真宗の教義。「悪人正機」(自力で功徳を積むことができない悪人こそが救われる)の思想が多くの人々に受け入れられた。さらに戦国時代になると一向一揆として世俗権力を圧倒する勢い。浄土真宗本願寺教団はそんな全国各地の「日本版梁山泊」
・巨大都市室町時代京都は常に怪しげな半グレ集団が闊歩。なにか事が起きると、便乗して火事場泥棒的に破壊を繰り広げた。
・士農工商とはあらゆる職業の人という意味。順番には何の関係も無い。当時も江戸時代の人々も職人・商人を武士や農民の下とは考えていなかった。
・中世の日本では同じ分量表示でも地域や組織による容量の差異が激しかった。(現在の分量表示は一合→一升→一斗)同じ一升でも地域によって容積が全く違った。個々の田んぼの収穫量に差異があることが原因のひとつ。
・うわなり打ち(中世~江戸)
妻を離縁し5日から一か月以内に夫が新しい妻を迎えた場合、離別された妻はうわなり打ちを実行。親類縁者女総勢20名~100名で新妻の家に押し掛ける。破壊は台所を中心。
・江戸時代においては恨みを残して切腹に使った刀をその遺族が仇の家に届けた場合、届けられた仇の側はその刀をつかって切腹しなければならなかった。「指し腹」の習俗
・お堂や社殿に多数のエロ落書き。ほぼ男性が書いており、内容は女性に対する愛欲でなく、圧倒的に男性同士の同性愛。