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低スペ教育プログラム「資格を取れ」

1.はじめに


資格試験というものはめんどくさい。受ける度に何千円も取られて、しかも役に立つかどうかは分からない。何を隠そう筆者が昔取った英検2級の資格も今では埃を被っている。

資格は就職活動で評価されるだろうか?答えは否だ。資格よりもコミュニケーション能力が評価される。

では資格は就職活動で全く役に立たないだろうか?高学歴の学生は片手間で取れる資格はほとんど役に立たないだろうし、かといって重めの資格を取るとどうしても取った資格にキャリア形成が傾く傾向があるだろう。

しかし低スペ学生にとってビジネス系の資格はどんな軽いものでもびっくりするくらい役立つ。何が役立つかといえば「取る過程」が役立つのだ。


2.当たり前のことを当たり前に


私が今回紹介したい資格は、「MOS」「簿記3級」「FP3級」だ。なぜこれらの資格を紹介するかといえば、低スペ学生がまさにできていない「当たり前の事を当たり前のようにこなす」という目標に対して、まさに効果的な資格だからだ。

なぜ「当たり前」の事ができなければいけないのか。

例えば、就職活動においては、「言われた事をその通りにこなす」事や「計算」「覚えるべきものを覚える」という行為が必要になる。


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言っている事が意味不明かもしれないので、もう少し分かりやすく解説する。

例えば就職活動においては、エントリーシートというものが存在する。これは主に自分が学生時代に力を入れたことや、どういう事が出来るのか、という事をアピールするためにあるものだ。

ポピュラーな設問はこちらだ。

「学生時代に力を入れた事を400字以内で記入してください」

いくら低スペ学生といえども、ネットでそれなりに情報収集はするだろう。

「ラーメン屋でアルバイトをした経験です。〜という課題がありました。〜という施策を実行しました。〜結果は〜です。」

とあらかじめ作っておいた文章をコピー&ペーストして終わり。この行為自体にはそこまで問題はない。

問題は少しESの内容が捻られている場合だ。

学生時代に力を入れた事を、背景や行動事実も踏まえて、あなたがどういう役割でチームと協力したかについて記入してください


「あ、ガクチカだ!とりあえず貼っとけ!」


既にそのような事も踏まえて文章を作っている場合は良いが、大抵捻られるとどこかしらがズレている事が多い。それなのに、パッと見て「学生時代に力を入れた事だけ」を書けば良いと錯覚してしまう。

他にもこういったミスが起こりうる。

「写真を添付する際の拡張子を間違える」「面接の日付を間違える」「ESの締切とWEBテストの締切を間違える」「成績証明書の持参が必要なのに忘れる」

何故これらの事象が起こるのか。

それは適当に文章を読んでいるからだ。

本来こういった当たり前の事は基礎教育で身につけておくべき事だが、大学の試験はなんとなくレポートを書いて、他の人に締切を聞いて、それ通りにやっておけばなんとかなるという環境が悪いのだろう。書類も親が管理してくれて、切羽詰まったら勝手にやってくれる。

しかし、就職活動はそうではない。自分でエントリーする企業を探して、決められた手順を守って応募して、エントリーシートを決められたように書く。

アドバイスしてくれる良心的な人でも、流石に当たり前の事まではカバー出来ないのだ。

同じように、就職活動にはWEBテストというものが存在する。時間はかなり長く、言語問題、非言語(数学)系の問題がある。どちらも国語の授業や、算数(あえて数学とは書かない)ができていれば、相当難しい企業以外は、それなりに突破できるはずだ。しかし、これが中々壊滅的な人が多い。集中して数字と向き合うというステップは受験以来忘れてしまったのだろうか。


3.目標が無ければモチベーションは保てない


当たり前の事を当たり前のようにできるようにするためにもトレーニングは必要だ。

最も本来は真面目に授業を受けていれば、ありとあらゆる事はトレーニング出来るのだが、「適当にやる事が正義」という悪しき文化が充満しているのも事実だ。

何度でも言うが、「適当にやっていいのは当たり前の事が当たり前のようにできる人だけ」

例えば真面目に授業を受けていたら馬鹿にされる、サークルの役職では仕事を他の人に押し付ける人は平気でいる、ゼミは発言するインセンティブが無いといつまでも発言しない人がいる。このような環境では、いくら「当たり前の事を当たり前のようにできるようになろう」という文章を読んで、その日だけやる気に満ち溢れていてもすぐに戻ってしまう。

だから、「目標」として具体的な資格を目指す事は非常に重要なのだ。

そして、これは簡単なものである方が効果は高い。

例えば、宅建というと多くの大学生が少し取ってみたい資格に入るだろう。しかしこの資格の合格率は僅か15〜17%あまり。

もちろん目指す事は自由だ。しかし、合格率の低さはそのままモチベーションの低さにも直結しかねない。「どうせ受かるか分からないし、適当でいいや」と、気持ちはどんどんマイナスな方向に偏っていく。

一方、「MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト」の資格は合格率80%近くと言われている。どうだろう?少し落ちたら恥ずかしいという気持ちが湧いてこないだろうか?この気持ちこそがモチベーションの鍵となるのだ。

『「資格」は就職活動に関係ない』という言葉は事実であるが、それは普通に聞かれた事に対して適切な回答を出来る人や、四則演算がきちんと解ける人に限った話だ。一旦そのような言説は忘れてほしい。

4.MOS


おそらくあまり文章をだらだら書いても、対象となる読者の集中力は落ちていく一方だと思われるので手短に書いていく。

簡単に言えば、PCでよく使う「word」や「excel」、「power point」に関する資格だ。

おそらく資格取得そのよりも、公式サイトでの登録の方がめんどくさいと思うが、そこはなんとか乗り越えて欲しい。


様々な種類の資格が混在しているが、初心者はまず自分のpcにインストールされているexcelのバージョンを確認して、「excel 365&2019」や「excel2016」にチャレンジしてみよう。

excelはビジネスパーソンにとっては必須で、もう少し難しい資格の方が実務には活きるが、まずは基礎から身につけていこう。

MOSで一番ためになるのは、「問題文に書かれている通りの行動をしないと容赦なく×を喰らう点」だ。

例えばexcelで計算をするときに、めんどくさいから+を使って計算する人もいるかもしれない。

しかし問題文に「関数を使って」という文字があった場合は×になる。

また、セルと列を混同してしまう人にとっても良い薬になる。

こうした、言われた事を言われた通りにできるかどうかのトレーニングとして、MOSを取ってみてはどうだろうか。参考教材は日経のものをおすすめする。


5.FP3級&簿記3級


こちらはMOSほど、試験を受ける前段階の準備がめんどくさく無く、かつPCが必要にもならないので勉強自体はどこでも気軽に出来るだろう。

ちなみに受験を受ける際には、より受かりやすいものを選択した方が良い。

例えばFPは「きんざい」と「FP協会」と言われるものに分かれる。「FP協会」の方が合格率は高いので、そちらを受けて問題ない。

簿記は「日商」と「全商」に分かれるが、「全商」の方が合格率は高いので、まずはそちらだ。

簿記は簡単な計算問題のトレーニングとして、左と右にある数字を書いてある通りに操作する。

FPはひたすら暗記だ。覚えるべきものを覚えるトレーニングとして、また社会に出てからも税金や制度面で損をしにくくなる。


6.おわりに


上記について取り組むべきなのは、大学1〜2年生、または大学3年生の前期あたりまでだろう。

残念ながら後期に入ったらもうそこまでする余裕は無く、ひたすらテストセンターの問題を解いたり、エントリーシートをとにかく出しまくって、ミスがあっても良いようにリスクヘッジするしかない。

しかし、まだ余裕がある学生がこれを見て、もし自分が当たり前の事を当たり前のように出来る自信が無ければ上記の資格を受けてみて欲しい。

または資格のうち1個だけでも、合格率がとりあえず高そうなものを受けてみて、もし落ちてしまったら一度自分の置かれている状況を良く振り返ってみた方がいい。

また内定者で資格を取っていない人がいたら、入社前の準備期間に勉強しておけば損はないと思われる。時間もそこまで取るものではないので、遊びやバイトと両立できるだろう。

健闘を祈る。

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