メガバンがグループに拘る理由

メガバンクに限らず銀行業界が低金利政策によって苦しんでいるのはご存知だろう。3行ともリーマンショックを機に国内から海外へ収益の稼ぎどころを移し、国内への関心はもっぱらいかにデジタル化を進めて支店を減らし、経費を削減できるかという所に関心があるようだ。

現在の収益状況はどうなっているのだろう?
なんと、リテール部門に関してはメガバンクの各行で収益的に他の部門の足を引っ張ってしまっている。

*中野瑞彦,2021,「メガバンクFGの業務変容と収益低迷のジレンマ」,p56を参考

https://www.jsri.or.jp/publish/report/pdf/1727/1727_04.pdf


いわゆるコーポレートやマーケットが稼ぎ頭になる中で、リテール、特に国内リテールの衰退は顕著だ。

メガバンクの買収や売却のニュースも、もっぱら海外での出来事となっている。


では収益原でもあるコーポレート部門で求められているものは何か。やはりグループ連携でのソリューションだろう。特に証券化業務は好調である。M&A助言のランキングにおいても常にメガバン系の証券会社が上位にいるだろう。

*掛下 達郎,2020,「メガバンクグループの証券化業務とその収益」,p279を参考

https://www.jsri.or.jp/publish/general/pdf/g30/11.pdf

当然証券化をした際には信託銀行が主幹事となり、株主名簿の管理業務にあたる。つまりメガバンがグループで総取りをした方が手数料的にも美味しいのだ。

また企業の後継者不足が問題となる中で、中小企業の事業者は融資だけではなく事業承継信託のニーズもある。

勝手な予想ではあるが、内部のシステム開発があらかた終了した後は、システム子会社もグループの一員として、顧客に対してITソリューションを提供するかもしれない。

決しておかしな話ではない。2021年3月に銀行法が改正され、銀行本体や子会社を通じてシステムの販売や、それに関わる人材の派遣が出来るようになったからだ。

*金融庁資料https://www.fsa.go.jp/common/diet/204/01/setsumei.pdf

最近はコンサルティングファームによってお株を奪われているが、銀行の強みは金と情報によって企業の手綱を握っている所にある。

いかに良い案を出したとしても、それに融資をしたり、他の企業を紹介するのは最後には銀行の役目になる。実力とその気さえあれば、提案から実行にかかり、金融ソリューションだろうがITソリューションだろうが何でも出来る訳だ。だから、法律上は今まで出来る事が制限されていた。

銀行は今後ますます省人化を進めると共に、グループ連携によって手数料を稼ぎ続けるだろう。商業銀行として、お金を個人や法人に貸すという役割は廃れていくのかもしれない。

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ゴブリン無双
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