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【ものづくり現場でドラッガー編6:トップマネジメントの役割と権限委譲】
*前回までの投稿は上のマガジンに入れています。
対話形式で製造現場での改善活動を通して、ドラッガーの言葉を解説していきます。
これまで勉強してきた紫耀(ショウ)の同期、雄大が現場マネジメントについて悩みを抱え先輩のタケルに相談します。ドラッガーを勉強しながら実践し、マネジメント改善を目指します。前回はイノベーションについて簡単に学びました。今回はドラッガーの言うトップマネジメントと権限委譲について解説します。
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◆イノベーション。その後
🧒:おはようございます。
👱🏼;おはよう。どうだい?その後は?
🧒;イノベーションというほど大胆ではないですが、まずTOC(Theory of constrain)を現場に展開しました。その中で、コストという指標の優先順位を下げ、スループットと在庫のコントロールに集中するというKPIを設定し、そのためのアクションプランを立て活動しています。OEEの数字もコスト削減ではなく、スループットを上げるための活動として認識が変わってきています。
👱🏼;そうなんだ。よくそこまで説明して、実行できているね。
🧒;はい、それと、他業種のアイデアを自工程に展開もしました。この間、統括リーダーの川野さんとと回転ずしに行ったんです。
👱🏼;いいね、ん?回転ずし?
🧒:そうなんです。実はその時、緊急品オーダーの管理について皆で改善を考えていたんです。レーンから皆お寿司とって食べていたのですが、ほかに欲しいものがあって、注文したんです。そうしたら、別のレーンから新幹線ですしがやってくるじゃないですか?
👱🏼;最近は違うところもあるけど、まああるね。
🧒;それで、みんなでその新幹線レーンを眺めていて、これだ!って言ったんですよ。緊急品には別レーンを作ってあげようと。緊急品にはパトライトを付けて置き場を決めて特別管理を見える化することにしたんです。
👱🏼;おーそれは面白いね。緊急オーダーの管理はトヨタ生産方式でも一つのテーマなるほど重要な管理だよ。それを他業種からヒントを得て改善したわけだ。
🧒;はい、そしたら現場メンバーも気に入ってくれてすぐに導入することができました。結果、少量ロットの緊急品に対してのリードタイムを50%削減して、今まで答えられなかった客先要望に応えることができました。そして現場もこれまでわかりにくかったり、各工程で連携が取りにくかったものが一気にやりやすくなったと満足も得られました。
👱🏼;そりゃいいね。新しい満足を生み出されいれば、ドラッガーの定義では、イノベーションだよ。というか、だいぶスムーズにマネジメントできているのでは?
🧒;でも。。。
◆トップマネジメントとは
👱🏼;“でも”が多いな、毎回うまくいってもなんかあるね。さらに改善しようという意欲の表れだね。で、どうしたのさ?
🧒;実は、ちょっと俺、回らなくなってきたんです。
👱🏼;回らない?
🧒;今回のこれまでの改善業務も増えているし、課長から指示があるコスト管理、生産管理、品質管理、省エネ(環境)、安全、5S等々の活動進捗報告や各種活動の方向性を常に決めて、管理しないといけません。そして、僕の場合は現場に顔出してまだまだ現場を勉強しないといけません。そんなのがあったりして、ばたばたして毎日終わっていってしまうのです。
👱🏼:そうか。ばたばたは、それは君が権限移譲できていない証拠だ。君は主任だ。つまり君の工程で言うと、トップマネジメントだよね。その君が、その状態では、良くない。
🧒;はい・・。ドラッガーもトップマネジメントに触れていましたがなかなか自分に落とし込めなくて・・。
👱🏼:難しいよね。まずドラッガーの言葉を復習しよう。ドラッガーはトップマネジメントについて、
-トップマネジメントのメンバーは担当分野において、最終的な決定権を持たなければならない。
-自らの担当以外の分野について、意思決定を行わない。
-攻撃しあってはならない。
-トップマネジメントはチームである。
といっている。
🧒;意思決定を行う部分と行わない部分・・。そして、チーム・・。ですね。
👱🏼;今、君は自分の立場で意思決定しなければならないことと、自分の立場で意思決定してはいけないことが混ざってしまっているのではないか?
🧒:そういわれると、明確に自分の担当というものを考えたことがないです・・。
👱🏼;目に入ったものすべてを対応している状態に見えるね。
🧒:でも、どうやって自分の役割とほかの人の役割を分けていくのでしょうか?
◆権限委譲
👱🏼:そこなんだよね。トップマネジメントに関連して、ドラッガーは権限委譲についても下記のように言及している。
-「現場のマネジメントの仕事を可能なかぎり大きなものとして最大限の権限を与えるということは、意思決定を可能なかぎり現場に近いところで行うということである。これは、従来の権限委譲の考え方とは根本的に異なる。」
🧒;従来の権限委譲の考え方???
👱🏼;従来の権限委譲というのは、トップマネジメントが決めたルールを上から下へ流す意思決定の方法を指している。トップの指示に従いながら意思決定していくという格好だね。ドラッガーはこれを否定し、さらに、
-「マネジメントの仕事は、下から決めていかなければならない。生産、販売、設計の最前線の活動からスタートしなければならない。」
-「あらゆる権限と責任が最前線にある。彼らにできないことだけが上層にゆだねられる。いわば、最前線のマネジメントが組織のDNAである。上層の機関のなすべきことは、すべてそこで規定される。」
-「最前線のマネジメントにできないことを期待しないこと」
と言っているんだ。
🧒;どういうことでしょうか?
👱🏼;これは、私の解釈だけれども、現場の情報から意思決定することは、現場を尊敬し、現場に任せなさいってことなんだ。なんでもかんでも、トップが決めるのではなく、その課題の近くにいる人が意思決定をしなさいということだと思っている。逆もしかりだね。現場のメンバーが情報を得ることが難しい類の課題に関して、彼らが決めることはできない。よく全体を見ろとか、ボーダレスでリーダーシップを取れとか言われるけども、これってそもそも責任と権限がない中で、それを期待することは無理があるんだ。過度な指示というわけだ。
🧒;なるほど、つまり、現場で起きて事実をつかめることは現場に任せて、それ以外のこと、自分にとっての現場、つまり全体の方向性や長期的な活動に関しての課題は、私が責任と権限を持つべきなのですね。
◆役割の明文化
👱🏼:そう、さらにドラッガーは、
-「担当する仕事について行うことのできない決定は、すべて明文をもって明らかにしておかなければならない。他のことについては、すべて権限と責任を有するものと解さなければならない。」
と言っているんだ。権限委譲の内容、業務内容を明文化するのが最初というわけだ。
🧒:とどのつまり、きちんと自分とチームメンバーの仕事の役割を明文化し、その上でメンバーに責任と権限を与えることがトップマネジメントの役割というわけですね。
👱🏼:そうだ。でも、実際はそんなにすべてはっきりとは分けるのは難しい。それでも、オーバーラップ部分があったとしても、それを認識し、まず明文化を意識していくことが重要だと思う。実際にやってみて問題が発生したら修正していけばいい。さて、君はどのように役割を分ける?
🧒:さっき言った、コスト管理、生産管理、品質管理、省エネ(環境)、安全、5Sは、最終的なトラブル等の責任は負うものの、実際の活動や意思決定は現場に近い、統括現場リーダーの川野さんや各三交代リーダーたちに任せます。しかしながら、たぶんイノベーションであったり、チームメンバーの強みを活かすという部分に関しては、リーダーと相談はするにしろ意思決定は僕でないといけない。長期的な視野に立って改善をしていくことは僕でなければならないと思います。そして、今しかできない現場の観察・勉強に時間を使っていきたいと思います。
👱🏼:そうだね。いいじゃないか。
🧒:ただ、これまで前任の先輩たちは、すべて自分でやってきたので、現場統括リーダーの川野さんや各リーダーたちは各種やり方がわからないと思います。この部分はこれまで実施してきた私が、教育をして徐々に引継ぎをしていきたいと思います。そして、少しづつ、権限委譲を行い、トップマネジメントチームを構築していきたいと思います。
👱🏼;だね。最初は教えながら自分の業務をやるからより忙しくなるけどもそれを超えると自分がやるべき仕事に集中できるようになってくる。そうするとマネジャーとして成長できてくるんだと思う。ちなみに、まさにそこまで考え抜き、実行していくには真摯さが必要でしょ?
🧒;はい。最初に戻ってきましたね。自分に真摯さがあるか、まだわからないですが、やっぱり、あきらめずに考え抜いて、実行してフィードバックして、また考えるということを繰り返すことが重要なんだなと、それが真摯さなのではないかと思っています。
👱🏼;そうだね。
🧒;早速、私の顧客、現場メンバーにこのトップマネジメントの話をして、仕事の役割についてどう思うかマーケティングを実施したいと思います。そこから明文化、見える化実施します。
👱🏼;そうか、是非がんばってくれ!!
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◆最後に
今回は、トップマネジメントと権限委譲について、解説をしました。ここでのポイントは自分と各メンバーの権限と責任を明確にしているかということだと思います。「現場に近い課題は信じて任せる。」そして、「逆に権限や責任がない範囲に関して、過度に枠割を与えてはならない」、「その分、自分の範囲について権限と責任をもつようにする。」いうことが重要だと思っています。変に聞きかじった言葉で、全体を見て活動しろや、ボーダーレスでリーダシップを取れと指示を出すのは非常に危険ということです。そのことに気をつけて、役割を明確にして権限委譲行っていくことが重要とドラッガーが言っていると思います。私自身気を付けていきたいと思います。
今回の投稿を入れて、これまで、6つの投稿でドラッガーの言葉を紹介してきました。次の投稿で、これまでのまとめを記載し、このマガジンを終了したいと思います。
次のマガジンは、ちょっとありきたりですが、避けては通れない管理会計について対話形式で解説していきたいと思います。
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今回は下記を参考に投稿をしております。
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