【ものづくり現場でドラッガー編5:イノベーション】
*前回までの投稿は上のマガジンに入れています。
ドラッガーの言葉を紹介しながら、対話形式で製造現場での活用法を解説していきます。
これまで勉強してきた紫耀(ショウ)の同期、雄大が現場マネジメントについて悩みを抱え先輩のタケルに相談します。ドラッガーを勉強しながら実践し、マネジメント改善を目指します。前回まで、現場リーダー達に状況や欲求のヒアリング、マーケティングを実施し、強みを活かすマネジメントを実践してきました。今回はさらなる飛躍的成長を遂げるためのイノベーションについて、ドラッガーの言葉を解説します。なお、今回はイノベーションの祖と言われるシュンペーターの言葉も引用します。
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改善は進んでいるものの・・
🧒;おはようございます。
👱🏼;おはよう。2か月ほどかかったけど、連絡してきてくれたってことは、改善がある程度進み、継続できる体制ができていたということだね。
🧒;はい。改善は進みました。皆の満足度も間違いなく上がってきています。ただ、常にIEの実施やOEEの分析をして、課題を挙げて改善というサイクルなので、数か月すると、きっとマンネリになってしまうんじゃないかとちょっと心配しています。もちろん、改善に終わりはないのですが。。ただ、いずれにしろこのまま漸次的な改善を続けても、まだまだ理想状態には遠いなと。なので、ちょっと思考を変える、イノベーションの勉強をしたいと思って。というか、イノベーションって言ってますが、その定義や概念もちょっとあやふやなのですが。
先輩;そうか。さすがにイノベーションって大きなことだから今回は概念含めて活動例を解説をするよ。そして自分で適用してみてくれ。ちなみに、ドラッガーも伸び悩みのタイミングに対して、「成長には準備が必要である」とか、「いつ機会が訪れるかは予測できない」とか「準備ができていなければ、機会は去り、他所へ行く」といっているんだ。
🧒;要するにやるべきことやっておけってことですかね。今のうちの工程の状態に近いかもしれません。やれる改善はやってます。
👱🏼;そうだね。そして、それを前提としてドラッガーは飛躍的に成長するためにイノベーションについて言及しているんだ。
🧒;そこなんですよね。イノベーションって、結構いろんなところで言われていますが、、イマイチ・・。
イノベーションとは
👱🏼;そうだよね。ドラッガーに行く前に、遠回りだけどイノベーションという言葉の起源から話そう。イノベーションという言葉は、シュンペーターという人が提唱したんだ。シュンペーターは1912年、29歳の時に著した代表作『経済発展の理論(Theorie der Wirtschaftlichen Entwicklung)』の中で「新結合」という言葉を使い、イノベーションの概念を提唱したんだ。そこには、イノベーションとは企業者が生産を拡大するため、生産方法や組織といった生産要素の組合せを組み替えたり、新たな生産要素を導入したりする行為であるといっているんだ。そして経済発展においては、人口増加や気候変動といった外的要因ではなく、新結合の遂行、つまりイノベーションのような内的要因が主要因となるといっているといっている。
🧒:・・・・。余計にわからないっす。
👱🏼;そうか、、すまん。要するに、イノベーション=新結合。そして、経済発展・成長を実現するには新結合=イノベーションが必要だって言っているんだよ。
🧒;経済発展が伴う新結合と覚えておけばいいのですね。
👱🏼:それでいいと思う。それをドラッガーもマネジメントに書いているん だ。ドラッガーはイノベーションについて、「イノベーションとは、新しい満足を生み出すことである」と言っている。シュンペーターは経済発展といっているが、ドラッガーはそこにとどまらず、社会にもたらす変化とも言っている。経済的価値だけでなく、新たな満足・価値・富・行動を生み出せばイノベーションであると言っているんだ。とはいえ、企業体であった場合、満足を生み出せば、結局、経済的な価値を生むことなるけどね。これはいろんな学者さんによって解釈が異なるんだが、ドラッガーはマネジメントによって、停滞に対して抵抗する組織を作ることが最も重要と言っている。つまりイノベーションを促進するマネジメントが必要だっていっているんだ。まあ、それはそうだと普通に思うよね。でもそうならないのが組織だったりする。
*ドラッガーと少し離れてしまいますが、東工大教授の藤村先生は、イノベーションとは経済的成功を伴う改革行為とも言っています。改革行為という部分を見るとドラッガーはより身近な価値に対してもイノベーションを定義していたように思います。
🧒:なるほど、新たな満足というとわかりやすいです。でも、製造現場でイノベーション、新たな満足といった場合どんなものが考えられるのでしょうか?
👱🏼;イノベーションは過去の習慣や考え方を一切無視して考える生まれやすいものなんだ。製造現場関連でドラッガーの言う、イノベーションだと思ったのは、前回のマガジンで解説した制約理論だね。ザゴールでは、過去、最も重要視されていた単位当たりのコスト、つまり個別最適のための効率向上を真っ向から否定し、制約を改善することで全体最適を実現しスループットを改善、在庫の削減、費用の削減を実現させるという理論なんだ。新たな考え方であり、従業員・管理者・顧客が満足を得る形となっている。まさに過去の大量生産で安くという考えから、少量生産で多少単位製品当たりのコストが上がってもスループット(売り上げ)を上げる。結果、全体的に費用も下がり、満足も利益を上げるなんて目からうろこだったよ。
🧒;実はその話は、前回のマガジンで活躍していた紫耀(ショウ)から話を聞いていました。その考え方は、私も適応しようと思います。
👱🏼;そうだね。まず、その考え方を取り入れてみたらどうだろうか?これまでのOEEだけでなくモノづくりの流れが変わってくるはずだ。そして、もう一つ他業種の工夫を盗むってことが製造現場でのイノベーションにつながるよ。
🧒;他業種の工夫を盗む?
👱🏼:そうだよ。トヨタ生産方式の“かんばん”だって、大野耐一さんもアメリカに出張行ったときに”スーパーマーケットを見て、商品棚を生産ラインの前の部品だなと考えて、工程を想像してみた”と書籍で話しているよ。
🧒;なるほど。他工場や他業種の改善を、自分たちの工程の改善に応用するということですね。
👱🏼;そうだ。それも一つの手だ。
🧒;早速、参加できるリーダーたちとスーパーやホームセンター、そしていけるとしたら別会社の工場の見学の予定を組んでみます。自分の工程の課題と照らしあわせてみてると、なにかヒントがあるかもしれませんね。
👱🏼:そうだ。ぜひ進めてみてくれ。あと、大事なことがある。イノベーションというのは、確率を伴うものなんだ。ドラッガーも「真のイノベーションは成功1件に付き99件の失敗がある」と言っている。だから、確率が高いであろう行動を起こしまくることが大切なんだ。
🧒;なるほど、わかりました。
👱🏼:OK.今日はちょっと短いがこれで終わりだ。(イノベーションはあまりにも壮大すぎるな。ちょっと別の機会で、いずれ細かく勉強してもらおう。)では、活動を続けて、また目途が立ったら行ってくれ。そのあとは、最後の講義としてトップマネジメントの役割について解説する。いよいよ次回がドラッガー学習最終稿になるのでがんばっていこう。
🧒;はい。おかげさまで、最初のころと比べるだいぶ工程がよくなってきました。最後までよろしくお願いします。
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今回はイノベーションについて簡単に説明しました。製造現場のイノベーションなので、よく使われる革新という言葉とはちょっと離れた感じかもしれませんが、ドラッガーの言葉に沿って、新しい価値を生むという部分にフォーカスして記載しました。それと、シュンペーターとドラッガーの定義の違いに関して何となくわかったかと思います。イノベーションの定義は非常に難しいですが、個人的には、一般的な定義として東工大MOTの藤村教授が言っている、”イノベーションとは経済的成功を伴う改革行為である”という言葉がしっくりきています。
さて、次回はトップマネジメントの役割について解説したいと思います。次々回はドラッガーのまとめを投稿します。次回もよろしくお願いいします。フォローよろしくお願いします。
今回は下記を参考に投稿をしております。
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