【心理的安全性編3:世界共通のチームづくりルール(後半)】
本マガジンは心理的安全性について対話形式で解説していきます。これまでの投稿は上記に入れてあります。
今回は、先輩で新規事業部長の健とアドラー編で、悪役であった製造課長の正輝が登場します。ある日、リモート会議で、健と正輝が久々にあいます。正輝はどうやら課長としてのマネジメントに悩みを持っているようで、健に相談を始めます。健の指導で心理的安全性について学びながら自分のチーム作りを見直します。
なお、本マガジンは「世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法」を参考に記載していきます。
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◆プロジェクト・オキシジェンの調査・分析結果
👨;おはようございます。聞こえてますか?
👱🏼:おはよう。昨日はごめんね。今日もリモートでやっていこう。
👨:いえいえ、大丈夫です。よろしくお願いします。プロジェクト・オキシジェンの調査結果のところからですよね。
👱🏼;そうだね、「成果を上げているマネジャーは何をしているか」という問いの答えからだね。早速だが次の8つだったんだ。
1、よいコーチである
2、チームを勢いづけて、マイクロマネジメント(チームのメンバーに対する過度な監督・干渉)はしない
3、チームのメンバーが健康に過ごすこと、成果を上げることに強い関心を持っている
4、生産的で成果主義である
5、チーム内のよき聞き手であり、メンバーと活発にコミュニケーションしている
6、チームのメンバーのキャリア形成を手助けしている
7、チームのためのはっきりとしたビジョンや戦略を持っている
8、チームのメンバーにアドバイスできる専門的技術・知識を持っている
👨:あれま、、あかんすね俺。。コーチというよりは、ボスとして指示して、俺に従えというスタイルですし、間違いなくマイクロマネジメントだ・・。あれはどうなった、これはどうなった。それいいのか?ってな具合です。
👱🏼:そうか。どれが一番大事なことだと思う??
👨・:やっぱり、一番最初に出てきている、よいコーチであることですかね。。全然できてないですけど。これはつまりコーチングということですかね。ちょっと私わかっていないです。
👱🏼:そうだね。コーチングということだろうね。コーチングというのは「お前これやれ、あれやれ」などと指示・命令することではない。相手の状況に関して、よく聞いてあげて気づきを与えてあげる作業だ。答えは相手の中にあるという前提でね。良いことも、これから改善しなければいけないことも両方気づきを与えて、思考を止めない手助けをしてあげるイメージだ。自己認識をさせることが目的だといわれている。
👨;なるほど。なにかポイントはあるのでしょうか?
👱🏼:コーチングというと、無限といっていいほど本がでていたりするから、別のタイミングでじっくり解説したいと思うけど今回の本に載っているポイントは下記だ。「GROW」の頭文字をとっている。
・G(Goal、目標) 「あなたが望んでいること/目指していることはなんですか?」「興味があることはなんですか?」「何をもって成功したと言いますか?」「それはあなたにとってどれくらい重要ですか?」
・R(Reality、現実) 「いまどれくらいまで進んでいますか?」「あなたの同僚は状況をどう捉えていますか?」「どんな壁に直面していますか?」「いま、どんなリソース(資源)があったら目標に届きそうですか?」
•O (Option、行動計画) 「もし、いま直面している壁がなかったとしたら、どう行動しますか?」「あなたがもっとも信頼・尊敬している人が同じ状況に直面したら、どう行動しますか?」「目標達成に必要なスキルをこれから鍛えるとしたら、まず何をすることができますか?」
・W (Will、意欲) 「(今日から)どうしますか?」「1から10でいうと、どのくらいのレベルであなたはコミットしていますか?」「いつから始めますか?」「乗り越えるべき壁はなんですか? どうやって乗り越えますか?」
👨:コーチングというと、個人間で行うように思いますが。
👱🏼:いや、もちろんチームでもできるよ。個人的にはファシリテーションといってもいいとは思っているんだけどね。チームに対して同じ質問をして、「このチームはどこが強いのか、どこが弱いのか」「どこまで目標を達成しているか」など有効的な質問になってくると思うよ。つまり、チームとしての自己認識といったところだな。コーチングは心理的安全性と切ってはきれないから、これから何度も出てくると思う。別の機会(マガジン)でも扱わないといけないとも思っている。
👨:なるほど。いずれにしろ同じ会社内でも、あるチームで活躍していても別のチームでは活躍できない。その差はマネジャーにあって、成果を出しているチームのマネジャーが実施していることが上記の8つであると。それが、プロジェクト・オキシジェンの調査結果だったわけですね。しかし、まだ心理的安全性が出てこないですね・・。それに、マネジャーが上記の8つを実施しているのはわかりましたが、その結果チームがどんな状態になっているかはわからないですよね。
◆プロジェクト・アリストテレス
👱🏼:そうなんだ。グーグルは、チームに関する調査は、プロジェクト・オキシジェンだけでは留まらなかったんだ。今度は、その成果を出しているチームに着目して、「生産性の高いチームの特性」を明らかにする「プロジェクト・アリストテレス」に取り掛かるんだ。
👨:でました。プロジェクト・アリストテレス。
👱🏼:そう。調査対象は、エンジニアリング115チームとセールスの65チームだったそうだ。
👨;さすがですね。そこまでの規模できちんと実施するなんて。
👱🏼:だよな。生産性の高いチームと低いチームを比べて、どんな違いがあるのか・いろいろと調査分析したというわけだ。
👨:いろいろ??
👱🏼:例えば、
-性格テスト
-男女比なども含め人の多様性の調査
-チームリーダーへのインタビュー
-メンバーの行動特性を規定している法則、要因調査
-スキルレベル
-エモーショナルインテリジェンス(感情能力)
-賛成でないとき反対意見を言えるか
-障害があった時に乗り越えられるかどうか
-自分は信頼できる従業員かどうか
-自分が他人に興味があるか
などなんだ。
👨:しかし、チームの生産性というのはどのように評価していったのでしょうか?
👱🏼:いい質問だ。まず、チームの定義は「単に一緒に仕事をしている集団ではなく、意図的・戦略的に長期に一緒に働いしている集団の事。スポーツチームと同じようなイメージだと言っている。家族ではない。家族だと何かサボったり、不適切な行動をしても子供を愛し続ける。しかし、スポーツチームは練習をサボる人はいらないし、けがをしてプレーができない人を試合に出すことはできない。わかるかな?
👨:はい。彼らの考えるチームはなれ合いではないと。
👱🏼:そうだ。そして大事なチームの生産性に関しては、経営トップレベルが求めているせいかをこのチームが出しているかによって生産性を評価するんだ。
👨:なるほど、わかりました。
👱🏼;そして、そんなプロジェクト・アリストテレスが「生産性の高いチームの特性」として下記を上げたんだ。
① チームの「心理的安全性」(Psychological Safety)が高いこと
② チームに対する「信頼性」(Dependability)が高いこと(決められた時間で仕事が終わる)
③ チームの「構造」(Structure)が「明瞭」(Clarity)であること(役割分担が明確)
④ チームの仕事に「意味」(Meaning)を見出していること
⑤ チームの仕事が社会に対して「影響」(Impact)をもたらすと考えていること
これがチーム作りにとって、根本的に大事だということが、結論だったんだ。そして、一番大事なのは①の心理的安全性であると。
👨;心理的安全性・・。でてきましたね。グーグルにおいて、180近くのチームを分析した結果これが要因と導き出されたのであれば納得です。しかし、他のポイントも非常に参考になります。
◆心理的安全性
👱🏼;ここで、著者は心理的安全性についてこう言っている。
心理的安全性とは、端的に言えば「メンバー一人ひとりが安心して、自分が自分らしくそのチームで働ける」ということ。自分らしく働くとは、「自己認識・自己開示・自己表現ができる」ということです。要は、「安心してなんでも言い合えるチーム」が心理的安全性の高いチームなのです。これが2~5の土台になっています。
裏返せば、メンバーがチームに対して心理的安全性を感じていなければ、チームを信頼することはできないし、どんなに目標や計画、役割が明確であっても、仕事に意味を見出すことができず、社会的なインパクト(影響)を考えることもできません。
👨:心理的安全性が他の2-5の土台ということなのですね。なるほど。チームの中で、自分が自分らしく働いていなければ、他のメンバーから頼られることもないし、自分も他のメンバーに頼ることができないということが起こるのですね。
👱🏼;そう。アドラー編で、君の同期も学んだ「共同体感覚」と同じことをいっているね。
👨;おれはこれまで、周りの勇気を挫いてばかりいたな・・。まったくもってダメなことをしていたのか・・。逆にチームに心理的安全性があれば、メンバーを信頼できるようになって、尊重するようになると。。勇気づけがお互いに行われるようになるのですね・・。
👱🏼;そうなんだよ。単純な話だ、誰がいつまでに何をやるかが明確にしやすくなるよね。ししてその仕事の意味が見えてきて、みんなでいいことをやろうとか、意義のあることをやろうとなるわけだ。結果として、それが「生産性の高いチームになっていく」と著者はいっている。
👨;なるほど。チームオキシジェンとのつながりが見えました。つまり、先ほどの8つのマネジャーというのは心理的安全性を高める行為をしていたということなのですね。
👱🏼:かなり、かいつまんでの解説になっているけど。この2つのプロジェクトで明らかになったのは、
メンバー一人一人が安心して、自分らしく働ける場、自己認識・自己開示・自己表現ができる場を作ることがマネジャーの大切な役割である
ということなんだ。そして、このような統計的な調査結果は全社員にシェアされるそうだ。
この知識を全従業員に伝えて、文化にしていくというのも狙いなんだろうね。著者は人材育成の担当として講師をしていたようなんだけど、その資料には、必ず、オキシジェンとアリストテレスの資料が入っていたそうだよ。
👨:しかし、文化を作っていくというのは解りました。自分の組織で実施したいですがほかにどんなことをしているのでしょうか?
👱🏼;そうだね。どうすればいいかというところだね。例えばこんなものが紹介されているよ。
マネジャー研修だけではありません。グーグルには、チームの心理的安全性を高めるための仕組みがいろいろあります。
たとえば、「ワン・オン・ワン」(1 on 1、1対1)。マネジャーは週1回1時間、必ずメンバーと1対1で個人面談してコーチングしなければなりません。当然ながら、よいワン・オン・ワンができないマネジャーは、どんなにチームの成果が上がっていても、評価が下がる仕組みになっています。もちろん、評価のルールは世界共通。そして、技術者のチームであろうが営業のチームであろうが経理のチームであろうが、まったく一緒です。
👨:1on1ですか。なるほど、おれもやってみます。
👱🏼:いいじゃないか。次回もう少し、どういうポイントで会話をしていったらいいか解説しよう。価値観ベースの会話がいいといわれているんだ。まあじっくり話すよ。1on1についてももう少し話すよ。
👨:お願いします!!
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今回は、心理的安全性が登場する経緯を解説しました。直観的に正しいだろうことをきちんと突き詰めて調査にまとめるのは本当にすごいことだと思います。言っているだけどはことなり大きな説得力を持ちますね。次回は、第二章に入り、心理的安全性を高めるための方法、例を解説していきます。どう扱っていくかは別として、ものづくりだけでなくビジネスマンに必須な知識だと思います。ぜひ、スキ・フォローお願いします!
また、下記の固定記事に、このnoteのコンセプト、これまでのマガジンについて解説しています。もし興味があれば是非フォローお願いします。
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