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【ものづくり現場でドラッガー編4:強みを活かす】

*前回までの投稿は上のマガジンに入れています。

 ドラッガーの言葉を紹介しながら、対話形式で製造現場での活用法を解説していきます。
 これまで勉強してきた紫耀(ショウ)の同期、雄大が現場マネジメントについて悩みを抱えタケルに相談します。ドラッガーを勉強しながら実践し、マネジメント改善を目指します。前回、現場リーダー達に状況や欲求のヒアリング、マーケティングを実施しました。今回はその情報から彼らの強みをどう活かすかというあたりを、ドラッガーの言葉とともに解説したいと思います。

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人は最大の資産

👱🏼‍;おはよう。

🧒;おはようございます。

👱🏼‍;前回、チームの信頼度は増したように見えたけど、どうだい?

🧒;明らかに前より雰囲気はよくなりました。Bチームの川野さんがリーダーから外されないことになりましたし。ただ、、まだまだ、ですね。

👱🏼‍;でも、この間の一悶着で、生産性と品質両方を上げていくことで皆納得したんじゃないか?

🧒;まあ、それはそうです。でも、なんかリーダーの川野さんがまだ煮え切らないんですよね。「クレーム出したBチームの古谷さんはプロだから、改善は彼らが提案してくる。俺が余計な口を出さないほうがいい」とか言っているんですよ。それと、ほかのリーダーたちも、前回のクレームに対しては、アイデアを出したんですけど、その他の課題について、自ら改善っていう感じにはなっていないのが実情です。

👱🏼‍;そうなのか。確かにそういうのあるよ。“いったもん負け”なんて造語があるんだよ。もし改善提案したら全部自分に押し付けられて、うまくいかなかったらその人の責任になったりする場合を指すんだけど、皆、そういう心配をしているのかもしれない。前回のヒアリングで1対1では、結構モチベーションが高くても、大きな流れに、なかなか逆らえないもんだ。改善に関して、結果として組織に意欲がない場合は、マネジメントで変えていかなければならない

🧒;人間関係の雰囲気がよくなっても、積極的になる雰囲気になるというのは別なのですね。

👱🏼‍;もちろん、相関はあるが、人間関係がいいからって改善が進むというわけではないし、わけではない。その場合、トップ側から何らかの方向性提示や担当者の改善メンバーのアサインが必要だ。ドラッガーの言葉の中で、参考になる言葉があるよ。

🧒;はい。もしかして、「人は最大の資産である」ですか?要するに個人の能力やモチベーションを組織が活かせていない、つまり、資産が活用できていないということですよね?

👱🏼‍;そうだ。ヒアリングでは、やる気や意欲は少なからず感じられたからね。ドラッガーは、

-人は最大の資産である。
-人のマネジメントとは人の強みを発揮させることである。
-組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある

といっている。マネジメント側での仕掛けが必要ってことだ。

🧒;強みで弱みを中和・・・。あ!!

👱🏼‍;どうした?思いついたか?あるよなポイントが。

🧒;はい。ちょっと思いついたことがあります。明日からトライアルしてみます。それは。

👱🏼‍;いや、今は言わなくていい。今日はちょっと早いが、では早速現場に戻って実践してみてくれ。自分で考えたまずアドバイス受けずにやってみるといいよ。これは、落とし込み含め時間がかかることだろうから数週間経ってからまた経過を教えてくれ。

強みを活かす

数週間後

🧒;おはようございます!

👱🏼‍:おはよう。どうだった?

🧒;少し変化がでてきました。

👱🏼‍;どんなことしたのさ?きっとCチームの長野さんをうまく生かしたのでは?

🧒;え?なんでわかるんですか?そうです。長野さんがキーポイントです。

👱🏼‍;だって、長野さんはぜひ自分で改善したいって、言っていた人だもんな。いいところに目を付けたね。

🧒;そうなんです。先日のマーケティングの時、下記のように答えていたんですよ。

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これまで、長野さんはリーダーの中で最年少なので、なかなか言いたくても言えなかったように思えたんです。面談の時も”提案できない”とは私にも言えないでしょうし。それで、統括リーダーの川野さんに話をしてみたんです。きっと、川野さんの知識と経験という強みが、長野さんの自信がない部分の弱みを中和し、長野さんの若さとやる気からの勢いという強みを発揮できると思ったんです。そうして、川野さん「腹くくってやりましょう」言ったら、「よし、長野はやる気もあるし、俺がサポートする、結果自体は俺が責任取る」と言ってくれたんです。


👱🏼‍;おお、そこまで辿り着いたか。その強みの活かし方はいい考えだよ。リーダーの中で若い長野さんにはバックアップをつけて思いっきりやれる環境を与えるのが一番いいと思うよ。それで、長野さんにいったら、なんて?

🧒;統括リーダーの川野さんとCチームリーダーの長野さん話をしたら、開口一番に「やらせてください。チャレンジしてみたいです。」といったんです。

OEE(overall equipment effectiveness)と活用

👱🏼‍;そりゃ、よかった。そして、どんなことをしたの?

🧒:はい。まず、改善のためには、各チームの競争環境を作ることが必要と考えて、生産性・歩留まりの成績を見える化することにしました。いまなら、雰囲気も悪くないし、そこまで反対はないと思います。それと、部活でもなんでもそうですけど練習は手を抜くけど試合は気合い入るじゃないですかあれって競争があるから試合で本気になると思うんです。

👱🏼‍:いいね。でも、製造するものでタクトタイムが変わってしまうから、生産性は公平に評価できないじゃないのか?

🧒;はい。そこで、Cチームリーダーの長野さんがOEE(overall equipment effectiveness)を川野さんに提案したんです。前回のマーケティングで話したように、川野さんはOEEやIEの専門家なんです。そして、川野さんが長野さんに指導、長野さんがその指標を管理することになったんです。

👱🏼‍;そうか。なるほど。そう来たか。ていうか、雄大、お前はOEE理解しているか?

🧒:げげ、、、そういわれると怪しいです。。。

👱🏼‍;では簡単にだが、説明しよう。OEEは総合設備効率というんだ。これは

① 稼働させるべき時間に稼働できた割合
② 生産するべき速度で生産できた割合
③ 歩留まり”

の掛け算で表すことができる。それぞれ解説すると、

① 稼働させるべき時間に稼働できた割合。
 稼働させるべき時間というのは、生産数量が少なかったりすると設備を止
 める必要があるよね。つまり、計画として止めることになっている、時間
 を差し引いた稼働時間に対してどの程度動かせたかということになる。設
 備トラブルで設備が止まった場合は稼働すべきなのにできていないよね。
 この場合、悪い数字になる」。

② 生産するべき速度で、生産できた割合
 特に製品ごとにばらつく、生産するべき速度に関しては、各種製品の負荷
 の違いを考え、各々に対して加工の標準時間を設定するんだ。その標準時
 間をベースに計画された生産量に対し、どの程度製造成したかの割合を示
 すんだ。

③ 歩留まり
 文字通り、どれだけ不良を造らずに良品を生産できたかの割合

・・・・・・

である。つまり、動かすべき時間にどれだけ動かせて、標準時間をどれだけ守れて、良品をどれだけ作れたかを組み合わせた指標だ。

*OEEに関しては、別の機械に詳細説明します。わかりにくいですが、Wikiのリンクを張っておきます。

🧒:なるほどで、それで統括リーダーの川野さんは、できる限り平等に評価できる指標だって言っていたのか。それに、品質に関しては難しさのばらつきはほぼないから、そのままの歩留まりを使えばいいと言っていたのか。

👱🏼‍;そして、もう一つ重要なことがあるな。

🧒;はい。そのOEEの説明と製品ごとの標準時間に関して、皆のコンセンサスを得ることですね。それは先日長野さんが皆を集めて一生懸命説明して、各リーダーが理解してくれたようです。品質に関しても納得してくれています。みな、一度納得してくれれば、きちんとやってくるというのはやってくれるんですよね。

👱🏼‍;そうなんだよな。だから結局、多くの問題はマネジメント側が原因だったりするんだよな。ところで、それでどうなったんだ?実際にそのデータを取ることができたのか?計算そこそこややこしいぞ。

🧒:はい。今は長野さんが、温度を取りながらですが、統括リーダの川野さん指示の下、各チームでリーダが責任持ってOEE結果を事務所に毎週成績を貼り出すようにしています。計算はちょっとわかりにくいですが、一度わかってシートを作ってしまえば、できなくはないと長野さんはいっていました。

👱🏼‍;それは優秀だな。それで結果は?

🧒;やはり、差が出てきているんですが、面白いことに各チームの弱みや強み見えてきますね。トラブルが多いチーム、生産スピードが遅いチーム、品質が悪いチーム。それぞれの特徴が見えてきます

👱🏼‍;それはいいね。

🧒;そして、各チームは自分たちの弱い部分に関し、直交代の引継ぎのタイミングで前後での直とコミュニケーションをしてやり方を真似して、作業の標準を整えようとしています

自己管理目標

👱🏼‍;そうなの?皆やる気がでてきているようだね。それもドラッガーが近いことをいっていたよね?

🧒;はい。「自己管理目標」というところかと思います。

👱🏼‍:そうだ。「自己管理目標は強い動機付けをもたらし、最善を尽くす願望を起こさせる」とあるよね。それに近い状態が起きているのではないかな?

🧒;そういわれてみると、その通りかと思います。

競争・結果・責任・協調のマネジメント

👱🏼‍;ちなみに、気づいていないかもしれないけど、これまでの活動はマネジメントにとって非常に重要なことを示唆しているよ。

🧒;そうなのですか?

👱🏼‍;うん。君は改善活動の中に、「競争」、「結果」、「責任」、「協調」を入れ込んだ。信頼関係を築いた上で、OEEの競争関係をチームごとで作って、結果を見える化し、リーダーの責任を明確化し、そして各チームの知識が共有される仕組みを作ったんだ。それもメンバーの強みを活かしながらね。これは製造現場だけでなく全ての組織のマネジメントで共通する要件なんだ。もちろん達成するやり方はそれぞれの組織で変わるけどね。また、競争と協調を共存させるには、ベースに心理的安全性の確保が必要になる。心理的安全性は近々説明するよ。

🧒;そうなのですか、無意識でしたがそう言われると嬉しいです。心理的安全性、、気になりますが。。わかりました。

👱🏼‍;いずれにしろ、だいぶ変化が起きていると思うよ。引き続き続けていってくれ。

🧒;はい。承知しました!!

👱🏼‍;今のような、日々行う段階的な改善の仕組みつく入りが済んだら、次は飛躍的な改善を目指そう。ちょっと定義がいろいろあるけど、広義の意味でイノベーションに進もう。

🧒;イノベーション?

👱🏼‍;まあいい。まずは、現状の改善を定着させてくれ。また、定着したと思ったら、連絡してくれ。がんばってくれよ!

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 今回は、“強みを活かす”をテーマに解説してみました。そんな都度よく、“強みと弱みがかみ合わないよ。”と思うかもしれませんが、そんなことない場合が多いです。現場のメンバーで、経験を持っている。つまり、その現場で十年以上継続することができる人は必ず強みを持っています。それを見つけられるかどうかのマネジメントの問題と思って間違いありません。もちろん、ものがたりのように、全てが上手くいくということはないですが、強みを活かそうとすれはいい方向へ傾きは少しづつ変わってくると思います。また、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、OEEについても解説しました。そして、最後にマネジメントで非常に重要なる「競争」、「結果」、「責任」、「協調」について触れました。次回は、さらに飛躍的改善に挑戦するイノベーションをテーマにドラッガーの言葉を解説していきたいと思います。是非フォローお願いします!

次の投稿は下記です。

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