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【自工程完結編7:引き継げない仕事なんてない?】

本マガジンの過去の投稿は上記に入れています。

ご存じのようにこれまでトヨタは、トヨタ生産方式を展開し世界で確固たる地位を築いています。その生産方式自体が米国で研究され体系化されリーン生産方式としても有名になっています。

そんなトヨタがさらに仕事の質を改善するため、10年以上にわたって取り組んでいる「自工程完結」について対話形式で解説していきます。自工程完結とは、「良い仕事しかできない(やり直しがない)、良いものしか作れない(作り直しがない)という条件は何かということを徹底的に科学的に実現しようとする」考え方です。

さて、今回は過去のマガジンで心理的安全性を学んだ、製造課長の正輝‍が再登場します。

ある時、課内の工程主任であるの流星(若手)が現場への仕事指示の仕方、仕事の進め方で苦労しているところを目にします。そこで、下記の本を使って指導を開始します。

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👨‍;おはよう。

👱;おはようございます。今日は前回に引き続き、スタッフ部門での自工程完結の事例を解説してもらうのですよね?

◆経験者にしかできない複雑な「引き継げない」仕事

👨‍;ああ、そうだ。2つ目の事例は、部品事業部の国連向け部品手配業務の改善だ。約160名が所属する部品事業部では2010年頃から「自工程完結」に基づいた活動を推し進めてきたそうだ。主に海外に向けた仕事を中心にしている部署で、顧客が見えづらく顧客への意識を高める取り組みを進めていた。その後、2012年から女性スタッフを中心に15チームを組み実務に即した、改善を「自工程完結」のポイントを参考にしながら実践していったそうだ。

👱;なるほど。トヨタならもちろん世界中が相手ですもんね。

👨‍;その一つのセクションに、アフリカ・国連チームがあった、杜預やアフリカ代理店への補給部品共有と、全世界の国連各機関への補給部品供給を担っているチームだ。今回は、後者の国連向けの仕事をしている業務職の話だ。トヨタが出荷した車になんらか現地でメンテが必要になった時に国連から直接オーダーが入ってくるそうだ。要するに現地に部品だけ送っているというビジネスになる。

👱;アフリカに代理店に部品を供給するというわけではないのですね。

👨‍;ああ、国連の仕事だからアフリカ代理店はこの仕事に関しては関与しないようだ。届けるの者直接、取引も直接だそうだ。部品手配業務には大きく3つの流れがある。①見積もり作成(品番や運賃価格を確認し、見積書を作成。)②オーダー、③手配、そして入金フォローだ。この時問題はオーダー手配にあったそうだ。当時代理店もなくシステムも整備されていなかったので、オーダーは一つ一つ細かく確実に項目をチェックしていく必要があったんだ。17項目にも及んだそうだ。

👱;17項目を一つ一つのオーダーに。。。それは、序盤に出てきた「気遣い作業」になりますね。。

👨‍;当時はベテランも多く、それまでの経験で複雑な業務をこなしていたそうなのだが、産休などで人が減り、新規担当者が加わったことで問題点が見えてきたんだ。

👱;業務職の方の産休問題・・。これはどの企業でも大きいですよね。

👨‍;実際、業務は専任でなく、担当者はアフリカ代理店の仕事も行っている。つまり国連の仕事につきっきりにはなれないんだ。そんなある時、産休育休を経て5年ぶりにある業務職の方が戻ってきたそうなんだ。

◆半年で誰でもわかるようなマニュアルが作り出せた

👱;5年ぶり、、そりゃ業務忘れていそうですね。それも複雑なものですから・・。でも、マニュアルはなかったのでしょうか?

👨‍;忘れてしまうくらい複雑だったということなんだろう。そしてマニュアルはあったが個人的に作ったものしかなく、内容もバラバラ。ほかの人には使えるものではななかったそうだ。

👱;あるあるですね。そうなると、ベテランというかわかっている人がいるうちはいいですが、メンバーが変わったりすると大きな問題が起きそうですね。

👨‍;まさに、そのことが起こったそうだ、メンバー変更があって、チームリーダーと産休・育休復帰者と新規担当の2名、合計で4名で国連業務を回すことになったたんだ。

👱;そうなるとチームリーダーに大きな負担がかかってきますね。

👨‍;その通り、すべての質問が寄せられてしまう。それこそ、そこで病気になっても変わりの人がいないいから休むことすらできない。そこで、記憶頼みの暗黙知作業、そして属人化という課題をクリアすべき行われたのが、「自工程完結」のポイントの一つでもある業務の洗い出しであり、それをマニュアルに落とし込むことだった。

👱;きっと、最初はさっき言っていた17項目の「オーダー手配」の帳票の見直したのですね。

👨‍;そうだ。オーダーごとのその場対応、毎回手書きでの管理。実施すべき必要項目がリスト化されていなどの問題があった。それを洗い出していったのが、多忙の中一気に力を入れるをいれることができなかったから、最小限のマニュアル化からスタートしたそうだ。

👱;そうですよね。やはり小さいところから始めていくのがいいですよね。

👨‍;必要な内容を記載していく社内帳票に、17項目チェックリストを貼り付けて作業を統一したんだ。

👱:17項目に対するチェックリストがあればやるべき作業項目が明確になるので、オーダー手配の手順の把握が容易になりますね。

👨‍;そして、第二段階では帳票のシステム化とマニュアル化を実現させた。いステムの画面をコピーしてマニュアルに貼り付けて初心者で操作がわかるようにしたんだ。そして、何を使うか、誰から情報を入手するか、どうやってやるか、どのような知識が必要か、が記された。そしての各々の手運ごとに「なぜ作業をしなければならないのか」も記載されていった。忙しい仕事の合間を縫ってマニュアルつくりは進められていったが、6か月で誰でもわかるマニュアルが作成されたんだ。

👱;確かに最初に実施することを明確にしておけば日々コツコツと作業をしやすいですよね。

👨‍;実際その後、新規担当者が入れ替わってもすぐに業務を担うことができるようになったそうだ。さらに、新規担当者が自分でわかりにくいなという部分があれば、マニュアルを自分自身でアップデートをしていったそうだ。また、トラブル起これば、皆でシェアし、修正ということも地道に行っていたんだ。

👱;改善自体に仕組みになっていったのですね。すばらしい。

◆表面的ではない取り組みに代わっていった。

👨‍;会社方針にもなっている「自工程完結」推進は社内でその取り組みを評価する仕組みがあることは前回話したな。優れた取り組みは、本部内で審査され全社大会にでて発表し表彰されるそうだ。今回取り上げた例は、表彰された事例だそうだ。

👱:自工程完結に沿った活動ということですね。

👨‍;ああ、そうなんだが、と言っても社内では「自工程完結」という名称の取り組みや厳密にポイントを押さえていくやり方に必ずしも拘っていたわけではないそうなんだ。最初は、自工程完結の考え方についてしっかり学んでもらうようにしていたが、馴染みがないことや無理やりだと「やらされ感」になってしまうということで、次第に自工程完結という言葉を使わない部署も増えてきたという。

👱;そうなのですか。確かに目的は仕事の質の改善ですからね。

👨‍:その通り。業務プロセスを洗い出したり、誰でもできるように共有化したりして、社内の生産性を上げたリモチベーションを上げたりすることにより、仕事の質を改善することが重要だ。その中で「自工程完結」的な考え方やポイントを自分たちに合うように取り入れている部署が上手くいきやすかったと言っている。

👱:さらにチームとしてはたらしそれが業務改善につながっていく流れができると大きいですよね。

👨‍:そう。そして、発表会では「頑張ったけどできなかった。」「こういうボトルネックがあってできなかった」「でも、その挫折でこういう学びをした」というような発表が出てきて、表面的な活動でない当事者意識と個人の成長を伴った活動になっていったという。こうなってくると改善サイクルが回っているのがわかってくる。仕事の質が上がっている証拠だ。

👱;なるほど。

👨‍:よし。今日の事例紹介はここで終了だ。次回は最後になるが、「「自工程完結」はトヨタに何をもたらしたのか」について解説する。

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今回は2つ目の事例を中心に解説しました。繰り返しになってしまいますが、業務の洗い出し、その共有という点が重要になってきますね。それが見えるようになってくれば解決策はおのずと見えてきますよね。さて、次回は最終章の「「自工程完結」はトヨタに何をもたらしたのか」について解説します。

下記の固定記事に、このnoteのコンセプト、これまでのマガジンについて説明しています。ご興味あればスキ・フォローいただければ嬉しいです。

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