博士がゆく 第26話「はじめての学会発表-要旨記入編⑤」
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それでは本編をどうぞ。
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(前回のつづきから)
次の日の朝、大学から支給されたメールアドレスに1件のメールが入っていた。このアドレスにメールが来ることはほぼない。間違いなく指導教員からだ。なんとなく開くのがイヤで朝の身支度から始める。
朝ご飯を食べて、いつもは淹れないコーヒーを淹れてみる。歯を磨いて顔を洗って服を着替えれば身支度完了だ。焦燥と嫌悪感が混じった感情を胸に家を後にして研究室に向かう。メールはもちろんまだ開いていない。
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研究室につくと、いつも指導教員に軽く挨拶をしてから自分のデスクに向かうが、今日は運よくオフィスが閉まっていた。博士(ひろし)は自分のデスクに座り、ようやく観念してメールを確認することにした。
メールには、学会員になるための会費を支払ったレシートをくれれば返金する旨と、一言「コメントした部分を直して再度送ってくれ」と書いてあり、Wordファイルが添付してあった。
Wordファイルを開いた博士は要旨を最初から読んでみるが、自分が書いたはずの文章がそこにはなかった。
「本当に全部直されるんだな…」
続いてコメントをチェックする博士。そこにはチェックするべき論文のリストと、最後に「ひろしの研究結果から伝えたいメッセージは何だ?」と書いてあった。メッセージ、か。はじめて研究発表をしたときに細胞くんにも言われた気がする。さて、どうしたものか。
「とりあえずゆうちょに行くか」
学会員になるためには会費を払わなければならない。ゆうちょからお金を振り込みに行きながらどうするか考えよう。
大学を後にして1番近くのゆうちょに向かう。大学内にないのは不便だが、文句を言ってもしょうがない。
「メッセージ…メッセージ…」
そんなことをぶつぶつつぶやきながら、歩いていると5月の晴れやかな陽気が博士をつつむ。まだ少し肌寒いが、悪くない。ゆうちょのATMで学会あてに会費を支払い、忘れずに領収書をもらう。この領収書のコピーを要旨の提出と同時にアップロードすることで、学会員であることの証明になるようだ。
実験から得られるメッセージとは、実験結果を羅列して1つずつ説明するのとは違うんだったよな。実験結果を総合して伝えたいメッセージか…。
標的遺伝子のクローニングに成功して、そこから精製したタンパク質同士の複合体形成がアレを入れることで阻害されるということは、アレがタンパク質複合体形成を邪魔しているということなんだよな。などと、本の文章を同じような意味の文章に頭の中で書き換えてみるが、それ以上思考は進まない。
そんなことを考えていると研究室に戻ってきてしまった。指導教員もオフィスにいるようだ。挨拶がてら領収書も渡してしまおう。
「おはようございます。これ、学会の会費の領収書です。よろしくお願いします」
(つづく)
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