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飲食業界におけるDXの重要性を考える~服部学園服部栄養専門学校講義レポート~

2024年6月28日、学校法人服部学園服部栄養専門学校にて、株式会社ぐるなび執行役員 兼 オーダー&フードサプライ事業部 オーダー事業推進部部長の行武耕司が講義を行いました。参加したのは、調理師科1年生約200人。飲食店の経営、運営についての実践的な授業の一環で、専門家として登壇しました。
 
講義のテーマは「最近よく聞くDXって何?」。未来の飲食業界で活躍する料理人たちに向け、店舗運営において重要性を増しているDXについて解説しました。

なぜDXというテーマなのか?

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」のことでデジタル技術を活用してビジネス全体の変革を実現すること。学生たちに尋ねてみると“DX”という言葉自体の説明は難しいという方が多くいらっしゃいましたが、ロボットやセルフレジ、モバイルオーダーといった具体的な事例を挙げると、利用したことがある方がほとんど。意識せずとも利用している、非常に身近な存在になっているようです。
 
なぜ今、DXをテーマに語るのか。ぐるなびが加盟店を対象に行った店舗運営の課題調査のデータによると、特に「販促活動の見直し、強化」「コスト削減、利益拡大」について解決したいと考えている飲食店が多く、解決手段として2023年頃よりDX化推進の課題意識が急速に高まってきているのです。

人による“おもてなし”と“DX化”の共存

「飲食店の本質はおもてなし。直接の接客や手書きのメニュー作成など、店ならではの特色が示され、作り手の思いが詰まった料理をお客様に楽しんでもらうための集客にもつながるもの」と行武。一見するとDX化とは相反する印象ですが、ここに現役料理人たちのジレンマが潜んでいるのです。
 
飲食店の運営に必要となる作業は、料理以外にも多岐にわたります。売り上げ管理に従業員のシフト管理、日々の清掃や仕入れ業務など数えればきりがありません。飲食店のサポート業務を行うぐるなびへ実際に寄せられた飲食店の声を紹介しながら、「お店の業務を軽減できるところはして、本当にやりたい業務に専念できるように時間を捻出するお手伝いをするためにDXを活用してほしいのです」(行武)と訴えました。

売上への影響

導入のメリットとして最も大きいのが、店舗の利益率を上げることです。利益=売上ー経費、売り上げを伸ばして経費を押さえることが必要になります。
 
売り上げを伸ばすためには、まず客数を増やすこと。「楽天ぐるなび」のような予約サイトやアプリによる販促などが主な手段となります。ただ、サイトによって登録店舗数や対象顧客、契約金額など諸条件が異なるので、店の特性に応じた使い分けや併用が必要です。
 
また、メニュー単価を上げることも必須。現役の料理人たちは常にコンセプトやメニュー開発の際に悩まれている部分でもあります。これについても実は「モバイルオーダー」といったDXツールが有効的な場合も。モバイルオーダーを導入することで注文回数や注文品数が増加し客単価が400円アップした事例には、特に学生たちの関心が集まりました。

人手不足を救うDXツール

売上をアップさせるためには、経費を抑えることも重要です。経費として特に大きな割合を占めるのが、人件費です。飲食業界では慢性的な人材不足が続いています。都心の居酒屋では時給1,800円となる高時給での募集であっても、応募者がいないというケースも。これらの問題を解消するために、DXサービスやツールの導入事例が増加してきました。 単純作業や効率化のために導入されているのは、セルフレジや配膳ロボット。学生たちも日常生活のなかで多く目にしているとのこと。加えて、調理ロボットも台頭しています。そば屋やたこ焼き屋などの導入事例はかなり注目を集めていました。「ロボットの時給はなんと約92円と計測されているケースもあり、単純計算で毎月321,710円の人件費削減の効果がでています」といった具体的数値や「高齢化社会におけるシニア層の働き手増加にも、重量のあるものや運動量の多いものはロボットが代わり、その分、人間は人間にしかできない作業を」といった行武の見解も刺激になったようです。

必須となりつつあるインバウンド対応も

インバウンドの再拡大で外国人のお客様が増加しています。モバイルオーダーは、英語、韓国語、中国語といった外国語にも対応していますので、従業員が話せなくてもお客様の注文も簡単に受けることができるのです。
 
実際に導入した店舗の店長の声も紹介。「飲食店は人がいない中で、モバイルオーダーがあるだけでスムーズに営業できるのが一番良い。12月の繁忙期も少ない人員で対応できて助かった」「私自身英語があまりわからない中、モバイルオーダーがあることで、スムーズに営業できました」といった意見がありました。
 
店側だけではなく、飲食店に訪れる外国人のお客様にとってもメリットは多くあります。「紙メニューを使うよりもっと早く注文することができますね。ユーザーにとっても親しみやすいと思います」という外国人客の声には、深く頷く学生も。導入する側、使う側にとっての利点を知っていただくことができました。
 

AIの活用

ぐるなびが提供するモバイルオーダーシステムとして、「ぐるなびFineOrder」の解説も行われました。ChatGPTを組み込み、AIによるチャットボットの実証実験を行ったことについて紹介。具体例として食事とワインなどお酒とのペアリング、「こってりしたものが食べたい」「でもカロリーは抑えたい」といった多面的な要望に瞬時に応える機能などを説明しました。
 

さらに高まる“DX化”への関心

「コロナ禍を経て、外国人のお客様も増えています。おもてなしは重要であり飲食店の本質ですが、人手不足は慢性的です。DXとは、飲食店の運営を少しでも効率的に行う為の一つのツール。皆さんが学ばれている“おもてなし”と、DXが担う“効率化”のバランスを考えるきっかけになれたら」(行武)と、今後の飲食業界を担う学生たちにエールを送って講義を終えました。
 
講義終了後には、学生からの質問に答える場面も。たくさんの声をいただいたため、一部抜粋してお伝えします。
 

――実際に導入したときに、システムを導入したらDX化に関して従業員にはどんなサポートがありますか?

「客単価が上がっているなどのデータを提供するなど、具体的なご支援しています。ぐるなびでは“伴走プラン”と呼んでおり、わからない部分はどんな些細なこともお答えしています」

――飲食店ではよく座席からQRコードを使って注文する場面が増えました。導入する場合、費用はどのような形で、どのくらいかかるのでしょうか?

「メニューの登録作業などの初期費用と、月額のサービス料が必要になります。アルバイトを雇うよりもコストを抑えられるという感覚をイメージしていただければ」
 

――DX化は非常に便利な一方で、テーブルオーダーなどは高齢者の方にとって操作が難しい方も多いイメージです。導入している店でどんな対応策がとられていますか?

「ぐるなびFineOrderの場合、高齢者の利用率が50~60%と意外と高い。ただ、やはり4割近くは店員さんに直接注文されているのが現状です。現在、音声認識やAIを活用した、非常に簡易的に利用できる注文方法の開発を進めたいと考えております。高齢の方、障害をお持ちの方でも使用できる方法の実現を目指します」

講義後に寄せられた学生たちのアンケートには「DXについて、とても詳しく解説してもらい参考になった。将来独立したらぐるなびに相談をしたい」「飲食店が人手不足と言われる中で、効率化を図るためには店舗によってDXが必要なものだとわかった」といった感想が寄せられました。また、直接行武のもとへ質問に来てくださった学生も。DX化に関する関心の高さが改めてうかがえる講義となりました。

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