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2024年読んだ本一覧とおすすめ本ピックアップ

待ちましたが、やはり2024年も無いようです。 #読書の秋2024 企画。

noteの企画の中で一番好きだったから、すごく寂しい〜!!!!


仕方ないので、1年の読書を振り返りつつ「これよかったよ!」祭りをひとり開催します!




2023年12月〜2024年10月に読んだ本一覧(タイトル/著者)


ちょっと変な区切りですが、昨年「2023年1~11月に読んだ本」で書いたので、その続きから。


ライオンのおやつ 小川糸
流浪の月 凪良ゆう
かがみの孤城 上・下 辻村深月
食堂かたつむり 小川糸
夜が明ける 西加奈子
別れる力 大人の流儀3 伊集院 静
赤と青とエスキース 青山美智子
完売画家 中島健太
もうおうちへかえりましょう 穂村弘
神さまのビオトープ 凪良ゆう
変な家 雨穴
薬屋のひとりごと 日向夏
僕の人生には事件が起きない 岩井勇気
植物図鑑 有川浩
正欲 朝井リョウ
天才による凡人のための短歌教室 木下龍也
ともぐい 河﨑秋子
キレイはこれでつくれます MEGUMI
ピアノマン 『BLUE GIANT』雪祈の物語 南波永人
なれのはて 加藤シゲアキ
八月の御所グラウンド 万城目 学
すべて真夜中の恋人たち 川上未映子


計23冊。

11ヶ月で23冊なので、月2冊ペース。昨年とほぼ同じです。


傾向

今年はミーハーぶりが炸裂したラインナップ。
メディア化しているものを中心に、話題作ばっかり!
2024年の直木賞/芥川賞受賞作まで入っています。

特筆すべきは、ライトノベル!
高校生ぶりに触れたのが新鮮な記憶として残っています。

昨年に引き続きよく売られているラノベ出身・凪良ゆうの作品を読んだり、
『薬屋のひとりごと』が流行っていると聞いては「薬関係の作品が流行ってるの!?嬉しい!!!」と飛びついたり。

ラノベから離れて久しいので、今のラノベはこうなってるのか〜と勉強する気持ちです。
小説以外でも、アニメ『転生したらスライムだった件』を見て現在のラノベの基本を吸収しているところです。


では早速、ミーハーに振り切った1年を過ごした、わたしのおすすめ本をご紹介します!


流浪の月 凪良ゆう

2023年に凪良ゆうさんの別作品を読んでいたので「嘘だろ、こっちの方が格段に良いじゃん!!!!!」と目をひん剥いた一冊。

BL畑出身と聞いて、
"男性側の性"をとことん考え抜いて書いてきた人だから、このキャラクターと主人公たちの関係性が生まれたんだろうなと深く納得しました。

あまりにも良かったので過去作品『神さまのビオトープ』も読んだら、『流浪の月』の種みたいな短編が収録されていて、興奮したのも強く印象に残っています。

読者が頑張って潜り込まなくてもするっと入ってくる主人公たちの気持ちと、彼らを取り巻く情景。
その描写力に引き込まれながら読み進めているうちに辻褄が合い、すべてがふわっと受け入れられる。

このハッとさせられる感じは、いつ、何度味わっても良い。

素晴らしかったです。
本屋大賞受賞も納得。



正欲 朝井リョウ

まーーーた朝井リョウさんがいかつい本を出してました。

去年読んだ『死にがいを求めて生きているの』があまりにも強く、深かったので、身構えて読み始めました。
が、私のちっぽけな身構えは余裕で吹っ飛ばされました。

大雑把に言うと「マイノリティを多面的に掘り下げた」本。

技量に関してはもちろん文句のつけどころがなくて、
そんなことより彼が凄いのは、
読者の薄暗いところに焦点を当てているのに読者が逃げず、むしろ物語にかじりつかせる魅力があるところ。

念の為書いておきますが、
人間の暗いところや、目を背けたくなる部分を掘ること自体が凄いとは思っていません。
読者の気分がのらず読むことが苦痛になり、完読できないことが十分起こりうるテーマを身近に引き寄せ、人間の愚かさへと緩やかに繋いでいく流れにうっとりしてしまうのです。


自分がマイノリティだと感じた経験のある人ほど、響く本だと思います。

マジョリティ側の人がわかったように言う「マイノリティ」と、当事者の気持ちの乖離があまりに身に覚えがあって、悶えてしまう。

理解しあえる訳がないと思い、
何故こんな自分なのかを呪ったり絶望した後に、
死でなく生を手に取れますように。

そんな著者の願いを受け取りました。



もうおうちへかえりましょう 穂村弘

能天気な自分とはかけ離れた暗さに、最初は慄きました。

多分どこかで誰かがオススメ〜とか読んだ〜とか書いていたのを目にして、読みたいリストに入っていた一冊。

なぜ読み始めたのかもわからず、とにかく暗さに怯えながら読んでいたのが一転して「この人、面白いぞ!!!?」と喰らいついたのが「わかりあえるか」。


ある媒体で「男と女はわかりあえるか」というテーマで書いて欲しいと頼まれた穂村さんは、その難易度に頭を抱えます。

なぜなら「そもそも男側はわかり合いたいなんて考えてもいない」から。

わかりあうためにいくら出せますか?と聞いたら
男は5,000円くらいまでなら出しても良いかな、とどうにか捻り出して答え、
女は魂を差し出しても良いくらいまで求めている。

この差がどうやっても埋まらないから女性を納得させられないと頭を悩ますのです。

"埋まらない溝"の描写があまりにも面白い!!
この一編で一気に引き込まれました。

本著は様々な掲載誌でそれぞれのテーマに沿って書かれたものが集まっています。
一冊で著者の色んな面が見えて、最初のネガティヴイメージからポジティブに変わるまでの自分の心の変動も含めて楽しめました。


どうしてこの本を読みたいリストに入れていたのだろうかと改めて探したところ、恐らく
出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』花田菜々子 著
の中で紹介されていたのが理由のようでした。



植物図鑑 有川浩

小説から話は逸れるのですが、実は昨年末にSwitch『ときめきメモリアル Girl's Side 4th Heart』にどハマりしまして。

そこで火がついたのが"恋愛系"。

そのまま転がり落ちるように漫画『200m先の熱』にハマり、「わたし、恋愛系が好き!」と再認識した1年でした。

そしたら読みたくなったのが、過去に読んできゅんきゅんした思い出の小説!
それが『植物図鑑』。

有川浩さんにしては珍しく主人公たちのいちゃいちゃ度の高い小説で、ご本人もあとがきで「過去最強に恥ずかしかった」と書かれています。

道草紹介に没頭していたら主役カップルが臆面もなく甘ったるくなっていて後で愕然としたり。個人的に過去最強に恥ずかしかった。

『植物図鑑』あとがき より抜粋

ある日会社員の女の子が自宅マンションに帰ってきたら道端にかわいい顔した男の子が落ちている、という『きみはペット』を彷彿とさせる出会いから始まりますが、二人の愛の育み方がどこまでも優しくてほっこりしてしまう。

道端の草の知識にへぇっとなり、イツキ(植物に詳しい道端に落ちてた男の子)の作る食事の描写によだれを垂らしているうちに、いつの間にか主人公たちが気持ちをぶつけあってカップルが成立している。

そのシームレスさはまるでイリュージョン。

道草探索と恋愛の情熱はかけ離れているはずなのに、どちらもしっくりくる。
どちらにも夢中になる。

笑って泣けるだけでも十分なのに、主人公たちが可愛すぎてこれでもかというほど胸が締め付けられる。

10年後に読んでも変わらず大好きな恋愛小説です。



八月の御所グラウンド 万城目 学

「万城目さんが直木賞を受賞した!」
ニュースを聞いてこれは読まねばと手に取った本作。

たまたまこれの前に『ともぐい』『なれのはて』など重たい空気感の作品を読んでいたので、冒頭の短編「十二月の都大路上下(カケ)ル」を読み始めてすぐ「そうそう!わたしが好きなのはこういう楽しいやつ!」と嬉しくて涙がこぼれました。まさかの嬉し泣き。

重いのが悪いわけじゃないんだけどさ、やっぱりわたしは楽しい小説が好きだな。

冒頭の短編は駅伝の全国大会に初めて出場する高校1年生の女の子が主人公。
代走でエントリーしていた1年生の主人公が急遽本番で走ることになるのですが、もちろんただで終わる筈もなく、万城目さんお得意の歴史ファンタジーがちら見え!
「これからどうなるんだ…!?」と期待でわくわくした瞬間終わってしまったので、ここで終わらせるのは勿体無いよ〜!!!とわたしは一人駄々を捏ねました。
いや、今も捏ねています。
続編を読みたい。頼むよ〜!

高校生らしい心の機微とスポーツの迫力に一瞬で心を鷲掴みにされる短編に続いて始まるのは、タイトルにもなった「八月の御所グラウンド」。

前半はずっと京都の夏の暑さを呪っていて
八月に京都に残ることになった主人公は自身を「八月の敗者になってしまった」と描写し、
「八月の京都の暑さに勝てる者などいない。すべての者は平等に、ただ敗者となるのみ。」
などのパワーワードが開始2ページで繰り出される異常事態。

これでもかとこき下ろされた暑すぎる八月の京都で野球をする羽目になった主人公。
そこで起きていたことが実はおかしなことだったと後で気付かされる驚きもさることながら、
"京都"という場所が「暑すぎる」というフリを加えて「何が起きてもおかしくない」空気を醸し出す描写が秀逸でした。


わたしが一番好きだった京都の描写はここ。

京都に来てわかったことがある。
夏の殺人的な蒸し暑さと、冬の無慈悲な底冷えの寒さを交互に経験することで、京都の若者は、刀鍛冶が鉄を真っ赤になるまで熱し、それを冷水に浸すが如く、好むと好まざるとにかかわらず、奇妙な切れ味を持った人間刀身へと鍛錬されていく。

『八月の御所グラウンド』より抜粋

この部分を読んだ時、万城目さんと同じく京都大学を出た知人に「〜だそうですが、どうですか!!?」と突撃したくなりました。
どう考えても迷惑すぎると必死で踏みとどまった自分を褒めてあげたい。

それにしても良い描写。
「、」で多くを繋いでいるのにすっと入ってきて、最後に本当かよ!?とツッコミをいれたくなる。
読んだ瞬間知っている人に言いたくなる文章は総じて素晴らしい。好きです。



キレイはこれでつくれます MEGUMI

最後は昨年から続く今年の大ヒット本で締めさせていただきます!

MEGUMIさんの体質と好みがわたしと離れていたので、実践的な意味ではあまり参考にならなかったのですが、とにかく美容に対する熱意に尊敬の念を抱きました。

なにしろ彼女の情熱に感化されて自分が"睡眠"に向き合った結果を「眠りはこれでつくれます」なんてタイトルをつけて書き上げるほど。

こんなにまっすぐ情熱を伝えられたら、わたしも何かしたいと思える。

そこまでのエネルギーの塊をぶつけてもらえたことに敬意を表して、最後に紹介させてもらいました。

MEGUMIさんに最も共感したのは、オススメ本の1番上に『野心のすすめ (林真理子 著)』を載せていたこと!

あぁーわかる。わかるよ。

これを読んだからゴリゴリ進む気持ちになるのか、元々ゴリゴリ進みたい気質があるからこの本が刺さるのか。
ニワトリが先か卵が先かってくらい、シナジーがある。

『キレイはこれでつくれます』から感じ取れるMEGUMIさんの姿と、オススメ本のコーナーで『野心のすすめ』を先頭に持ってくるMEGUMIさんは完全に一致する。


わたしも学生時代に一度読んでめちゃくちゃ掻き立てられたのが忘れられなくて、実家を出る際に母親に「これ欲しい」とお願いして、「選ぶ本、それなん!?」とドン引きされながらも握りしめてきました。

何度引っ越ししても手放してない。

今読んだらまた違う感想になるのかな。
掻き立てられすぎて大変なことになっちゃうかな。

あぁ、また読みたいなぁ。


📖📖📖


23冊中、6冊を紹介してみました!

『かがみの孤城』はヒット作なだけあって、ワクワク感と中学生の心情描写が良かったとか、
『赤と青のエスキース』の最初の一編が本当に良かったので疲れた時に読むのをオススメしたい〜!などなど、全冊紹介したい気持ちをおさえての6冊ピックアップでした。

この記事が新しい本との出会いのきっかけになれたら嬉しいです!



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グルテンふり子
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