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MASS OF THE FERMENTING DREGS『Awakening:Sleeping』を聴いたら涙が止まらなかった

ニューアルバムがリリースされ、初めて再生ボタンを押して曲が流れ出すまでの、空白の数秒。

わたしには、その数秒を思わず緊張して待ってしまう人たちがいます。


MASS OF THE FERMENTING DREGS(通称、マスドレ)はわたしにとって、そんなミュージシャンの一組。


MASS OF THE FERMENTING DREGS『Awakening:Sleeping』



再生ボタンぽちっ。


あぁ、始まる。

ぐっと息をのむ。

最初の一音はどうくる?

今の彼らを好きになれるだろうか??


なんの立場も制限もないのに、挑むような気持ちになる。
ヒリつく数秒。



始まった1曲目はマスドレのpopさをぎゅっと押し込めたようなイントロからスタート。

その柔らかいギターサウンドに緊張がほどける。


あぁ、マスドレが新曲を出してくれた。


ようやくその嬉しさで心がいっぱいになる。



曲が始まり、驚いたのはボーカル・なつこん(宮本菜津子)の歌い方の変化!


初期のマスドレの吸引力といえば、なつこんの力強い歌声。
強いままで、どこまでも伸びる。
まっすぐ、前に。

実際、その力強さにわたしはぐんぐん惹かれていった。


そのなつこんが、引くことを覚えた!!!!

ふわっと力を抜いて包み込むかのように広がる。

その意図的に力を抜いた声に、色気さえ感じてしまう。


えぇ!???
どうしたの!
大人になったってことなの!???

思わず狼狽してしまう。


手元を見ると、曲名は「Dramatic」。

たしかに。
その名の通り、マスドレ史上最高にドラマティックだ。

歌声では引いて魅力を膨らます手法を身に付けても、曲名にまだストレートさが残る。

そんな姿に、変わったように見えて芯は変わっていないマスドレを汲み取って、涙がこみ上げました。

いや、過去形じゃない。
改めてアルバムを聴きなおしている今だって、泣きながら書いている。



続く2曲目は、ハモリとか歌い分けが一切なしで、ひたすらゲストと声を揃えて歌い続ける!
そしてそのまま終わる!

なんて真っ直ぐなの!

こんなにもオシャレじゃない形でゲストを呼び込むのだから、きっと当人たちにそうせずにいられない関係性があったのだろうなと思いを馳せました。



3曲目「MELT」は待ってましたのマスドレ節!

マスドレといえばこれだよね、と瞬時にノリノリになってしまう、リズミカルなぶりぶりの低音と、なつこんの伸びのある歌声。

「俺は関係ない」と繰り返し歌うサビをライブで聴いたら、いろんなストレスがぶっ飛んでいきそうだぁ。



あれ?なつこんの歌声が来ないな?
ふと気付けば、4曲目はインスト「1960」。

前アルバム「No New World」でのインスト曲は当時新メンバー・小倉さんが加入したこともあり、「実験したるでー!!!」って気持ちがぐんぐん伝わってきたけれど、今回のインストは今のバンドの雰囲気が表現されているような気がしました。

互いの良さを知っているから出る、安定感。

時には背伸びもするし、達成してない野望はまだまだあるけど、今のわたしたちの場所はここ。

そう言われているような。



絶え間なく、愛を注ぐよ


振り返ってみれば、マスドレがアルバムを出すのは4年ぶり。

よくSNSチェックを欠かさず、愛を絶やさなかったものだなと我ながら思います。

再生する瞬間の緊張といい、これはまるで片思いだね。永遠の片思い。


出会いはジャケ買いでした。

タワレコで見かけたジャケットに一瞬で心を掴まれて、試聴もせずに買った。
高3の終わりか、大学入りたての頃だったと思う。

家に帰って聴いてみたら高音で伸びる声にヤイコちゃんと似ている部分を感じて、これは大当たりだ!と大興奮。

人生初のジャケ買いで大当たりをぶちかませた自分を誇らしく思ったりなんかして。


即2ndアルバムも買い足して繰り返し聴いて、それでも飽きたらずバンドスコアを買ってギターの練習をしました。


そうこうしている間に3rdアルバム「ゼロコンマ、色とりどりの世界」が発売。


3rdでは新しいことをしたがっている空気を感じました。

ただ、それが売れるための転換なのか、バンド内に本当に変わりたがっている人がいるのかまでは汲み取れず。

これは早くライブに行かなきゃ!と思い、ようやっとライブのチケットを取り、寒い中出向いたライブハウスで、まさかのギター・ちえみさんの脱退挨拶!

脱退前最後のライブだったそうです。

「パニック障害の治療を」と理由をしっかり告げている人を前に、寂しさをぶつけることなんかできるはずもなく。

これからのマスドレの活動はどうなるんだろうかと、憂いながら帰宅したことを覚えています。



それからマスドレの新譜がリリースされることはなく、ほどなくして活動停止・ボーカル宮本菜津子の個人活動が発表されます。


その後、活動再開&新メンバー小倉さんの加入が発表され、むかえた活動再開後のファーストアルバムが「No New World」でした。


その時の嬉しさや感動は、過去にありったけ詰め込んで書いたので、読んでね。
今久しぶりに読み返しても、なかなか良かったよ。

当時の傲慢なわたしはなつこんに「書いた!読んでくれ!」と、この記事をツイッターで送りつけました。

そしたら読んでくれたんだって。
嬉しかったなぁ。


これを書いた後、もちろんNo New Worldアルバムリリースツアーに参戦!

だけどすごく残念な結果に終わりました。

ライブは平日の夜。
日中に商談があったもんで渋々キレイめの格好のままでライブへ行ったら、
本編中ずーーーーーっと、やたら背の低い女の子に執拗にぶつかられるわ、
アンコールでやっとその子が別のところに行ってくれたと思ったら、次は後ろの痴漢に尻を触られるわで、非常に悲しい気持ちで終わりました。

ほぼ最前列にいたんだけど、苛立ちが強すぎてその時のライブの感動とか、何も覚えてない。かなしい。


こんなにもずーっと嫌な体験をしたライブが初めてだったから、あまりにショックすぎて「マスドレが好き」とインプットはされているけれど、ライブ情報が出ても前向きな気持ちになれず、足を運ばずにいました。


マスドレについてはこの悲しい記憶が最後になっていたから、こうして新アルバムを出して、わたしの気持ちを「大好き!」で塗り替えてくれたことが本当に嬉しい。


ライブハウスにふさわしい、Tシャツ等カジュアル服で行ける時だったら、またライブにも行こうかな。



最高のアルバムをありがとう。

いっぱい聴くね。



おまけの宣伝

毎度毎度かっこ良すぎるジャケットを描いているのは漫画『あさひなぐ』の原作者・こざき亜衣さん!


それこそわたしがマスドレに出会った2009~2010はあさひなぐの連載すら始まってなかったから、「公私ともに色々ありましたね」は本人たちにしかわからない深みがあるのでしょう。



当のマスドレはリリースしたと思ったらイギリスのフェスに出演するため、渡英中ですって!

トリ前!
いい時間!!

最高にぶち上げてくれることでしょう。


もちろん日本でもリリースワンマンツアー開催!
イギリスに行くよりは日本国内なら近い近い!!


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グルテンふり子
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