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岸本佐知子『ねにもつタイプ』
好きな書評家の方がオススメしていたエッセイ本。
著者の岸本さんは、界隈では知らない人のいない日本が誇る翻訳家。
なんでも中学生の時、英語の絵本を訳して先生に褒められたことが翻訳への興味に繋がったらしい。
その後、上智大学文学部英文科を卒業し、大手企業を経て翻訳家として独立したとのこと。
はっきり言って、エリートやん。
一方ワタシは中学の頃「This is a pen」と「ハンプティダンプティ」くらいしか知らなかった(アホか)。
なんならいまだに「ハンプティダンプティ」を正確に綴れるかどうか怪しい(アホだな)。
もはや「ハンプティダンプティ」って言いたいだけ。
高校時代はカート・コバーンに心酔し闇堕ち。三流大学在学時には早々に就活戦線から離脱。その後フリーターとしてなんとか社会にしがみついたワタシは、いまだに何者にもなれず人生何度目かのモラトリアム期間を垂れ流している。
要するに、ワタシは賢い人に対してコンプレックスを抱いている。
そしてそんな人が書くエッセイなどは、およそ自分とは全く縁のない、極めてハイクラスかつハイセンスなライフスタイルがこれ見よがしに綴られているんだろう。
どうせ大して面白くないんだろう。
少しでも変なことが書かれていたら猛烈に揚げ足を取ってやるんだから。フンッ!
.
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が。
悔しいことに。
これが絶妙に面白いじゃあーりませんか...。
ありふれた日常の、気になるけどすぐに忘れてしまいそうな些細な出来事を、クスッと笑える妄想ワールドに展開。
それは、もし我々に思想や表現の自由が与えられていなかったら、何らかの罪に問われてもおかしくないレベル。マジでイカれてやがる。
そしてそれを的確に言語化し、かつリズミカルにお届けする抜群のセンス。それでいてうっすら感じるニヒリズム。
まさにThis is new shit(嫉妬)
翻訳家、恐るべし。
それにしても、こんなヒネクレた発想をする人は、絶対にひょっとこみたいなツラをしているに違いない。
そう思ってググッてみたら、まさかの美人。
もうぐうの音も出ない。もはやこちらが出せるのはゲップかおならくらいのもん。
こんなにお綺麗な方が何食わぬ顔をして、脳内で残忍な殺人を繰り広げていたり、バンドエイドを外した部分の匂いを繰り返し嗅いでいたりするかと思ったら、なんか無性に興奮しますな(変態か)。
サラッと面白い文章を書ける人、好きだし憧れるなぁ。文章力は努力である程度上達するんだろうけど、ユーモアのセンスを磨くのは難しいよね。
そしてワタシは今日も古本屋で「キの棚」を漁っていたのだった。